野菜需給部 調査情報部
12月は、寒気の流入の影響が強く、沖縄・奄美地方を除き、全国的に冷え込みの強い月となった。
概況としては、日本付近を数日の周期で低気圧が通過したため、全国的に降水量が多く、特に日本海側では曇天、降雨又は降雪の日が多くなった。特に低気圧の通過後には、冬型の気圧配置が強まり、北からの強い寒気が流れ込んだため日本海側を中心とした広い範囲で大雪となった。このため、北海道の網走、札幌、帯広、紋別および山口県において統計を開始して以降、月の降水量が最も多い値を記録した。
また、冬型の気圧配置が強まったことから、平均気温が全国的に低く、北日本から西日本にかけては平年を1度以上下回る結果となった。併せて、曇天、降雨又は降雪の日が多かったことから日照時間も全国的に少なく、鹿児島県の阿久津では月の日照時間の最低記録を更新した。産地においては、冷え込みが強く、日照時間も少なかったことから、生育遅れなどの影響が見受けられた。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下のとおり。
12月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が14万トン、前年同月比103%、価格はキログラム当たり244円、同108%となった。
野菜全体の入荷量は、北海道、関東、四国および九州ものを主体に出回り、ほうれんそう、レタスなど一部の葉茎菜類を中心に11月からの低温、曇天の影響を受けたものの、だいこん、キャベツなどの重量野菜の生育がおおむね順調であったことから、月全体では前年同月をやや上回って推移した。また、価格は、単価の高い葉茎菜類のほうれんそうおよびレタスで品不足による価格高騰があったことに加え、年末需要の引き合いも強かったことから、全体で同108%と大きく上回った。
類別にみると、葉茎菜類の入荷量は、レタスおよびほうれんそうが月を通して平年を大きく下回ったものの、はくさい、キャベツおよびねぎは月を通しておおむね平年並みからやや上回る入荷量となった。価格は、旬別では上旬のキャベツを除いて、平年を大きく上回って推移した。特に月全体では、ほうれんそうが平年の1.7倍、レタスが1.9倍と高騰した。
果菜類は、なすとピーマンが月を通して平年を下回る入荷量となり、きゅうりは中旬にかけて平年並みの入荷量となったが、上下旬は下回って推移した。トマトは、月を通して平年を上回る入荷量で推移した。価格は、月全体では全ての品目で平年を大きく上回って推移した。
根菜類は、だいこんは月を通して平年を上回る入荷量となったものの、にんじんは上旬にかけて平年を大きく下回って推移し、月全体でも平年を下回る入荷量となった。価格は、月を通して平年を大きく上回って推移した。
土物類は、ばれいしょやたまねぎの主産地である北海道産が豊作基調であることから、おおむね月を通して平年を大きく上回る入荷量となった。価格は、月を通して大きく下回って推移した。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(12月速報)
注:平年比は過去5カ年平均との比較
資料:東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5ヵ年(平成20~24年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」
12月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万9千トン、前年同月比106%、価格はキログラム当たり223円、同103%であった。
入荷量は、上旬は根菜類、ばれいしょ、ピーマン、ねぎ、はくさいを除く品目で前年を下回ったが、中旬はレタス、だいこん、ほうれんそう、ピーマン、さといも、たまねぎを除く品目で、下旬はばれいしょ、きゅうり、レタスを除く多くの品目で前年を上回った。
価格は、上旬は土物類、ピーマン、にんじん、キャベツで前年を下回ったが、中旬は葉茎菜類、だいこん、ピーマンで、下旬は根菜類、レタス、ねぎ、はくさい、ピーマン、きゅうりで前年を上回った。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(12月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(19~23年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」