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需給動向


東京都及び大阪市中央卸売市場における
入荷量・価格の動向(2009年3月分)

~入荷量は、2月の曇天、下旬の気温の低下の影響により減少、
  価格は、総じて平年並み~

野菜需給部 調査情報部


(1) 3月の気象概況

 3月の全国の気象は、寒気の影響を受けにくい大気の流れであったことから、寒気の南下が弱く、気温は高めで推移した。上旬は、低気圧が定期的に通過したことから関東を中心とする太平洋側の各地で降水量は平年を上回った。中旬に入ると暖かい南風が入ったことにより一部で夏日を記録するなど気温は高めで推移した。下旬は、大気の流れが一時的に変わり、強い寒気が南下したことにより、全国各地で気温は下がった。総じて、中、下旬は降雨があったものの、降水量は全国的に平年を下回った。 

(2) 東京都中央卸売市場

 3月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が12万8千トン、前年同月比98%、価格はキログラム当たり236円、同99%であった。上旬は、2月の曇雨天の影響から多くの品目で生育が悪く、入荷量は伸びなかった。中旬に入ると、晴天が続き、気温は高めで推移したことから、果菜類の生育は次第に回復したが、葉茎菜類および根菜類については、上旬までの曇雨天の影響が残り生育は遅れ気味となり、全体的に入荷量は伸びなかった。下旬は、多くの品目で生育が遅れ気味の中、低温によりさらに生育は停滞し入荷量は伸びなかった。

 品目別には次のとおり。

東京都中央卸売市場の動向(3月速報)

注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報」

指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)

※クリックすると拡大します。

(単位:円/kg)

資料:

東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量及び価格」

注  :

平年とは、過去5ヵ年(15~20年)の旬別価格の平均値である。

(3) 大阪市中央卸売市場

 3月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量および価格の動向は、入荷量が3万6千トン、前年同月比99%、価格は前年の218円とほぼ同額のキログラム当たり217円であった。

 3月は、2月下旬の天候不良の影響、3月下旬の気温の低下により、入荷量は前年に比べ減少した。特に、果菜類は、2月下旬の曇天、降雨の影響により着花数が減るなど生育は悪く、前年と比較して入荷量はかなり減少した。価格は、果菜類においては、前年を大きく上回ったものの全体的には前年と同程度であった。

 品目別には次のとおり。

(執筆者:東果大阪株式会社 柳原孝司)

大阪市中央卸売市場の動向(3月速報)

注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 全国生鮮食料品流通情報センター

指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場

※クリックすると拡大します。

(単位:円/kg)

資料:

ベジ探、原資料:全国生鮮食料品流通情報センター

注  :

平年とは、過去5ヵ年(15~20年)の旬別価格の平均値である。



需給トピックス

「野菜の品目別の販売価格などに占める集出荷経費
および販売経費の割合について」
~平成19年食品流通段階別価格形成調査報告(青果物経費調査)による考察~

 農林水産省が平成21年2月に公表した「平成19年食品流通段階別価格形成調査報告(青果物経費調査)」により野菜における品目別の集出荷経費および販売経費をみてみる。

 表1により、卸売価格あるいは販売価格に占める生産者受取価格、集出荷経費などの割合を品目ごとに高い順にみてみると、品目により集出荷経費および販売経費の占める割合に違いがあることが分かる。

 表1の①は、「卸売価格に占める生産者受取価格の割合」を示しているが、野菜平均(調査対象19品目)では65.7%であり、最も割合が高い品目は、にんにくおよびピーマンが78.7%、次いで生しいたけが75.0%、きゅうりが74.4%と続いている。また、最も割合が低い品目は、にんじんの56.5%、はくさいの55.0%であった。

 次に同表の②の「販売価格に占める集出荷経費・販売経費の割合」を割合が高い順番にみてみると、ほうれんそうが95.6%、はくさいが64.1%、レタスが59.4%と続いており、最も低かったのは、ピーマンの27.1%であった。さらに、同表の③および④により「集出荷経費」と「販売経費」に分けてみると、ほうれんそう、レタス、だいこんなどは、「集出荷経費」において割合が高く、はくさい、にんじんなどは、「販売経費」において割合が高いことが分かる。

 また、表2により品目ごとに「選別、包装、荷造を行った主体の割合」をみると、生産者自らが行った割合が高い品目としては、はくさい、キャベツ、ほうれんそうがあるが、それらの品目は、表1の③の「集出荷経費の割合」において、いずれも野菜平均よりも高い割合であることが分かる。一方、集出荷団体が行う割合が高く、さらに機械により選別を行う割合の高い品目としては、ばれいしょ、たまねぎ、トマト、ピーマンであるが、同様に表1の③の「集出荷経費」において、いずれも野菜平均よりも低いことが分かる。

 さらに、表1の①において、生産者受取価格の占める割合が最も低かったはくさいは、表3の「集出荷経費」の包装・荷造材料費、うち容器代では、野菜平均より割合が高く、また、「販売経費」の出荷運送料においても割合が高いことが分かる。表1の②において、集出荷経費・販売経費の割合が最も高かったほうれんそうは、表3の集出荷経費の内訳をみると、選別・荷造労働費に占める割合が62.8%と高く、集出荷経費に大きく影響していることが分かる。また表1の③の「集出荷経費の割合」において最も割合が低かったピーマンについては、表3により「販売経費」の内訳をみると、卸売会社手数料が30.2%(3,101円)と高いことが分かる。

 以上のように、野菜においては、品目により集出荷の形態、販売の形態にかかる経費が大きく異なることが分かる。

 消費拡大、契約取引の推進など、今後の野菜をめぐる課題として掲げられているが、野菜は品目によって生産・流通・販売にそれぞれ異なった様相があることを考慮した対応が重要だと思われる。

出展:農林水産省大臣官房統計部生産流通消費統計課消費統計室「平成19年食品流通段階別価格形成調査報告(青果物経費調査)」
ホームページ:http://www.maff.go.jp/j/tokei/tyousa/dankai/index.html

表1 品目ごとの100kg当たりの卸売価格もしくは販売価格に占める生産者受取価格、
集出荷経費および販売経費の占める割合の順位

資料:農林水産省「平成19年食品流通段階別価格形成調査報告(青果物経費調査)」

表2 選別、包装、荷造を行った主体の割合(複数回答)

(単位:%)

資料:

農林水産省「平成19年食品流通段階別価格形成調査報告(青果物経費調査)」

表3 集出荷経費および販売経費の内訳

資料:農林水産省「平成19年食品流通段階別価格形成調査報告(青果物経費調査)」

(参考) 品目ごとの100kg当たりの販売価格、集出荷経費・販売経費、生産者受取価格     
および卸売価格に占める生産者受取価格

(単位:実数は100kg当たり円、割合は%)

※クリックすると拡大します。

注:1 

( )内は、販売価格計に占める各項目の割合である。なお、集出荷経費及び生産者受取価格には、生産者による選別・荷造労働費が重複して含まれるため、販売価格に占める割合の内訳を合計しても、必ずしも一致しない。

  2 

1)の「その他」は、集荷費、検査料、予冷費及び保管料である。

  3 

2)の「その他」は、卸売代金送金料及び負担金である。

資料: 

農林水産省「平成19年食品流通段階別価格形成調査報告(青果物経費調査)」



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