野菜需給部 調査情報部
4月は、気温がかなり高く推移した3月に比べ寒気の影響が強く、一時的に顕著な低温を各地で記録した。この寒気は、10日程度の周期で南下したことから、寒暖の差が激しく気温の変動が大きい月となった。また、日本付近を低気圧や前線が周期的に通過したことから、北・東日本を中心に多雨となり、月降水量が多く、東京、横浜の観測地点においては、4月の降水量の最多記録を更新した。そのうち、6~8日にかけては、発達した低気圧が日本海と本州南岸沿いを進んだ影響で、北~西日本にかけて広い範囲で大雨や暴風を記録している。
産地においては、気温の変動が激しく一部の作物においては生育に影響が出たものの、日照時間は平年に比べて多く確保できたことから、野菜全体への生育や出荷への影響は少なく、おおむね良好に推移したものと思われる。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下のとおり。
4月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が14万トン、前年同月比116%、価格はキログラム当たり213円、同85%となった。
野菜全体の入荷量は、北海道、関東、四国および九州ものを主体に出回り、気温の変動が激しかったほか、低気圧の影響で暴風雨となった期間もあったが、おおむね順調な入荷量となり、入荷量の少なかった前年を大幅に上回って推移した。価格も、高値を記録した前年に比べて大幅に下回り、過去5年で比べると平成23年に次ぐ安値で推移した。
類別にみると、葉茎菜類の入荷量は、上中旬にかけてはほうれんそうを除く品目で前年を上回って順調な入荷となったが、下旬にかけてははくさいを除き平年をやや下回って推移した。ほうれんそうは、入荷量が伸びず、中下旬にかけて平年を大幅に下回って推移した。価格は、ほうれんそうおよびレタスが中下旬にかけて平年を大幅に上回ったが、それ以外は平年を下回って推移し、特にはくさいは、上中旬にかけて平年を大幅に下回った。
果菜類の入荷量は、トマトおよびピーマンは月を通しておおむね平年並み、または上回って推移したが、なすは、中旬を除いて平年を下回って推移した。きゅうりは、上旬は平年を下回ったものの、中下旬にかけては回復し平年を上回った。価格は、なすは月を通して平年をやや上回って推移し、きゅうりは、上中旬は平年を上回ったものの、下旬にかけては平年を下回って推移した。
根菜類は、上中旬にかけては平年を大幅に上回る入荷量で推移したものの、下旬には入荷量が落ち込み、にんじんは平年並み、だいこんは平年を下回ってそれぞれ推移した。価格は、にんじんが上旬に平年を上回る価格となるも、中下旬は平年を大幅に下回って推移した一方、だいこんは上中旬にかけて平年を大幅に下回り、下旬には平年並みに戻して推移した。
土物類は、潤沢な入荷となり、月を通して平年を大幅に上回る入荷量で推移し、価格は平年を大幅に下回って推移した。特にばれいしょは平年の半値近い価格で推移した。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(4月速報)
注: 平年比は過去5ヵ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
注:平年とは、過去5ヵ年(平成20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」
4月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が4万2千トン、前年同月比119%、価格はキログラム当たり191円、同81%であった。
入荷量は、月を通して前年を上回って推移し、上旬はさといも、ほうれんそう、きゅうり、ばれいしょおよびなすを除く品目で、中旬はほうれんそうおよびレタスを除く品目で、下旬もレタスを除く多くの品目で前年を上回った。
価格は、月を通して前年を下回って推移し、上旬は指定野菜の全ての品目で、中旬はほうれんそう、レタスおよびきゅうりを除く品目で、下旬もほうれんそう、レタス、はくさいおよびねぎを除く多くの品目で前年を下回った。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(4月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」