野菜需給部 調査情報部
3月は、東日本以西の地域において移動性高気圧の影響で晴れの日が多く、南からの暖かい空気も流入したことで気温がかなり高く推移した月となった。月の平均気温は、北日本を除く地域でかなり高くなり、3月の平均気温の最高記録を更新した地域は、宇都宮、静岡など26地点にのぼった。日照時間も東日本以西の地域で多くなり、屋久島では、月の日照時間の最多記録を更新した。一方で、降水量は、東・西日本の地域でかなり少なくなり、仙台、福島など8地点で月の降水量の最少記録を更新した。
産地においては、晴れの日が多く、気温も大幅に上がったことから遅れていた生育が回復するなど気象状況は良好であったが、一部の地域においては、煙霧、風じんを観測するほどの強風の影響で作物への砂かみが見受けられた。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下のとおり。
3月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が13万トン、前年同月比103%、価格はキログラム当たり206円、同77%となった。
野菜全体の入荷量は、3月の急激な気温上昇の影響で野菜の生育が回復したことから、北海道、関東、四国および九州ものを主体に一気に順調となり、前年を上回って推移した。価格も、市場における不足感がなくなったことから、高値だった前年を大きく下回り、過去10年中最も低い水準で推移した。
類別にみると、ほとんどの品目で好天による順調な生育となり、葉茎菜類の入荷量は、キャベツが上中旬、ほうれんそうが上旬にかけてわずかに平年を下回るも、それ以外は全ての品目で月を通して平年並みまたは平年を上回る入荷量で推移した。価格は、ほうれんそうが上旬にかけて平年をわずかに上回ったものの、それ以外の品目は全て平年を大きく下回って推移した。
果菜類の入荷量も、上旬にかけてトマトおよびピーマンが平年をわずかに下回ったが、それ以外は全ての品目において月を通して平年を上回って推移した。価格も、上旬のトマトを除き、月を通して平年を下回って推移した。
根菜類のうちだいこんは、月を通して平年を上回る入荷量となり、特に下旬にかけては大幅に入荷量が伸び、価格も、平年を下回って推移した。一方、にんじんは、産地の切り替えで不安定な時期となり、月を通して入荷量が平年をやや下回って推移し、価格も、堅調に推移した。
土物類は、ばれいしょ、たまねぎに関しては北海道産の在庫が豊富にあることに加え、九州産を中心とした新物も順調であることから潤沢な入荷量となり、いずれも平年を上回った。価格は、月を通して平年を下回って推移した。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(3月速報)
注: 平年比は過去5ヵ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
注:平年とは、過去5ヵ年(平成20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」
3月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万8千トン、前年同月比107%、価格はキログラム当たり188円、同75%であった。
入荷量は、上旬はばれいしょ、キャベツ、たまねぎを除く品目で、中旬ははくさいを除く多くの品目で前年を上回ったが、下旬はピーマン、レタス、たまねぎ、なす、トマト、だいこんを除く品目で前年を下回った。
価格は、月を通して前年を下回って推移し、上旬および中旬はたまねぎを除く多くの品目で、下旬はにんじんを除く多くの品目で前年を下回った。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(3月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」