野菜需給部 調査情報部
10月の気象は、上旬に台風18号が本州を縦断し、下旬には台風20号が関東に接近したため、各地で暴風や大雨となった。また、北海道から九州にかけて気温の変動が大きかった。
気温は上、中旬は平年並みとなったが、下旬は平年を上回り、特に中部、関西、九州北部などで大きく上回った。降水量は、上旬は台風18号の影響により平年を大きく上回り、中旬は北海道と、東北日本海側を除き、平年を大きく下回り、下旬は東北太平洋側、関東と甲信越は平年を上回った。
日照時間は、上旬は平年を下回り、中旬は北海道を除き平年を上回った。下旬は東北日本海側を中心に平年を上回った。
10月の中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が14万6千トン、前年同月比101.9%、価格はキログラム当たり177円、同86.2%であった。
上旬はレタスなどの葉菜類、きゅうり、なす、ピーマンなどの果菜類、にんじんなどの根菜類を中心に多くの品目で入荷量が多く、価格は下げ基調となった。中旬以降は、きゅうり、なす、ピーマンなどの果菜類で入荷が伸びず、価格は上げ基調となった。一方、ほうれんそう、ばれいしょ、たまねぎは月を通して、入荷量は伸びず価格は上げ基調となった。
品目別には次のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(10月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5ヵ年(15~20年)の旬別価格の平均値である。
資料:
東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量及び価格」
10月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が4万1千トンでほぼ前年並みとなり、価格はキログラム当たり178円で前年同月比89%、平年比82%と大きく下げた。
10月の価格は、好天により総じて順調な入荷となったことから、多くの品目で安値推移となった。中でもレタスは、夏場の産地から秋冬の産地へと切り替わる時期となるが、本年は、夏秋ものにおいて、7月の天候不順が影響した定植の遅れによる出荷の後ズレや、10月の気温が高めであったことによる出荷の継続、秋冬ものにおける気温高による出荷の前進化などが重なり潤沢な入荷となり、上旬から下旬にかけて価格は上向いたものの、前年および平年をかなり下回る価格の推移となった。
一方、天候不順の影響により小玉傾向であったばれいしょ、たまねぎは、引き続き高値で推移した。
品目別には次のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 柳原孝司)
大阪市中央卸売市場の動向(10月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 全国生鮮食料品流通情報センター
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5ヵ年(15~20年)の旬別価格の平均値である。
資料:
全国生鮮食料品流通情報センター
需給トピックス
作付面積の推移
出荷量の推移
作付面積は、2000年の723haから2008年の657haと漸減傾向にある。出荷数量も、2000年の37,600トンから2008年の32,400トンと減少しているが、2005年以降は33,000トン前後で推移している。主産県は、長野県、静岡県であり、2008年の実績で作付面積は、長野県41.7%、静岡県19.0%、出荷量は、長野県40.4%、静岡県22.3%を占めている。出荷期間は、長野県が5月から11月、静岡県が11月から5月となっており、夏季には長野県を主体に、冬季には静岡県を主体に福岡県、愛知県、千葉県、茨城県などから供給されている。
2007年 セルリーの月別県別出荷実績(東京都中央卸売市場)
資料:農畜産業振興機構HP(http://vegetan.vegenet.jp/ippan/vt-yasaimap.htm)
平成19年東京都中央卸売市場年報より作成
東京都中央卸売市場 価格の推移
東京都中央卸売市場における価格は、国産がキログラム当たり200円から300円、米国産が同100円から200円で推移している。
生鮮の輸入数量の推移
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、原資料:財務省「貿易統計」
2000 年輸入先国別輸入数量
2008 年輸入先国別輸入数量
資料:農畜産業振興機構「べジ探」、原資料:財務省「貿易統計」
生鮮セルリー(セロリ)(以下「セルリー」という)の輸入数量は、2005年5,800トン、2006年6,166トン、2007年4,311トン、2008年4,666トンと減少傾向にある。輸入先国は、米国が大宗を占めるが、中国、ニュージーランからもスポット的に輸入されている。2009年は、厚生労働省の残留農薬検査において、米国産セルリーから基準値を超えるボスカリドが確認され1月21日付けで検査命令が通知されたことにより、大幅に輸入量が減少している。輸入価格(CIF価格)は、米国産が2005年はキログラム当たり69円、2006年は同75円、2007年は同79円、2008年は同75円と、キログラム当たり70円前後で推移している。
一方、冷凍セルリーの輸入は、農林水産省植物防疫統計の検査数量をみると、2005年5.6トン、2006年11.6トン、2007年36.0トン、2008年12.0トンとなっており、輸入先国は、中国産が検査数量の99.9%を占めている。2005年から2007年の動向をみると増加傾向となっているが、2008年は中国の食品安全性が大きな問題となったことから大幅に減少した。