野菜需給部 調査情報部
11月は、低気圧の影響が強く、曇りや雨または雪の日が多い月となった。特に北日本、東日本日本海側では月の降水量がかなり多くなり、そのうち北日本日本海側の月降水量は平年比160%と統計開始以降最も多い値を更新した。また、これに伴い日照時間も少なくなり、北日本太平洋側では月の日照時間が平年比77%と統計開始以降最も少ない記録を更新した。
一方、これまで夏からの残暑の影響が強く残り、気温は平年より高めに推移していたが、上空の寒気の影響が強まり、月の平均気温が東日本以西では平年を下回って推移した。北海道も上中旬までは上空の暖かい空気の影響で平年を上回っていたが、中旬に一時的な冬型気圧配置となり、それ以降は平年を下回って推移した。なお、同地域では18日に初雪を観測した。
冷え込みが強まってきたため、野菜の一部の品目で生育の遅れなどの影響が見受けられている。
旬別の平均気温、降水量、日照時間は以下のとおり。
11月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が13万トン、前年同月比102%、価格はキログラム当たり199円、同108%となった。
野菜全体の入荷量は、関東、北海道ものを主体にし、四国、九州ものも出回り、生育は順調であったことから、月全体では前年同月をやや上回って推移した。価格は、前年同月の価格が低迷していたため、前年を大きく上回る品目がみられ、全体でも108%とかなり上回った。
類別にみると、葉茎菜類は、上旬はレタスを除き入荷量が平年並みもしくは上回ったが、中下旬にかけては、ほうれんそう、ねぎが平年を下回る入荷となった。レタスは月を通して平年を下回って推移した。価格は、キャベツ、はくさいといった重量野菜が月を通して平年を大きく下回って推移したが、そのほかの品目は平年を上回る価格で推移した。
果菜類は、上中旬にかけてなすとトマトが平年を下回る入荷量となったが、下旬には全ての品目で平年を上回って推移した。ピーマンは月を通して平年を大きく上回る入荷量で推移した。価格は、なすとトマトが月を通して平年を上回ったのに対し、ピーマンは平年を下回って推移した。特にトマトは、上中旬にかけて平年と比べ大幅に高騰し、一方、ピーマンは平年の7割程度と大幅に下回って推移した。
根菜類は、入荷量は上中旬は平年を上回ったものの、下旬にはペースが上がらず平年を下回って推移した。価格は、月を通して平年を下回って推移した。
土物類は、ばれいしょやたまねぎの主産地である北海道産が豊作基調であることから、おおむね月を通して平年を大きく上回る入荷量となった。価格は、月を通して大きく下回って推移した。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(11月速報)
注:平年比は過去5カ年平均との比較
資料:東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5ヵ年(平成19~23年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」
11月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万7千トン、前年同月比102%、価格はキログラム当たり187円、同105%であった。
入荷量は、上旬はばれいしょ、ピーマン、にんじん、さといも、ねぎ、はくさいで、中旬はたまねぎ、ばれいしょ、にんじんで前年を上回り、下旬はほうれんそう、レタス、きゅうり、キャベツ、はくさい、だいこん、たまねぎで前年を下回った。
価格は、月を通して前年を上回って推移し、上旬および中旬はレタス、トマト、ねぎ、はくさい、ほうれんそう、なすで、下旬はレタス、ほうれんそう、ねぎ、トマト、なす、だいこんで前年を上回った。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(11月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(19~23年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」