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需給動向


東京都および大阪市中央卸売市場における入荷量・価格の動向(2009年12月)

~9月以降は前年および平年を下回る価格の推移~

野菜需給部 調査情報部


(1) 12月の気象概況

 12月の気象は、上旬から中旬にかけ、低気圧の影響で太平洋側を中心に大雨となった。その後は、強い寒気が日本付近に南下し、冬型の気圧配置となった。また、全国的に寒暖の差が大きかった。

 気温は、上旬は全国的に平年を上回り、中旬は北海道、東北を中心に平年を下回った。下旬は関東を中心に平年を上回った。降水量は、上旬は東北・関東の太平洋側で平年を大きく上回った。中旬は北海道の一部を除き、太平洋側で平年を大きく上回った。下旬は北海道の太平洋側で平年を大きく上回り、関東および九州の一部で平年を大きく下回った。

 日照時間は、上旬は北海道・東北の日本海側で平年を大きく上回り、中旬は東北の日本海側および北陸で平年を大きく下回った。下旬は東北の日本海側を中心に平年を下回った。

(2) 東京都中央卸売市場

 12月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が14万トン、前年同月比100.4%、価格はキログラム当たり209円、同92.8%であった。

 入荷量は、上旬はにんじん、キャベツ、きゅうり、トマトなどで前年を上回った。中旬はきゅうり、ピーマンなどを中心に全般的に前年を下回り、下旬はにんじん、キャベツ、トマトなどで前年を上回った。

 品目別には次のとおり。

東京都中央卸売市場の動向(12月速報)

注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報」

指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)

※クリックすると拡大します。

(単位:円/kg)

注  :

平年とは、過去5カ年(16~20年)の旬別価格の平均値である。

資料:

東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量及び価格」

(3) 大阪市中央卸売市場

 12月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が4万トン、前年同月比101%、価格はキログラム当たり197円、同90%と前年を下回った。

 入荷量は上旬、下旬に前年を上回る入荷となり、月全体では、前年をわずかに上回る程度であったが、価格は下旬にやや持ち直したものの、すべての旬において前年を下回る推移となった。

 その中で、特にキャベツ、トマトは、潤沢な入荷となり、前年および平年を大幅に下回る価格の推移となった。一方、ほうれんそうは、主産地の11月の降雨の影響により傷みが生じたことなどにより、入荷量は減少し、価格は高値で推移した。

 品目別には、次のとおり。

(執筆者:東果大阪株式会社 柳原孝司)

大阪市中央卸売市場の動向(12月速報)

注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 全国生鮮食料品流通情報センター

指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場

※クリックすると拡大します。

(単位:円/kg)

注  :

平年とは、過去5カ年(16~20年)の旬別価格の平均値である。

資料:

全国生鮮食料品流通情報センター

需給トピックス

野菜の作付面積および出荷量について

1.我が国の耕地面積および販売農家数の推移

 農林水産省が、平成21年10月27日に公表した「平成21年耕地面積」および平成21年6月30日に公表した「平成21年農業構造動態調査結果の概要」によると、平成21年の耕地面積は4,609千ha、販売農家数は1,699千戸であり、平成15年と比較して、耕地面積は3%、販売農家数は13%減少している(表1)。

表1 耕地面積と販売農家数の推移

農林水産省:「平成21年度耕地面積」、「平成21年度農業構造動態調査結果の概要」

2.野菜の作付面積および出荷量の推移

 野菜については、農林水産省が平成21年10月2日に公表した「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」によると、作付面積は、全耕地面積の11%に相当する501千ha、出荷量は12,127千トンであり、平成15年と比較して、作付面積は5%、出荷量は2%減少した。

 作付面積の減少要因は、高齢化、後継者不足などの労働力要因や台風などの気象要因による作付けの見合わせなどが考えられる。また、出荷量も作付面積の減少に伴い減少しているが、減少幅は、作付面積の減少幅に比べ小さく、その要因としては、気象要因、新品種の導入などが挙げられる。

 多くの野菜で作付面積および出荷量の減少が見られるが、中には横ばい、ないし、増加しているものもある(表2)。

表2 野菜の作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目*)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」
*農林水産省「平成20年産野菜(39品目*)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」における野菜の分類は、以下のとおりであり、下記表以外に香辛野菜1品目、果実的野菜3品目がある。東京都中央卸売市場などでは、ばれいしょおよびたまねぎは、土物類に分類されるが、本稿では下記表に従ってばれいしょは根菜類、たまねぎは葉茎菜類として分類する。

 以下、農林水産省の資料をもとに、主要な野菜の各分類、品目ごとの作付面積および出荷量の推移を紹介する。

3.根菜類の作付面積および出荷量の推移

 平成20年の根菜類の作付面積は181千ha、出荷量は4,656千トンで、平成15年と比較して、作付面積は7%、出荷量は5%の減少であった。

 重量野菜の割合が高い根菜類については、高齢化、労働力不足などにより、野菜の類の中でも作付面積の減少幅は大きかった。

 出荷量は、気象要因、新品種の導入などにより、作付面積の減少幅より小さかった(表3)。

表3 根菜類の作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

(1) だいこん

 根菜類のうち、作付面積の減少幅の大きい品目にだいこんが挙げられる。

 だいこんは、各産地でほかの野菜への転換、高齢化、労働力不足などによる規模縮小などがあり、特に春だいこんは、北海道および東北地方の産地における融雪の遅れなどの気象要因により、平成20年の作付面積は37千haとなり、平成15年と比較して12%の減少となった。

 また、平成20年の出荷量は1,250千トンで、平成15年と比較して6%の減少であり、作付面積より減少幅は小さかった(表4)。

表4 だいこんの作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

(2) にんじん

 にんじんは、根菜類の中でも作付面積が比較的小さい品目であり、平成20年は19千haで、平成15年と比較して5%の減少であった。

 各産地における労働力不足による規模縮小、四国、九州を中心とした作付面積の減少があったものの、平成19年以降は、販売価格が堅調であったことなどから、作付面積は増加した。これにより平成20年の作付面積は、平成18年と比較して、2%の増加となった。

 出荷量は、気象要因に左右されたが、新品種の導入などにより、平成20年は576千トンと、平成15年と比較して1%の増加となった(表5)。

表5 にんじんの作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

(3) ばれいしょ

 ばれいしょは、根菜類の中で最も作付面積の多い品目であり、平成20年は85千haで、平成15年と比較して4%の減少であった。

 長崎県などを中心に労働力不足や土壌病害の影響による規模縮小およびほかの野菜への転換が行われたが、全国の作付面積の8割を占める北海道では、価格が安定していることや加工用が増加したことにより、平成16年から平成19年までは、作付面積は安定して推移した。しかし、平成19年産が豊作であったことから価格は下がり、平成19年と比較して平成20年の作付面積は3%減少した。

 また、出荷量は、平成20年は2,252千トンと、面積の減少と気象要因により、平成15年と比較して6%の減少となった(表6)。

表6 ばれいしょの作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

4.葉茎菜類の作付面積および出荷量の推移

 平成20年の葉茎菜類の作付面積は180千ha、出荷量は4,641千トンであり、平成15年と比較して、作付面積は1%の減少、出荷量は4%の増加であった。

 葉茎菜類は、比較的軽量野菜が多いことや、ほかの分類からの転換が容易であることなどから、作付面積はほぼ横ばいとなった。

 出荷量は、気象要因、新品種の導入などにより増加した(表7)。

表7 葉茎菜類の作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

(1) はくさい

 はくさいは、作付面積が横ばいであった葉茎菜類の中で、作付面積の減少幅の大きい品目であった。

 はくさいは、だいこんと同様に重量野菜であり、茨城県や長野県などの主産地を中心として、高齢化などの労働力要因により、規模縮小が進んだことや、ほかの品目への作付転換が進んだことから、作付面積は、平成20年は19千haとなり、平成15年と比較して10%の減少となった。

 また、平成20年の出荷量は、気象要因などにより712千トンとなり、平成15年と比較して2%の減少と、作付面積に比べ減少幅は小さかった(表8)。

表8 はくさいの作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

(2) キャベツ

 キャベツは、はくさいと同様に葉茎菜類の中でも重量野菜であり、作付面積は、平成20年は33千haと平成15年と比較して4%の減少であったが、平成19年との比較では、ほかの野菜からの品目転換もあり、1%の増加となった。

 出荷量は、平成20年は1,208千トンで、気象要因などもあり2%の増加となった(表9)。

表9 キャベツの作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

(3) レタス

 レタスは、ほかの野菜からの作付転換や、長崎県の諫早湾干拓地における新規作付などの増加要因はあったが、高齢化、労働力不足などの労働力要因などにより、平成20年の作付面積は21千haと、平成15年と比較して6%減少した。

 出荷量は、気象要因や新品種の導入などにより、平成20年は513千トンと、平成15年と比較して1%の増加となった(表10)。

表10 レタスの作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

(4) ブロッコリー

 ブロッコリーは、近年需要が多く、市場価格が安定していることや、北海道などで、だいこんなどからの作付転換が進んだこと、さらに、各地で新規作付などにより作付面積が増加したことから、平成20年の作付面積は13千haとなり、平成15年と比較して25%の増加となった。

 出荷量は、平成20年は121千トンであり、作付面積の増加に加えて、気象要因や新品種導入などもあり、平成15年と比較して32%の増加となった(表11)。

表11 ブロッコリーの作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

(5) たまねぎ

 たまねぎは、平成17年までは、ほかの野菜への転換、労働力不足による規模縮小により作付面積は減少していたが、全国の作付面積の6割を占める北海道を中心に、平成18年以降は、価格が安定していたことから、ほかの野菜からの転換もあり、作付面積は増加に転じた。平成20年の作付面積は24千haで、平成15年と比較して3%の増加となった。

 出荷量は、気象要因や作付面積の増加により、平成20年は1,115千トンと、平成15年と比較して10%の増加となった(表12)。

表12 たまねぎの作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

5.果菜類の作付面積および出荷量の推移

 平成20年の果菜類の作付面積は110千ha、出荷量は2,086千トンで、平成15年と比較して作付面積は5%の減少、出荷量は3%の減少であった。

 果菜類は、多くが施設野菜であることから、露地野菜である根菜類および葉茎菜類と異なり、作付面積の変動は少ないが、高齢化などの労働力要因、燃油価格高騰の影響から規模縮小などが見られ、作付面積は減少傾向となった。

 出荷量は、燃油価格が上昇したことによる促成作型の温度設定の変更や加温時間の制限などの減少要因はあったが、新品種の導入などにより、大きな減少とはならなかった(表13)。

表13 果菜類の作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

(1) トマト

 夏秋作型は、労働力要因による作付中止や規模縮小、冬春作型は、燃油価格高騰による作付中止や規模縮小により、平成20年の作付面積は13千haと、平成15年と比較して5%の減少となった。

 出荷量は、作付面積の減少に加えて、気象要因や病害虫、燃油価格高騰による不十分な加温などから、平成20年は648千トンと、平成15年と比較して3%の減少となった(表14)。

表14 トマトの作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」

(2) きゅうり

 夏秋作型は、主産地におけるほかの品目への転換による作付中止や規模縮小、冬春作型は、高齢化などの労働力要因や燃油価格高騰による作付中止や規模縮小により、平成20年の作付面積は13千haで、平成15年と比較して11%の減少となった。

 出荷量は、燃油価格高騰により、不十分な加温などの減少要因はあったが、気象要因などにより、平成20年は648千トンと、平成15年と比較して8%の減少にとどまった(表15)。

表15 きゅうりの作付面積と出荷量の推移

農林水産省「平成20年産野菜(39品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)」


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