野菜需給部 調査情報部
12月は、上旬までは冬型の気圧配置が長続きせず、この時期としては低気圧や前線の影響を受けて不安定な天候が続いていたが、中下旬には全国的に冬型の気圧配置となって日本海側を中心に積雪も見られるなど、冷え込みが強まった。
気温は、上旬は北日本には強い寒気が流れ込んで低下したものの、東日本では平年並み、西日本では高めに推移した。中旬に入るとおおむね全国的に冬型の気圧配置となって低めで推移し、下旬にかけては更に寒気が強まり、全国的に低かった。
降水量は、上旬は低気圧や前線の影響を受けて全国的に多く、東日本日本海側では平年並みだった。中旬は、東日本日本海側を中心に、気圧の谷の影響を受けて多く、北日本日本海側は平年並み、北・東日本太平洋側、西日本ではかなり少なかった。下旬は日本海側を中心に大雪となり、北・東日本日本海側で多く、北日本太平洋側、西日本日本海側で平年並みとなり、東・西日本太平洋側では少なかった。
日照時間は、上旬は北日本においては平年並みとなったものの、東・西日本以西において顕著な寡少となった。中旬は、日本海側では曇天が続いたため少なく、太平洋側は晴れの日が続き、多かった。下旬は東日本日本海側で少なく、北・東日本太平洋側、西日本日本海側で平年並み、西日本太平洋側では晴れの日が続いたことから、多かった。
12月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が13万3千トン、前年同月比99.8%、価格はキログラム当たり227円、同107%となった。
野菜全体の入荷量は、関東、四国、九州ものを主体に出回り、上旬は好天による生育の前進化などにより安定した入荷量となったものの、中下旬にかけては気温が低下し、生育停滞などが見られたことから、やや少なめの入荷となった。
価格は、中旬から年末の需要期にかけて入荷量が減少したことを受けて、多くの品目において上げ基調となり、特に下旬は平年を上回る高値展開となった。
品目別にみると、きゅうり、トマト、なす、ピーマンなど果菜類は、主産地の西南暖地において、11月から12月にかけての曇天の影響を受けて着果が悪かったことから、少なめの入荷となった。このため価格は月を通して平年を上回って推移した。
キャベツ、レタス、ほうれんそうなど葉茎菜類は、上旬までの高めの気温の影響を受け、出荷が前進化して入荷量が減ってきたところに、下旬の冷え込みの影響を受けて生育が停滞したことから、年末にかけて入荷量が更に減少し、価格は上げ基調となった。
はくさい、ねぎなどについては、上旬までは高めの気温が続いて安定した入荷となったことから、価格は弱含みで推移し、にんじんも月を通して潤沢な入荷となったことから、月平均価格は平年を下回った。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(12月速報)
注:平年比は過去5カ年平均との比較
資料:東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(18~22年)の旬別価格の平均値である。
資料:
東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量及び価格」
12月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万7千トン、前年同月比99.4%、価格はキログラム当たり217円、同106.9%であった。
入荷量は、上旬は土物類、なす、ねぎ、ほうれんそうなどで前年を上回ったが、中旬はたまねぎ、さといも、ピーマン、キャベツ、ねぎ、だいこんを除く多くの品目で前年を下回り、下旬はピーマン、レタス、ほうれんそう、なす、はくさい、トマトを除く多くの品目で前年を上回った。
価格は、上旬は果菜類と根菜類を除く多くの品目で前年を下回ったが、中旬はたまねぎ、ばれいしょ、ねぎ、キャベツ、はくさいを除く多くの品目で、下旬も土物類とねぎを除く多くの品目で前年を上回った。
品目別には次のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(12月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(18~22年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」