野菜需給部 調査情報部
5月は、東・西日本を中心に晴れの日が多く、日照時間が非常に多い月となった。上旬においては、季節はずれの強い寒気が流れ込んだ影響で、全国的に気温は平年を大きく下回って推移したが、東・西日本地域においては上空を高気圧に覆われたことから、晴れの日が多かった。その後も当該地域においては、高気圧に覆われることが多かった一方、寒気の影響は弱まっていったことから、中下旬にかけても晴れの日が多く続き、気温はかなり高くなった。この影響で、月の日照時間は、多くの地点で平年の120%以上を記録し、栃木県日光、長野県飯田、埼玉県熊谷など23地点において、5月の月間日照時間の多い方の記録を更新した。一方で、降水量は東・西日本地域を中心にかなり少なくなり、宮城県仙台、山梨県甲府、香川県高松など16地点で、5月の月間降水量の少ない方の記録を更新した。
産地においては、降水量の少なさから干ばつ気味になる産地も一部散見されたが、日照時間が多く、野菜の生育は良好であったと思われる。
なお、5月は各地で梅雨入りとなり、早い順で沖縄・奄美が14~15日頃、九州・中四国が27日頃、近畿・東海が28日頃、関東甲信越が29日頃となった。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下のとおり。
資料:気象庁「5月の天候」
5月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が15万トン、前年同月比99%、価格はキログラム当たり192円、同87%となった。
野菜全体の入荷量は、関東、四国および九州ものを主体に出回り、生育は良好であったことから順調な入荷となり、ほぼ前年並みとなるも、平年を上回る入荷量となった。価格は、いずれの品目も不足感がなく、特に入荷量の多いキャベツ、ばれいしょおよびたまねぎが値を大きく下げたほか、昨年、需要好調で高値だったトマトも値を大きく下げたことなどから、前年、平年と比べて大幅に下回った。特に指定野菜合計の価格は、過去10年の同月で比べて最も安い価格で推移している。
類別に見ると、いずれも順調な入荷傾向となり、葉茎菜類の入荷量は、上旬はほうれんそう、中旬はねぎ、下旬はレタスが平年をやや下回る入荷となったが、それ以外は平年を大幅に上回る入荷量で推移した。価格は、上旬のほうれんそうおよびレタスを除いて、平年の8割程度と大きく下回る価格となり、特にはくさいおよびキャベツは、下旬にかけて平年の5~6割と大幅に下回って推移した。
果菜類の入荷量は、上中旬のなすを除く全ての品目で平年を上回って推移した。価格も、入荷が少なかった上中旬のなすを除いて平年を大幅に下回って推移し、下旬には全ての品目で平年の8割程度の価格となった。
根菜類のうち、にんじんは、中旬にかけて平年を下回る入荷量となるも、上旬は平年を上回る入荷量、下旬は平年並みで推移した。だいこんは、月を通して平年を上回って推移した。価格は、上旬を除いて平年を大幅に下回って推移した。
土物類は、月を通して平年を大幅に上回る入荷量で推移し、価格は平年の6~7割程度で大幅に下回って推移した。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(5月速報)
注: 平年比は過去5ヵ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」
5月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が4万1千トン、前年同月比101%、価格はキログラム当たり175円、同87%であった。
入荷量は、上旬は指定野菜の全ての品目で前年を上回り、中旬もさといも、ばれいしょおよびはくさいを除く多くの品目で前年を上回ったが、下旬はさといも、はくさい、にんじん、キャベツ、ばれいしょ、レタスおよびきゅうりで前年を下回った。
価格は、月を通して前年を下回って推移し、上旬ははくさい、レタス、にんじん、ほうれんそう、さといもおよびなすを除く品目で、中旬はさといも、ばれいしょ、にんじんおよびなすを除く品目で、下旬もさといもおよびばれいしょを除く多くの品目で前年を下回った。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(5月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」