野菜需給部 調査情報部
9月は、上旬には台風12号、中下旬には台風15号が通過し、広い範囲で大雨や暴風となった。特に北日本日本海側の月降水量は、9月としては1946年以降最も多い値を記録した。一方で、東日本においては月全体での日照時間が多く、特に中旬は気温が上がり、厳しい残暑となった。
気温は、上旬は期間を通して暖かく湿った空気が流れ込み、北日本で高かった。中旬は東、西日本においては勢力の強い太平洋高気圧に覆われて高かったが、下旬になると寒気が南下し、西日本では低くなった。そのほかの地域は平年並みとなった。
降水量は、台風12号が通過した上旬は、北日本、西日本太平洋側及び東日本太平洋側で多かった。中旬は、北日本においては期間を通して前線や気圧の谷の影響を強く受け、降水量が多かった。期間後半から22日頃にかけては、台風15号が接近して東・西日本の各地で大雨となり、下旬の降水量は北日本と東日本日本海側で多かった。一方、西日本太平洋側では少なかった。
日照時間は、上旬は台風12号が通過したことから北日本、東日本日本海側で少なく、そのほかの地域は平年並みとなった。中旬は台風15号による曇雨天が続き、北日本では少なかったが、東日本では晴れ、全体としては多かった。下旬は、台風通過後は移動性高気圧に覆われておおむね全国的に晴れ、多かった。
9月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が12万8千トン、前年同月比102.2%、価格はキログラム当たり244円、同94.2%となった。
関東、東北及び北海道もの主体に出回り、入荷量は、夏場の猛暑と少雨で少なかった前年に比べて微増となったものの、レタスやはくさいなど露地ものを中心に、2度の台風やこれに伴う長雨の影響を受けてほ場冠水や病害が発生し、特に下旬にかけては入荷量が少なかったことから、野菜全体で平年を下回った。
このため価格は、高値の前年には届かないものの、月を通して平年を上回り、堅調に推移した。
上旬は、月初の台風12号の接近に伴い各地で曇雨天となったが、にんじん、はくさい、キャベツ、ピーマン、たまねぎなどにおいてはおおむね順調な入荷となった。価格は高値の前年を下回ったものの、平年をやや上回って堅調に推移した。
中旬も台風15号が接近したため天候は安定せず、レタスやはくさいなど葉茎菜類を中心に入荷量が減少したことから価格は上げ基調となり、高値の前年を下回ったが、引き続き平年を上回った。
下旬も、中旬から続いた台風15号に伴う曇雨天の影響から生育停滞や病害の発生などが見られ、野菜全般において少なめの入荷量となった。価格は中旬からもちあいとなり、高騰した前年同旬を下回るものの、平年に比べ高い水準で推移した。
品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(9月速報)
注 :平年比は過去5カ年平均との比較
資料:東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(18~22年)の旬別価格の平均値である。
資料:
東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量及び価格」
【10月上旬の動向】
9月は2度の大型の台風と台風後の低温の影響で、生育停滞や降雨による病害の発生などが見られた。10月上旬もこの傾向を引きずり、特に果菜類は台風による傷などが発生し、入荷量が減少した。このため、全体の卸売価格は平年を大きく上回って推移した。
9月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万5千トン、前年同月比105.2%、価格はキログラム当たり239円、同93.4%であった。
入荷量は、上旬はレタス、なす、きゅうりを除く多くの品目で前年を上回り、中旬もレタス、はくさい、キャベツを除く多くの品目で前年を上回ったが、下旬はほうれんそう、ピーマン、キャベツ、はくさいを除く多くの品目で前年を下回った。
価格は月を通して前年を下回って推移し、上旬はレタス、さといも、きゅうり、なす、だいこんを除く多くの品目で、中旬はレタス、はくさい、さといもを除く多くの品目で、下旬はきゅうり、だいこん、はくさい、さといもなどを除く多くの品目で前年を下回った。
品目別には次のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 福重 博美)
大阪市中央卸売市場の動向(9月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 農林水産省青果物卸売市場調査
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(18~22年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省青果物卸売市場調査