野菜需給部 調査情報部
5月は、東日本を中心とした地域では上旬・下旬に降雨や雷雨の多い日が多かった。これは、上空の寒気の影響を受け、大気の状態がたびたび不安定となったことによるものである。これに加えて6日には福島県、茨城県および栃木県で竜巻が発生し、大きな被害をもたらした。また、上旬前半には動きの遅い低気圧の影響を受け、北・東日本太平洋側で記録的な大雨を記録した。このため、これら地域の上旬の降水量は、統計開始の1961年以降、最も多い値を記録した。
一方、西日本では低気圧や南西からの湿った気流の影響を受けることが少なく、月降水量がかなり少なかった。西日本太平洋側では、5月としては統計を開始した1946年以降で2009年と並び最も降水量が少ない月となった。
平均気温は、上旬は全国的に高く、特に北日本で高かった。中旬は北日本から西日本にかけて低くなり、下旬は全国的に平年並みとなった。
降水量は、上旬は北・東日本太平洋側でかなり多く、北日本日本海側で多かった。一方、西日本では少なかった。中旬は北日本日本海側・東日本太平洋側・西日本で少なかった。下旬は全国的に少なく、特に西日本では少なかった。
日照時間は、上旬は北日本太平洋側・東日本日本海側でかなり少なく、北日本日本海側・東日本太平洋側で少なかった。中旬は東日本太平洋側でかなり多く、その他の地域は平年並みであった。下旬は北・東日本日本海側で多く、西日本では少なかった。
5月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が15万トン、前年同月比107.5%、価格はキログラム当たり220円、同117.6%となった。
野菜全体の入荷量は、関東・北海道・四国および九州ものを主体に出回り、中旬にやや入荷量が減少したもののおおむね生育は順調であったことから、月全体では前年同月を上回って推移した。価格は、ほとんどの品目において期間を通して前年および平年を上回って推移した。特に前年は、震災の影響により価格が低迷したことから、前年比では大きく上回って推移した。
類別にみると、葉茎菜類は、ほうれんそうを除いておおむね平年を上回る入荷量となったが、価格は、上旬は平年並みに推移していたものが中旬には高値となり、下旬には下げ基調となったものの平年を上回ったまま推移した。
果菜類は、上旬は平年を上回る入荷量となったが、トマト、なすなどで天候不順などの影響が残り、中下旬にかけて少なめの入荷量となった。価格は、おおむね月を通して平年を上回って推移した。
根菜類は、遅れていた生育が回復し、安定した入荷量となった。価格は、にんじんは月を通して平年を下回って推移したが、だいこんは平年を上回って推移した。
土物類は、主に九州産の出回りとなり、ばれいしょは長崎県産と鹿児島県産の集中的な出荷により、中下旬にかけて平年を上回る入荷量となったが、たまねぎは佐賀県産が少ない入荷となった。価格は、ばれいしょが月を通して平年を大きく下回って推移した一方、たまねぎは平年を上回ったまま推移した。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(5月速報)
注:平年比は過去5カ年平均との比較
資料:東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5ヵ年(平成19~23年)の旬別価格の平均値である。
資料:
東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量および価格」
5月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が4万1千トン、前年同月比108.5%、価格はキログラム当たり203円、同106.8%であった。
入荷量は、上旬はさといも、ばれいしょで、中旬はさといも、はくさい、ばれいしょ、にんじんなどで、下旬はさといも、はくさい、にんじん、キャベツ、なす、きゅうりなどで、前年を上回った。
価格は、上旬および中旬はばれいしょ、さといも、にんじんを除く品目で、下旬もばれいしょ、さといも、きゅうりを除く品目で、前年を上回った。
品目別には次のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(5月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(19~23年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」