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需給動向


中国の品目別野菜輸出・価格動向
~安値での輸出で推移~

調査情報部



品目別野菜輸出状況

1.たまねぎ

 1月の輸出量は29,184トンと前年同月比105%であった。日本向けの輸出量は10,663トンと前年比87%であった。この時期は日本とロシアが主要な輸出先国となっている。その他今年はベトナムへの輸出が行われた。

 価格については、平均および日本向け価格とも前年同月を上回っている。

 中国の産地は甘粛省から、福建省・雲南省への切り替わりの時期となっている。

表1 中国のたまねぎ輸出状況

資料:

Global Trade Information Services社“Global Trade Atlas”のデータより作成

注 :

中国FOB価格の円換算はGlobal Trade Atlasの換算による
(以下、表2~表7において同じ)

2.にんにく

 1月の輸出量は前年同月比114%の145,387トンであった。日本向け輸出量も前年同月を上回る輸出量であった。

 価格については大幅に低迷しており、安値であった昨年をさらに下回り、前年同月比56%のキログラム当たり30円という安値であった。インドネシア、ベトナム、パキスタンといったアジア諸国に多くの輸出が行われている。

表2 中国のにんにく輸出状況

3.ねぎ

 1月の輸出量も減少傾向に歯止めがかからず、前年同月比55%の2,163トンであった。ほとんどが日本向けの輸出となっている。

 価格についても前年同月比76%のキログラム当たり67円の安値であった。

表3 中国のねぎ輸出状況

4.にんじん

 1月の輸出量は前年同月比91%の23,027トンであった。日本向けは前年同月と比較して増加し、1,891トンとなったが引き続き低い水準である。

 価格については、前年同月比77%のキログラム当たり30円と大幅な安値であった。

 主な輸出先国は、マレーシア、ロシア、タイ、韓国などである。

表4 中国のにんじん輸出状況

5.しいたけ

 1月の輸出量は前年同月比85%の1,414トンであった。日本向けはさらに落ち込みが大きく前年同月比62%の637トンであった。

 価格については、前年とおおむね同じ水準であった。

 主な輸出先国は日本のほか、米国である。

表5 中国のしいたけ輸出状況

6.しょうが

 1月の輸出量は前年同月比166%の31,961トンと大幅な輸出増加であった。日本向けは前年と同水準であった。

 価格については、前年同月比72%と安値であったが、一昨年の2007年と同じ水準である。

 日本が最大の輸出先であるが、その他、パキスタン、マレーシア、米国、アラブ首長国連邦など多くの国へ輸出が行われている。

表6 中国のしょうが輸出状況

7.冷凍ほうれんそう

 1月の輸出量は前年同月比117%の3,402トンと増加している。日本向けも前年同月比121%の1,709トンと増加している。

 価格については、前年同月比95%のキログラム当たり87円であった。

 主な輸出先国は日本と米国である。

表7 中国の冷凍ほうれんそう輸出状況

表8 中国の野菜輸出状況

(単位:トン、円/kg)

資料:

Global Trade Information Services社“Global Trade Atlas”のデータにより作成

:( )内は関税番号
:中国FOB価格の円換算はGlobal Trade Atlasの換算による
:しょうがは調製品の数字が含まれているとみられる

中国トピックス

 2009年2月26日付けの米国農務官による中国のばれいしょ・ばれいしょ製品の生産・流通事情に関する年次報告に基づき、中国のばれいしょ・冷凍フライドポテト事情を報告する(GAIN Report,CH9011)。

生産状況

 中国農業部による最新のばれいしょ発展5カ年計画(2008─2015)によれば、2015年までに中国は作付面積を800万ヘクタールに、生産量を1億5千万トンに増加させるという目標値を設定している。そのうち25%が加工向けに仕向けられるようにし、貯蔵や輸送中のロスを生産量の10%以下にすることも同時に目標にしている。

 2008年度のばれいしょの生産量は6,500万トンと予想されており、これは2007年度とほぼ同じ数字である。2006年度と比較して、作付面積が1割ほど減少しているが、これは穀物生産へ転換されたためである。またえき病や晩秋の降雨によって単収の増加も妨げられている。

 主なばれいしょの産地は、内モンゴル自治区、甘粛省、雲南省、貴州省、四川省、黒竜江省である。北東部の産地である内モンゴル自治区や山西省では、ばれいしょの販売による収入が地元の農家収入の半分を占めているほど重要な作物である。一方、主食作物とみなされておらず政府による強力なテコ入れが行われていないこと、栽培されるほ場は条件が良くない畑が多く、資材の投入も少ないことから、単収は年によって大きく変動する傾向がある。

 市レベルの地方政府は、ばれいしょ生産に対する支援を行っており、加工業者も特定の村落と契約を維持する傾向がある。多くのばれいしょ加工産業は地方政府と合同で事業を行っている。

 農業部によれば、2007年度には100万ヘクタールが加工業者(でん粉、チップス、冷凍フライドポテト、乾燥ポテトなどの製造企業)と契約されていたと推測される。

表1 中国のばれいしょ生産データ

(単位:千ha、千トン)

資料:USDAの推定値

冷凍フライドポテトの生産

 冷凍プライドポテトの生産規模は、合計で10万トン程度とみられており、4工場が北京市、黒竜江省、山西省で操業している。また、2009年半ばには、甘粛省にも新たな工場が建設される予定である。

 旺盛な需要と、良好なばれいしょ生産者への支払いにも関わらず、貧弱な貯蔵施設とばれいしょの品質の問題のため、これらの工場の操業率は半分を超える程度の稼働実績にとどまっている。さらに大きな問題は操業期間であり、1年のうち、4カ月の操業期間にとどまっている。

 2008年度の生産量は7万トン程度と予測されている。

価格およびコスト

 USDAの聞き取りによれば、産地から市場まで販売されるばれいしょのコストは表3のとおりとなっている。

表2 仲買人によるばれいしょ販売コスト
(産地:内モンゴル、販売地:北京の例)

(単位:元/トン)

資料:

USDA FASによる聞き取り

注 :

2007年10月時点のもの。レートは同月の為替レートである1元:14.3円を利用

消費

 中国ばれいしょ協会の推計によれば、流通するばれいしょのうち、30%が生食用、30%が直接飼料用、22%が飼料用加工原料、10%がその他用途、8%が種いもに利用されるとしている。これ以外に、生産量の15~20%が貯蔵や輸送の段階で失われているとしている。

 冷凍ポテト製品については、中国のシェアの75%を米国産が占めている。ばれいしょ加工品の市場は毎年10~30%増加している。2007年度には冷凍フライドポテトの消費量は15%増加して、112,000トンであったと推定されている。特にこれは西洋的な料理の普及によるものが大きく、消費量の75%がそういった用途であり、そのなかでも特にファストフード店による利用が大きい。

貿易

 冷凍ばれいしょの貿易については、輸入よりも輸出が多くなっている。

 主要な輸出先国は日本であり、輸出量の8割~9割を占めている。残りの国は韓国、タイ、米国、豪州などにわずかに輸出している程度である。

 一方、輸入については、米国からの輸入が主力である。



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