（1） 10月の気象概況

　10月の天候は、北日本から西日本にかけて低気圧と高気圧が交互に通過したため、数日の周期で変化した。上旬には北日本を中心に顕著な低温となった時期があり、中旬にかけては東・西日本などの各地で夏日を記録するなど気温変動が大きかった。下旬には四国や九州など南日本の一部地域において大雨となる日があった。
　気温は、上旬はおおむね全国的に低かった。中旬は高気圧に覆われて北・西日本で高く、下旬も引き続き暖気が流れ込み、北・西日本で高かった。
　降水量は、上旬は低気圧が通過したことから北日本日本海側で多く、その他の地域は平年並みか少なかった。中旬は、高気圧の通過後は気圧の谷と前線の影響をうけ、西日本で多く、その他の地域は平年並みか少なかった。下旬は、湿った暖気が流れ込み、東・西日本各地で大雨となり、特に高知県では記録的な大雨となった。
　日照時間は、上旬は、北日本日本海側を除いておおむね全国的に多かった。中旬は北日本太平洋側、東日本日本海側で多かったが、西日本では旬の後半に夏日となった日があったものの、旬全体としては少なめとなり、そのほかの地域では平年並みだった。下旬は全国的に曇雨天が続いたため、平年並みだった東日本太平洋側以外の地域では少なかった。特に北日本太平洋側においては、10月下旬としてはかなり少ない値を記録した。

（2）東京都中央卸売市場

　10月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量及び価格は、入荷量が13万６千トン、前年同月比104.9％、価格はキログラム当たり223円、同91.0％となった。
　入荷量は、関東・北海道もの及び東北ものが主体に出回り、野菜全体では９月に引き続き前年同月をやや上回った。価格は、上旬は９月の台風の影響などによる入荷減をうけ、平年を大きく上回ったが、中下旬にかけては安定した天候となったことから入荷量が増加し、下落傾向となった。
　品目別にみると、上旬は、９月の台風や長雨などによる病害の影響を引きずり、レタスやはくさいなど露地もので入荷減となったほか、台風の影響で入荷量が減少したなすを含め、ピーマン、トマトなどの果菜類においても少なめとなり、野菜全般において平年を下回る入荷量となった。このため価格は、高かった前年同旬には届かないものの、平年を上回って推移した。
　中旬は、好天により生育が回復傾向となったことから、なすやほうれんそうなど一部品目を除き、ほとんどの品目において入荷量は増加した。価格はこれに伴って下げ基調となったものの、高値の前年同旬並みとなり、依然として平年を上回った。
　下旬は、ほとんどの野菜において順調な入荷となったため価格は続落し、平年をやや下回って推移した。
　北海道産の出荷が大宗を占めるたまねぎ及びばれいしょについては、長雨や台風による傷みや収穫作業の遅れが発生し、少なめの入荷となったことから、価格は月を通して平年を上回って推移した。なお、品目別の詳細については以下のとおり。

（3）大阪市中央卸売市場

　10月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が３万８千トン、前年同月比105.0％、価格はキログラム当たり225円、同95.3％であった。
　入荷量は、上旬はたまねぎ、レタス、さといも、ねぎを除く多くの品目で前年を下回ったが、中旬はなす、さといも、はくさい、トマトを除く多くの品目で前年を上回り、下旬もにんじんを除く多くの品目で前年を上回った。
　価格は、上旬はなす、はくさい、だいこん、きゅうりなどで前年を上回り、中旬もたまねぎ、ばれいしょ、レタス、ねぎ、キャベツを除く多くの品目で前年を上回ったが、下旬はなす、ピーマンを除く多くの品目で前年を下回った。
　品目別には次のとおり。

（執筆者：東果大阪株式会社　福重　博美）