野菜需給部 調査情報部
6月の全国の気象について、気温は、上旬、下旬において一部地域で寒気により低温となったものの、北日本を中心として全国的に高温傾向となった。
降水量については、日本の南海上で太平洋高気圧の勢力が弱く、梅雨前線が本州から離れた南海上に停滞することが多かったため、西日本を中心に降水量は少なかったが、沖縄地方、奄美地方では多かった。上旬は、全国的に低気圧などの影響から曇雨天日が多かった。中旬は、梅雨前線が本州から離れた南海上に停滞することが多く、晴天日が多かった西日本を中心に降水量は少なかった。下旬は、関東地方など一部で局地的な大雨があったものの、おおむね平年並みの降水量であった。気温は上、中旬は寒気の影響を受けて気温は低めに推移したが、下旬は暖かい空気に覆われたために高温傾向となった。日照時間については、上旬、下旬に低気圧や気圧の谷の影響を受け、曇雨天日が多かった北日本を中心に少なかった。
品目別には次のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(6月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5ヵ年(15~20年)の旬別価格の平均値である。
資料:
東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量及び価格」
6月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万6千トン、前年同月比110%、価格はキログラム当たり201円、同91%であった。
キャベツ、きゅうりは、産地の切り替わりの時期となるが、春もの産地からの入荷と夏もの産地からの入荷が重なったことにより、入荷量は増加し、価格は安値で推移した。一方、さといも、ばれいしょは、雨天による収穫作業の遅れや春先の天候不順による収量の減少などにより、入荷量は減少し、価格は高値で推移した。また、にんじんおよびねぎ(白)については、昨年に比べ加工用需要が減少し、価格は安値の推移となった。
品目別には次のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 柳原孝司)
大阪市中央卸売市場の動向(6月速報)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 全国生鮮食料品流通情報センター
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
注 :
平年とは、過去5ヵ年(15~20年)の旬別価格の平均値である。
資料:
全国生鮮食料品流通情報センター
需給トピックス
全国農業協同組合連合会(JA全農)は、平成21年6月29日に、平成21肥料年度の肥料価格について、肥料メーカー各社と協議した交渉結果を発表した。
その内容は、各県連への肥料の渡し価格について、窒素、りん酸、加里の単肥は、対前年比で据え置きから最大24.3%の値下げを行うとともに、普通、高度化成などの複合肥料についても、同18.12%から最大24.85%の値下げを行った(表1)。
表1 平成21肥料年度(7月~5月)における主要肥料の価格変動率
(単位:20kgあたり)
JA全農:「平成21肥料年度肥料価格交渉結果について」
これまでの国内肥料価格の推移については、平成18肥料年度までは最大で前年度比10%に満たない程度の値上げ率であったが、平成19肥料年度以降は、世界的な穀物の増産、米国やブラジルなどによるバイオ燃料向け作物の増産などにより各肥料成分産出国が原料の大幅な値上げを要求したこと、さらに原油価格の高騰により海上運賃が値上げされたことなどの要因により、国内肥料価格は10%を上回る値上げとなった。また、平成20肥料年度については、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)などの新興国を中心に穀物の作付面積が増加したこと、りん鉱石の主産国である中国や米国の輸出抑制などにより各肥料とも11.65%から89.36%の値上げとなった。これにより農家における肥料購入価格は大幅に上昇した(表2)。
表2 農家における肥料購入価格の推移
農林水産省:農村物価統計調査
平成21肥料年度の肥料価格が、前年度と比べて値下げにした要因としては、米国発の世界的な景気の後退、原油価格の値下げによる海上運賃(表3)の値下げ、為替の円高基調による推移などが考えられる。
表3 海上運賃市況の推移
農林水産省:「肥料をめぐる情勢について」
しかし、平成21肥料年度の肥料価格は、平成19肥料年度と比べると依然として高い。また、為替、原油などの相場は流動的であることや、りん鉱石については、産出量の9割を米国、中国、モロッコなどの上位6カ国が占めており、塩化加里についてもカナダ、ロシア、ドイツ、イスラエル、ヨルダンの5カ国のみしか産出されないなど肥料原料産出国が偏在していること、さらに中国などにおける食糧作物増産による肥料需要の増大など、肥料を取り巻く情勢は依然として厳しい状況が予想されることから、肥料価格の動向については、今後とも注視する必要があろう。