野菜需給部 調査情報部
4月は、上旬までは北・東日本を中心に冬型の気圧配置となった。日本列島は寒気の流入や冷涼な移動性高気圧に覆われた影響により、気温の低い日が多かった。中旬以降は、高気圧と低気圧が交互に通過したため不安定な天候が続き、北日本の太平洋側など一部地域においては顕著な低温となった日があったものの、南方から暖かい空気が流れこんだことなどから、下旬にかけては全国的に気温が上昇した。
北日本では、上旬は強い寒気の影響を受けて気温が低く、中旬後半から下旬の初めにもオホーツク海高気圧の影響を受けて太平洋側で冷え込みが強まったことから、昨年12月以降、5ヵ月連続で月平均気温が低かった。
また、月の初めには、急速に発達しながら日本海を進んだ低気圧の影響により、北・西日本の広範囲で大荒れの天気となり、各地で最大風速の記録を更新する暴風に見舞われた。
気温は、上旬は全国的に低く、特に北日本はかなり低かった。中旬はおおむね全国的に平年並みとなった。下旬は全国的に高く、特に北・西日本にかけてはかなり高かった。
降水量は、上旬は北・東日本日本海側で多く、東日本太平洋側、西日本では少なかった。中旬は東日本太平洋側で多く、北日本では少なかった。下旬は東・西日本太平洋側で多く、北・東日本日本海側で少なかった。
日照時間は、上旬は東・西日本太平洋側で多く、北・東日本日本海側で少なかった。中旬は北・西日本太平洋側で少なく、その他の地域は平年並みであった。下旬は北日本日本海側で多く、北・東日本太平洋側では少なかった。
4月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が12万トン、前年同月比92.1%、価格はキログラム当たり250円、同119.1%となった。
野菜全体の入荷量は、関東・北海道・四国および九州ものを主体に出回り、今冬の低温の影響が残ったことから、少なめで推移した。価格は、ほとんどの品目において上中旬までは前年および平年を上回って推移し、下旬にかけては下げ基調となったものの、月平均価格は直近の10年間で平成22年に次ぐ高い水準となった。
類別にみると、葉茎菜類は、低温と1月中旬頃までの少雨の影響が残ったことから入荷量が伸びず、価格は上中旬にかけ平年を上回って推移したものの、下旬には生育が回復傾向となり、下げ基調となった。
果菜類も、トマト、ピーマンで2月の曇天による日照不足の影響が残り、着花不良などが散見されたことから少なめの入荷となり、価格は月を通して平年を大きく上回って推移した。
根菜類は、だいこんについては冬場の低温の影響が残り、上旬は大幅に少ない出荷となったが、中下旬には生育が回復傾向となった。価格は、上旬は高騰したものの、中下旬にかけては下げ基調となり、下旬には平年並みに落ち着いて推移した。
土物類は、ばれいしょ、たまねぎが北海道から九州へ産地の切り替わり時期を迎えたが、冬場の低温による生育遅れの影響で、おおむね月を通して少なめの入荷量となり、価格も平年を上回って推移した。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(4月速報)
注:平年比は過去5カ年平均との比較
資料:東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5ヵ年(平成19~23年)の旬別価格の平均値である。
資料:
東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量および価格」
4月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万5千トン、前年同月比88.8%、価格はキログラム当たり235円、同114.1%であった。
入荷量は、土物類、ほうれんそう、ねぎ、キャベツで前年を上回ったが、中旬はさといも、ばれいしょ、ねぎを除く品目で、下旬はさといもを除く多くの品目で前年を下回った。
価格は、上旬は土物類、にんじんを除く品目で、中旬および下旬は、さといも、ばれいしょを除く多くの品目で前年を上回り、月を通しては前年を上回って推移した。
品目別には次のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(4月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(19~23年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」