野菜需給部 調査情報部
11月の天候は、この時期としては全国的に晴れて暖かい日が続いたことから、月を通して平均気温は高めで推移した。特に、西日本の一部地域においては、1961年の統計開始以降最も高い値を更新するなど、記録的な高さとなった。月の前半、高気圧に覆われて晴れの日が続いた北日本では、月間降水量が太平洋側でかなり少なく、月間日照時間が日本海側でかなり多かった。
気温は、上中旬は暖かい日が続いたことから、全国的に高かった。下旬には、旬のはじめに西高東低の冬型の気圧配置となり全国的に冷え込んだものの、月末にかけて再び暖かい空気が流れ込んだことから、おおむね全国的に高く、北日本では平年並みとなった。
降水量は、上旬は一時的にまとまった雨が降ったものの、旬全体では東日本日本海側、西日本では平年並みとなり、北・東日本太平洋側、北日本日本海側では少なかった。中旬は、暖かく湿った空気が流れ込み、全国的に雨となったことから、東日本太平洋側・北・東日本日本海側、西日本で多く、北日本太平洋側では平年並みとなった。下旬は低気圧の影響により曇雨天となった北日本日本海側で多く、そのほかの地域では平年並みか少なかった。
日照時間は、上旬は北日本で多く、西日本・東日本太平洋側で少なかった。東日本日本海側では平年並みだった。中旬も北日本で多く、東・西日本では平年並みだった。下旬は北日本で少なく、東・西日本では引き続き平年並みとなった。
11月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量及び価格は、入荷量が12万7千トン、前年同月比104.9%、価格はキログラム当たり183円、同72.7%となった。
野菜全体の入荷量は、関東・北海道ものを主体に四国、九州ものが出回り、好天による順調な生育を受け、月を通して野菜全体で前年同月をやや上回る安定した入荷となった。
価格は、野菜全般において、月を通して高値の前年を下回って推移し、中下旬は平年の価格も下回る安値展開となった。
品目別に見ると、トマト、きゅうりについては、月を通して気温が高めに推移したことにより、サラダ商材としての引きが根強くあった中で、曇天の影響で西南暖地産の入荷量が一時的に減少したことなどから、上中旬の価格は高値の前年を下回ったものの、月を通しておおむね平年を上回って推移した。これに対し、はくさい、ねぎなどについては、順調な入荷となったことに加え、気温が高めに推移したことにより、鍋物需要が弱かったことなどを背景に、価格は平年を下回って推移した。
ほうれんそうは、主産地において9月の台風の影響で後ずれした作型と、11月の好天で前進化した作型の出荷時期が重複したことなどから潤沢な入荷となり、中下旬にかけて平年を大幅に下回る安値となった。北海道産が大宗を占めるたまねぎ及びばれいしょは、9月の長雨や台風による傷みなどが発生し、少なめの入荷となっていたが、下旬にかけてやや増加傾向となった。
なお、品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(11月速報)
注 :平年比は過去5カ年平均との比較
資料:東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(18~22年)の旬別価格の平均値である。
資料:
東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量及び価格」
11月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万6千トン、前年同月比104.8%、価格はキログラム当たり179円、同75.8%であった。
入荷量は、上旬はさといもを除く品目で前年を上回ったが、中旬はきゅうり、ばれいしょ、にんじん、さといも、はくさいなどで前年を下回り、下旬はばれいしょ、だいこん、にんじん、トマトを除く多くの品目で前年を上回った。
価格は月を通して前年を下回って推移し、上旬は全ての品目で、中旬はきゅうり、さといもを除く多くの品目で、下旬はきゅうり、トマトを除く多くの品目で前年を下回った。
品目別には次のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(11月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 農林水産省「青果物卸売市場調査」
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(18~22年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省「青果物卸売市場調査」