[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準

  • 大きく

お問い合わせ

需給動向


中国の品目別野菜輸出・価格動向(2009年3月)
~持ち直しの見られる日本向け輸出~

調査情報部



品目別野菜輸出状況

1.たまねぎ ~おおむね順調な輸出状況~

 3月の輸出量は31,193トンと前年同月比145%であった。そのうち、日本向けの輸出量は9,895トンと同115%であった。1月~3月の累計では、主要輸出国の日本やロシア向けの輸出量は若干減少しているが、韓国やベトナムへの輸出量が大幅に増加している。

 価格は、平均価格および日本向け価格とも前年同月を上回っている。

表1 中国のたまねぎ輸出状況

資料:Global Trade Information Services社“Global Trade Atlas”のデータより作成
注 :中国FOB価格の円換算はGlobal Trade Atlasの換算による
(以下、表2~表7において同じ)

2.にんにく ~安値傾向ながら輸出量は安定~

 3月の輸出量は、前年同月比93%の131,604トンであった。そのうち、日本向けの輸出量は、同106%の1,266トンと増加している。

 3月の価格は、前年同月比71%のキログラム当たり32円と引き続き安値で推移している。

 1月~3月の累計では、輸出量はおおむね前年並みであったが、輸出価格は前年同期比62%、日本向けも同63%と大幅に下回った。

表2 中国のにんにく輸出状況

3.ねぎ ~日本以外の国への輸出は大幅減少~

 3月の輸出量は、前年同月比83%の1,807トンであった。そのうち、日本向けの輸出量は、同171%の1,691トンと大幅に増加した。

 3月の価格は、前年同月比72%のキログラム当たり76円の安値傾向が続いている。

 1月~3月の累計では、韓国向け輸出量が大幅に減少していることから、前年同期比69%となった。

 価格は、前年同期比71%、日本向けも同68%と大幅に下回った。

表3 中国のねぎ輸出状況

4.にんじん ~価格は上昇傾向~

 3月の輸出量は、前年同月比121%の36,291トンであった。そのうち、日本向けの輸出量は、同552%の2,223トンと大幅に増加している。

 3月の価格は、前年同月比103%のキログラム当たり39円と上昇傾向にある。

 1月~3月の累計では、日本への輸出が前年同期比181%と増加したほか、タイやロシアなどへの輸出も増大したため、前年同期比115%と引き続き好調に推移している。

 価格は、前年同期比95%と前年並みで推移している。

表4 中国のにんじん輸出状況

5.しいたけ ~引き続き日本向け輸出量は減少~

 3月の輸出量は、主要な輸出国である日本向けの減少に加え、韓国向けの輸出が大幅に減少したことから、前年同月比77%の992トンとなった。

 3月の価格は、前年とおおむね同じ水準で推移している。

 1月~3月の累計では、日本向けの輸出量が減少していることから、前年同期比91%となっている。

 価格は、前年同期比95%と前年並みで推移している。

表5 中国のしいたけ輸出状況

6.しょうが ~バングラデシュ向けは大幅に増加~

 3月の輸出量は、前年同月比167%の37,071トンと大幅に増加した。日本向けの輸出量も、同165%と増加しているが、3月はバングラデシュへの輸出が増加しており、同国が最大の輸出先国となった。

 価格は、前年同月比83%のキログラム当たり66円と引き続き安値であった。

 1~3月の累計では、日本への輸出は、前年同期比105%とほぼ前年並みで推移しているが、パキスタン、バングラデシュなどへの輸出が増大したため、同168%と大幅に増大している。

 価格は、前年同期比74%と大幅に下回った。

表6 中国のしょうが輸出状況

7.冷凍ほうれんそう ~日本向け輸出量は増加へ~

 3月の輸出量は、前年同月比156%の2,370トンと大幅に増加した。日本向けの輸出量は、同174%の950トンであった。1~3月の累計でも増加傾向にあり、ほとんどが米国、日本向けの輸出となっている。

 価格は、ほぼ前年並みとなっている。

表7 中国の冷凍ほうれんそう輸出状況

表8 中国の野菜輸出状況

(単位:t、円/kg)

資料:Global Trade Information Services社“Global Trade Atlas”のデータにより作成
注 :( )内は関税番号
  :中国FOB価格の円換算はGlobal Trade Atlasの換算による
  :しょうがは調製品の数字が含まれているとみられる

中国トピックス

中国各地の施設野菜生産の動向について

 中国政府機関による野菜関連情報提供サイトである中国農産物加工ネットの4月10日付けの記事で、中国農業部が各地方政府の施設野菜生産への取り組みを調査した内容を取り上げていたので、その内容を紹介する。

 中国では、今後5年間で約1,168億円を支出して、少なくとも28万ヘクタール(参考:平成19年度の日本の園芸用ガラス室・ハウスなどの設置面積は約7万8,300ヘクタール(雨除け栽培含む))の施設野菜団地の建設を促進するという計画であり、既に実施されているといった内容である。以下は記事の紹介である。

 バランスのとれた商品を供給する施設野菜が、製品の品質を高め、農民の収入を増加させ、雇用を拡大させることは明らかである。そのため、各地方政府は投資を増やして、上記のような利点のある施設野菜生産のてこ入れを図る。

 全ての地方政府の意向が把握されたものではなく、不完全な調査ではあるが、農業部の調査によると、2008年省市県政府は、施設野菜に80億5,400万元(1,167億8,300万円、1元=14.5円(2009年4月の三菱東京UFJ銀行為替相場の平均値))の資金を投入した。その内訳は、省クラスで29億8,000万元(432億1,000万円)、市クラスで21億7,900万元(315億9,550万円)、県クラスで28億9,500万元(419億7,750万円)であった。省クラスのうち、北京、遼寧、上海、天津、江蘇、吉林、寧夏、内モンゴルの8省(区、市)の投資規模は1億元(14億5,000万円)以上に上る。

(北京市)

 2008年、“関於促進施設農業発展的意見”を打ち出し、毎年4万畝(1畝(ムー)=15分の1ヘクタール)、(2,668ヘクタール)の施設を新たに作り、2012年までに35万ムー(23,345ヘクタール)まで拡大するとした。2008年、市は6億5,000万元(94億2,500万円)の資金をあて、日光温室と鉄骨のハウス建設に補助して、50万ムー(33,350ヘクタール)以上の規模の建設基準に沿った耐久度の日光温室、簡易日光温室、鉄骨のハウスに、それぞれ、1ムー当たり1万5,000元(21万7,500円)、1万元(14万5,000円)、4,000元(5万8,000円)を助成し、新築の連棟温室1平方メートル当たり200元(2,900円)を助成した。

(遼寧省)

 2008年から2010年の3年間で、省市県政府は総投資額36億元(522億円)の「施設農業団地建設」プロジェクトを実施し、新たに施設農業を240万ムー(160,080ヘクタール)増やし、2010年までに800万ムー(533,600ヘクタール)にすることとしている。各政府は、全ての新規建設の日光温室団地50ムー(3ヘクタール)に対して、10万元(145万円)を助成し、全ての新規建設された県の野菜育苗センターに100万元(1,450万円)を補助する。2008年、省政府は4億8,700万元(70億6,100万円)を施設農業に補助した。

(上海市)

 2005年から、「第11次5カ年計画」で施設野菜団地の建設を実施し、2010年までに施設野菜団地30万ムー(20,010ヘクタール)を建設することを計画している。2008年末で、すでに19万ムー(12,673ヘクタール)の施設野菜団地が完成した。2008年、市政府は3億6,600万元(53億700万円)を助成し、これに区と県の2億2,200万元(32億1,900万円)を組み合わせて、施設野菜団地4.2万ムー(2,801ヘクタール)を建設した。また、300万ムー(200,100ヘクタール)以上の施設野菜生産基地を保全し、1ムー当たり4万元(58万円)を補助した。

(天津市)

 2007年、施設農業は新しい農村振興策の重要な手段として位置付けられ、5年で農業施設など40万ムー(26,680ヘクタール)、2011年までに100万ムー(66,700ヘクタール)を新たに建設する計画である。市政府は、新規の省エネ日光温室に1ムー当たり7,000元(10万1,500円)、普通温室に1ムー当たり4,200元(6万900円)、鉄骨製ビニールハウスに1ムー当たり2,500元(3万6,250円)、竹木構造のビニールハウスに1ムー当たり1,200元(1万7,400円)を助成する。2008年、市政府は、施設野菜補助資金3億2,600万元(47億2,700万円)を補助した。

(江蘇省)

 省政府は施設野菜の特別資金を造成し、重点的に標準化温室、ハウス、防虫(遮光)ネットなどの生産施設に助成し、モデル基地を建設することとした。新築の300ムー(20ヘクタール)以上の鉄骨製のハウスには、南部1ムー当たり1,500元(2万1,750円)、中部1ムー当たり2,000元(2万9,000円)、北部1ムー当たり2,500元(3万6,250円)を助成している。100ムー以上の日光温室には、南部1ムー当たり2,500元(3万6,250円)、中部1ムー当たり3,500元(5万750円)、北部1ムー当たり4,500元(6万5,250円)を助成している。2008年、省政府は、施設野菜補助金2億元(29億円)を補助した。

(吉林省)

 2008年、主に野菜面積を100万ムー(66,700ヘクタール)まで増やす目標を打ち出し、年平均6万ムー(4,002ヘクタール)以上増やし、2012年までに全省の野菜面積を100万ムーまで増やすこととしている。2008年、長春市では2億4,000万元(34億8,000万円)を投資し、温室900棟、ハウス1,800棟を建設するとともに、900本の井戸を掘った。

(寧夏省)

 2007年以降、施設農業を推し進めることで、農業産業構造を変え、農民収入を増大させ、政策と資金の補助を拡大し、生産基地建設に力を入れ、技術指導と模範指導を強化している。2008年、省政府は施設野菜補助資金1億8,000万元(26億1,000万円)を補助した。主として農民の日光温室とビニールハウス建設に対して補助を行い、日光温室は1ムー当たり3,000元(4万3,500円)、大規模および中規模ハウスは1ムー当たり1,000元(1万4,500円)、小規模ハウスは1ムー当たり200元(2,900円)を助成した。

(内モンゴル自治区)

 毎年、チーフォン、フフホト、ウランチャブの3市にそれぞれ5,000万元(7億2,500万円)を確保して、施設野菜生産を後押ししている。チーフォン市は重点的に新築の施設農業団地に水道と電気施設建設に補助を行い、ウランチャブ市は施設を1ムー建てるごとに、3分の1の建設費用を補助し、フトホホ市は省エネ日光温室1ムー当たり6,000元(8万7,000円)、普通日光温室に1ムー当たり5,000元(7万2,500円)、大規模および中規模ハウスに1ムー当たり3,000元(4万3,500円)を補助している。

元記事
http://www.csh.gov.cn/article_263411.html



元のページへ戻る


このページのトップへ