調査情報部
5月の輸出量は、前年同月比101%の32,780トンであった。主要輸出先国のロシア向けの輸出量が同78%の10,303トンと減少したものの、日本向けの輸出量は同105%の10,152トン、ベトナム向けの輸出量が同105%の7,218トンと増加した。
5月の価格は、同108%のキログラム当たり28円であった。
1月~5月の累計の輸出量は、前年同期比118%と増加し、価格は、同112%のキログラム当たり28円と上昇した。
産地は、雲南省から山東省への切り替わりの時期となっており、国内価格は上昇傾向にある。
表1 中国のたまねぎ輸出状況
資料:Global Trade Information Services社“Global Trade Atlas”のデータより作成
注 :中国FOB価格の円換算はGlobal Trade Atlasの換算による
(以下、表2~表7において同じ)
5月の輸出量は、前年同月比124%の121,291トンであった。主要輸出先国であるインドネシア、ベトナム、バングラデシュなどのアジア諸国への輸出が増加した。日本向けの輸出量は、同86%の1,075トンと減少している。
5月の価格は、同80%のキログラム当たり32円と安値で推移している。
1月~5月の累計の輸出量は、前年同期比112%と増加し、価格は、同66%のキログラム当たり31円、日本向けも同67%のキログラム当たり62円と大幅に下回った。
中国の情報サイトによると、中国における5月のにんにくの市況は、2009年産の出荷が本格的に開始されたことなどにより好転の兆しがあり、輸出価格への影響についても注視する必要がある。
表2 中国のにんにく輸出状況
5月の輸出量は、前年同月比77%の1,928トンであった。輸出の多くを占める日本向けの輸出量は、同75%の1,864トンと減少している。
5月の価格は、前年同月比101%のキログラム当たり101円と2月から上昇基調で推移している。
1月~5月の累計の輸出量は、前年同期比74%の9,668トンと大幅に減少し、価格は、前年が高値で推移したことから、前年同期比76%のキログラム当たり80円、日本向けも前年同期比74%のキログラム当たり83円と大幅に下回っている。
表3 中国のねぎ輸出状況
5月の輸出量は、前年同月比96%の26,762トンであった。日本向けの輸出量は、昨年大幅に減少したことから、同153%の1,432トンと大幅に増加している。
5月の価格は、同95%のキログラム当たり41円と若干下回っている。
1月~5月の累計でも輸出量は増加傾向にあり、日本向けも、前年同期比216%と大幅に増加しているが、価格は、同93%のキログラム当たり38円と下回っている。
表4 中国のにんじん輸出状況
5月の輸出量は、前年同月比169%の959トンであった。タイ向けの輸出量が大幅に増加し、日本向けの輸出量も同114%の197トンと増加している。
5月の価格は、平均ではキログラム当たり287円と前年とおおむね同じ水準で推移しているが、日本向けの輸出価格は、同83%のキログラム当たり240円と大幅に下落している。
1月~5月の累計の輸出量は、前年同期比105%とほぼ前年並みで推移し、価格もキログラム当たり265円と前年並みで推移している。
表5 中国のしいたけ輸出状況
5月の輸出量は、前年同月比165%の29,721トンであった。マレーシア、米国、バングラデシュ向けの輸出量が増加し、日本向けの輸出量も同107%と増加している。
5月の価格は、同82%のキログラム当たり72円と安値で推移している。
1月~5月の累計の輸出量は、パキスタン、バングラデシュ、マレーシアなどへの輸出が増大したため、前年同期比156%と大幅に増加し、価格は、同77%のキログラム当たり67円、日本向けも同88%、キログラム当たり107円と大幅に下回った。
表6 中国のしょうが輸出状況
注:しょうがの輸出データには調整品が含まれていると見られる
5月の輸出量は、前年同月比85%の3,207トンであった。日本向けの輸出量も、同75%の1,106トンと大幅に減少している。
5月の価格は、同92%のキログラム当たり84円と安値であった。
1月~5月の累計の輸出量は、前年同期比101%と前年並みで推移し、価格は、同92%のキログラム当たり85円と若干下回っている。
表7 中国の冷凍ほうれんそう輸出状況
(単位:t、円/kg)
資料:
Global Trade Information Services社“Global Trade Atlas”のデータにより作成
注
:( )内は関税番号
:中国FOB価格の円換算はGlobal Trade Atlasの換算による
:しょうがは調製品の数字が含まれているとみられる
中国トピックス
中国政府機関による野菜関連情報提供サイトの中国農産物加工ネット(6月12日付け)の記事に、農業部が策定した全国8カ所の野菜の重点地域の発展計画に関する内容を取り上げていたので、以下にその内容を紹介する。
農業部が策定した「全国野菜重点地域発展計画(2009-2015年)」によると、2015年までに全国に強い競争力と特色を持つ8カ所の野菜重点地域を作り上げるとしている。
農業部は、これまでの中国の野菜生産について、発展はめざましく、農業と農村の経済発展の基幹産業としての役割、市場への供給の保障、生産者収入の増加、雇用の拡大、輸出貿易の発展において重要な役割を果たしたと評価する一方で、中国の野菜産業は統一的計画性に乏しく、産地条件も悪いことから市場への供給が不安定という問題があるとしている。
野菜は季節性が強く、天候の影響を受けやすい上、腐敗しやすく、貯蔵・輸送が難しいことから、生産の季節性による需給のギャップがあるとし、農業部は①全国の市場への供給調整②輸出の拡大③気候条件④生産施設、技術や企業などの産業基盤により、全国の野菜の生産区を4つに分類し、5つの国内供給重点産地、3つの輸出重点産地を計画している。
国内供給重点産地は、
①華南の冬春野菜の重点地域
②揚子江上中流の冬春野菜の重点地域
③黄土高原の夏秋野菜の重点地域
④云貴高原の夏秋野菜の重点地域
⑤渤海周辺と黄淮海の施設野菜の重点地域
輸出重点産地は、
⑥東南沿岸
⑦西北内陸
⑧北東沿岸
の8地域となる注)。
当該計画における2015年までの目標は、8地域の野菜の作付面積が、全体の42%、輸出量および輸出額が全体の90%を占め、また、生産者一人当たりの平均純収入のうち、野菜生産による純収入は1,200元(日本円でおよそ16,000円、1元を13.61円で換算)以上、その安全品質は無公害食品基準に達し、その商品化率および加工率は65%以上としている。
計画の実現のため、農業部は、インフラや技術設備を整備して、総合的に生産能力を向上させる予定で、新技術の開発、産業の競争力の強化、標準的な生産と管理の実行、品質の安全水準の向上、商品化および加工率の向上、収穫後の生産高の向上を目標としており、また、流通体系を整えることで、販売網の整備、産業化経営とブランドの育成および産業全体の効果と利益の向上を図るとしている。
注)①は広東省29県、広西壮族自治区21県、海南省11県、福建省13県②は四川省26県、重慶省11県、雲南省1県、湖南省16県、湖北省20県、江西省18県③は河北省10県、山西省13県、内蒙古自治区14県、陜西省17県、甘粛省15県、宇夏回族自治区10県、青海省9県④は雲南省25県、貴州省14県、湖北省7県、湖南省13県、重慶省6県⑤は北京市3県、天津市2県、河北省36県、遼寧省27県、江蘇省21県、安徽省19県、山東省56県、河南省13県⑥は山東省35県、福建省6県、浙江省12県、広東省13県、江蘇省16県、遼寧省9県、河北省14県、天津市3県、上海市3県、広西壮族自治区3県⑦は新疆ウイグル自治区10県、甘粛省5県、宇夏回族自治区3県、内蒙古自治区5県、山西省4県、陜西省4県⑧は吉林省5県、黒竜江省10県、内蒙古自治区1県