野菜需給部 調査情報部
3月は、前月に続いて日本列島に寒気が流れ込みやすい状態となり、天気は短い周期で変化した。
上旬の気温は全国的に高めで推移したものの、中旬以降は冷え込み、特に北日本では昨年12月以降4ヵ月連続で月平均気温が低くなるなど、月を通して寒暖の差が大きかった。上旬は、本州南部を通過した低気圧や前線の影響を受けて暖かく湿った空気が流れ込んだことから、全国的に曇りや雨の日が多く、特に東日本太平洋側では顕著な寡照となり、気象庁が統計を開始した1961年以降最も少ない値を記録した。
中下旬にかけては冬型の気圧配置となり、寒気の影響を受けて不安定な天候が続いたものの、東・西日本太平洋側では晴れの日が続いたことから、日照時間は平年より多かった。
気温は、上旬は東・西日本で高く、北日本では平年並みだった。中旬はおおむね全国的に低く、特に北日本ではかなり低かった。下旬は東日本で低く、北・西日本では平年並みだった。
降水量は、上旬は太平洋側と西日本日本海側で多く、北・東日本日本海側では平年並みだった。中旬は東日本日本海側で多く、その他の地域では少なかった。下旬は北日本と東・西日本日本海側でかなり多く、東・西日本太平洋側では平年並みだった。
日照時間は、上旬は北日本日本海側で多かったが、記録的寡照となった東日本太平洋側を中心に、おおむね全国的に少なかった。中旬は一転して東日本日本海側で多く、北日本太平洋側で少なかった。その他の地域では平年並みだった。下旬も引き続き東日本太平洋側で多く、西日本でも多かった一方、北日本と東日本日本海側では少なかった。
3月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が13万トン、前年同月比101%、価格はキログラム当たり267円、同121.9%となった。
野菜全体の入荷量は、関東・北海道・四国および九州ものを主体に出回り、今冬の強い寒気による低温や日照不足の影響を受け、前月に引き続き生育停滞がみられたものの、野菜総量では月全体で前年および平年並みとなった。価格は、ほとんどの品目において前年および平年を上回って推移し、葉茎菜類、果菜類および根菜類を中心に高値展開となり、月平均価格は過去10年間で最も高い水準となった。
類別にみると、葉茎菜類は、低温と1月中旬頃までの少雨の影響を受けて生育が停滞したことに加え、特にはくさい、レタスは、春作の出荷開始が遅れたことから出荷の谷間となり、価格は、おおむね月を通して平年を大幅に上回って推移した。
果菜類は、曇天による日照不足などにより生育が進まず、前月に続き少なめの入荷となったことから、価格は月を通して平年を大幅に上回って推移した。
根菜類についても、低温の影響を受けて露地ものの肥大が進まず、小ぶりのものが中心となり、少なめの入荷となったことから、月平均価格は平年を大幅に上回った。
土物類は、ばれいしょ、たまねぎの本州産および九州産の出荷開始に伴い、入荷量は下旬にかけて増加傾向となり、価格はおおむね平年に近い水準で推移した。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(3月速報)
注:平年比は過去5カ年平均との比較
資料:東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5ヵ年(平成19~23年)の旬別価格の平均値である。
資料:
東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量および価格」
3月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万6千トン、前年同月比99.1%、価格はキログラム当たり251円、同112.6%であった。
入荷量は、上旬は土物類、キャベツ、ピーマン、にんじん、ねぎで前年を上回ったが、中旬はさといも、ばれいしょ、にんじんを除く多くの品目で前年を下回り、下旬はさといも、にんじん、ピーマン、葉茎菜類で前年を上回った。
価格は月を通して前年を上回って推移し、上旬は土物類を除く品目で、中旬は土物類、にんじんを除く品目で、下旬は土物類、にんじん、はくさいを除く品目で前年を上回った。
品目別には次のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(3月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(19~23年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」