野菜需給部 調査情報部
8月は、月の後半にかけて前線や湿った気流の影響で天候が安定せず、東・西日本の各地で大雨となる日が多かった。
気温は、上旬は北日本で高く、中旬は北・東日本で高く、下旬は東日本で低かった。北・東日本では、太平洋高気圧の勢力が刻々と変化したことから、時期によって寒暖の差が大きかったものの、月全体でみるとおおむね平年並みとなった。
降水量は、上旬は西日本を中心に台風9号の影響で大雨となる日もあったが、西日本太平洋側では平年並み、そのほかの地域では少なかった。中旬は、日本海側は雨の日が多かったことから、日本海側を中心に多く、東・西日本太平洋側では平年並みだった。下旬は全国的に大気の状態が安定せず、月末には大型で強い台風12号が東日本から西日本に接近したことから局所的に大雨となり、北日本日本海側を除いて全国的に多かった。
日照時間は、上旬は北・東日本日本海側で多かったが、西日本日本海側では少なく、そのほかの地域は平年並みとなった。中旬は、太平洋側は高気圧に覆われて晴れの日が続いたことから北・東日本太平洋側では多かったが、東・西日本日本海側では少なかった。北日本日本海側、西日本太平洋側では平年並みだった。下旬は東日本で少なく、北日本太平洋側、西日本では平年並み、北日本日本海側では多かった。
8月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格は、入荷量が12万7千トン、前年同月比103.2%、価格はキログラム当たり219円、同89.5%となった。
関東、東北および北海道もの主体に出回り、生育は各産地ともおおむね順調で、入荷量は果菜類の一部が前年に比べ少なめとなったものの、根菜類、葉茎菜類を中心に全般的に増加傾向となった。このため価格は、野菜全般において猛暑により高値展開となった前年を下回り、月を通して平年を下回って推移した。
上旬はおおむね安定した天候となったこともあり、野菜全般において入荷量が増加し、価格はきゅうり、トマトなど果菜類を除いて前年を下回って推移した。
中旬はきゅうり、トマトなど果菜類の入荷量が増加したことから、価格は下げ基調に転じ、すべての品目において前年を下回った。
下旬も引き続きキャベツ、だいこんなどで低迷したが、月末にかけては台風12号の接近に伴い各地で曇雨天となり、入荷量が減少したことから、レタスのほか、きゅうりやトマトなど果菜類を中心に高めで推移した。
はくさい、キャベツ類に加え、ばれいしょ、たまねぎ、だいこん、にんじんなど根菜、土物類については、月を通して潤沢な入荷となったことから価格は前年を下回り、安値で推移した。
品目別の詳細については以下のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(8月速報)
注 :平年比は過去5カ年平均との比較
資料:東京青果物情報センター「青果物流通年報・月報・旬報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(18~22年)の旬別価格の平均値である。
資料:
東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量及び価格」
【9月上旬の動向】
8月末から9月上旬にかけては、各地で台風12号による被害が発生した。レタスについては、長雨による病害の発生により入荷量が大幅に減少し、価格は高騰した。なすやきゅうりなど果菜類についても、曇雨天などの影響で少なめの入荷となり、高値で推移した。キャベツやにんじん、たまねぎなど土物類については引き続き安定した入荷量となったが、上旬の価格は上げ基調となり、平年を上回った。
8月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万6千トン、前年同月比104.9%、価格はキログラム当たり209円、同86.7%であった。
入荷量は、上旬はなすを除く多くの品目で前年を上回り、中旬もばれいしょ、たまねぎ、なす、ねぎを除く多くの品目で前年を上回ったものの、下旬はトマト、レタス、キャベツ、なすなど多くの品目で前年を下回った。
価格は月を通して前年を下回って推移し、上旬は果菜類を除く多くの品目で、中旬はなす、トマト、さといもを除く多くの品目で、下旬はレタス、なす、さといもを除く多くの品目で前年を下回った。
品目別には次のとおり。
大阪市中央卸売市場の動向(8月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 農林水産省青果物卸売市場調査
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5カ年(18~22年)の旬別価格の平均値である。
資料:
農林水産省青果物卸売市場調査