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需給動向


野菜の輸入動向(2009年1月分)
~2009年も引き続き低調基調で始まる~

野菜需給部 調査情報部



(1) 2009年1月(速報値)の動向

 2009年1月の野菜輸入量は、前年同月比94%の183,616トンとなり、昨年1月は中国側による輸出規制などにより例年を下回った輸入量であったが、本年はさらに下回った結果となった。類別にみると、生鮮野菜は前年同月比93%の47,363トン、冷凍野菜は同99%の63,614トン、塩蔵など野菜は同115%の13,891トン、乾燥野菜は同95%の4,389トン、酢調製野菜は同81%の2,595トン、トマト加工品は同83%の17,132トン、その他の調製野菜は同90%の33,737トン、その他は同55%の895トンであった(図1、2、3)。

資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、財務省「貿易統計」

①生鮮野菜の動向

 生鮮野菜は、前年同月比93%となり、昨年から引き続き低水準である。このような傾向の中で、輸入量が増加した品目は、結球レタスが前年同月比258%の696トン、ささげ・いんげんなどが同124%の278トン、かぼちゃが同116%の11,956トンであった。結球レタスは、これまでは米国からの輸入が大部分を占めていたが、近年、台湾産が増加してきている。特に、当月においては1カ月間だけで既に昨年の台湾からの年間輸入量のおよそ57%が輸入されている(図4)。ささげ・いんげんなどは、2008年実績で88%を占めるオマーンからの輸入量が増加している。かぼちゃは、国民1人当たりの消費量をみると、年間を通した動向と国内出荷の動向に差があり、国産の端境期を輸入のかぼちゃが補っていることが分かる(図5)。輸入は、国産が減少する11月~5月が主な期間となっており、そのうち、ニュージーランドが輸入量のおよそ70%、メキシコがおよそ29%を占めている。今回の増加はニュージーランドからの輸入量が増加したことによる。

図4 結球レタスの国別輸入量の推移

注:( )の数値は占有率を示すものである。
上部の数値は輸入量である。
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、財務省「貿易統計」

図5 東京都中央卸売市場の月別かぼちゃの入荷量と一人当たり消費量の推移

資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、東京都中央卸売市場年報(2007年
総務省「家計調査年報(2007年)」

 輸入量が減少した品目としては、ねぎが前年同月比67%の2,122トン、ブロッコリーが同68%の1,063トン、しょうがが同61%の1,683トン、さといもが同70%の655トンであった。ねぎは2007年実績で中国からの輸入が100%占めており、2006年の71,816トンをピークに年々減少しており、2008年では33,568トンとピーク時のおよそ半分まで減少している。また、しょうが、さといもの減少もねぎと同様に中国からの輸入量の減少による。ブロッコリーは、2008年実績で米国が98%、中国が2%の割合であったが、中国からの輸入量が年々減少しており、当月は中国からの輸入量がなく、また、米国からの輸入量が減少したことによる。生鮮ブロッコリーは1999年には91,239トンまで輸入量が増加したが、その後減少に転じ、2008年は32,353トンとピーク時の35%程度となっている。

②冷凍野菜の動向

 冷凍野菜は、1月は前年同月比99%となり、堅調な動きを示している。

 増加した品目は、冷凍ばれいしょが前年同月比112%の24,872トン、冷凍えだまめが同116 %の3,206トン、ほうれんそうなどが同119%の2,731トンであった。冷凍ばれいしょは冷凍野菜のうち2008年実績でおよそ40%を占める品目であり、2008年実績で80%を米国が占めている。当月の増加も米国からの輸入量の増加と占める割合は低いが、中国、ベルギーなどからの増加による。冷凍えだまめは、2007年までは中国から最も多く輸入していたが、2008年では台湾が台頭した。当月も台湾が前年同月比174%と大きく増加しており、反対に中国は同82%と減少していることから、中国から台湾へと産地の転換が定着してきていることが分かる。一方、冷凍ほうれんそうなどでは、2008年も中国からの輸入量が最も多く、占める割合もおよそ80%とほとんど従前と変わっていない。当月の増加は、中国からの輸入量の増加であり、前年同月比126%と伸びている。

 輸入量が反対に減少した品目は、冷凍えんどうが前年同月比72%の1,017トン、冷凍いんげん豆などが同63%の1,487トン、冷凍さといもが同75%の3,114トンであった。冷凍いんげん豆などは2008年実績で中国が62%、タイが35%を占めている品目であるが、2007年ではそれぞれ68%、28%であったことから、中国からの輸入量が減少し、タイの輸入量が増加している。当月の減少は、中国が前年同月比で48%と大幅な減少によるものである。一方タイは同108%と増加している。冷凍えんどう、冷凍さといもも中国の占める割合が高い品目であり、中国からの輸入量の減少が当月の減少要因となっている。

 その他の動向としては、塩蔵なすが中国からの輸入量が最も多い品目であるが、1998年の9千トンをピークに減少傾向にあったが、2008年ではやや増加して前年比103%であった。当月が前年同月比247%と大幅に増加しており、中国からの輸入が大幅に増加したことによる。

東京都中央卸売市場における旬別入荷量と価格動向

※クリックすると拡大します。

資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、全国生鮮食料品流通情報センター「青果物旬別取扱高」

需給トピックス

野菜の集出荷形態の変化

 野菜の集出荷形態の動向を、2009年2月19日に訂正版が公表となった農林水産省「平成18年青果物・花き集出荷機構調査の概要」をもとにみてみる。

(集出荷組織の出荷量の動向)

 集出荷組織は本調査時は、2,110組織であり、前回調査(平成13年5月)と比べて65%と減少している。これは、農協の合併などが行われたためである。また、出荷量をみると、集出荷団体および総合農協ではほぼ出荷量が維持されているが、専門農協では、48%、任意組合では60%、集出荷業者では78%と減少している。反対に、産地集荷市場は113%と増加している。合計に占める総合農協および専門農協の割合はおよそ80%であり、生産における農協の役割は依然として高いといえる(表1)。

表1 野菜の集出荷組織と出荷量

注:

前回対比の組織数は、平成18年9月現在と平成13年5月現在の対比、出荷量は、平成17年産と平成12年産の対比である。

資料:

農林水産省「平成18年青果物・花き集出荷機構調査結果の概要(訂正版)」

(出荷先別出荷割合の変化)

 出荷先別出荷割合をみると、平成17年産は、卸売市場への出荷が70%、加工業者が20%、小売店が5%、その他が5%となっており、前回調査(平成12年産)と比較すると、卸売市場への出荷が6%低下し、反対に加工業者が3%、小売店とその他が2%上昇している(図1)。加工向けの増加は、農林水産省「野菜生産出荷統計」をみてみると、図2にあるように、平成12年と比較して8%上昇していることから、需要の伸びが分かる。今回の調査により市場を経由して加工・業務用へと回っていたものが、直接加工業務へと出荷される率が増加していることが分かり、加工業者と生産者が直接取引している量が増加している。しかし、農林水産政策研究所が作成した「加工・業務要需要に占める輸入割合」(表2)をみると、平成17年ではおよそ32%と輸入量が増加していることから、国産の加工向けへの移行が進んでいるものの輸入によっても補われていることがうかがえる。

図1 出荷先別出荷割合

図2 出荷先別組織数及び出荷量

※クリックすると拡大します。

注:

野菜計とは14品目合計である。
生産出荷統計におけるの数値は野菜指定産地における指定野菜及び特定野菜の合計である。
生産出荷統計における「さといも」とは「秋冬さといも」である

資料:

農林水産省「平成18年青果物・花き集出荷機構調査結果の概要」、「平成13年青果物集出荷機構調査報告」
農林水産省「生産出荷統計」各年度

表2 加工・業務用需要に占める輸入割合

注:( )は家計消費用需要に占める輸入割合
資料:農林水産政策研究

(品目別にみた動向の違い)

 図2により、出荷先別に動向をみると、卸売市場経由が全体的には低下する傾向にある中で、平成12年と比較して、平成17年に市場経由率が上昇した品目は、トマト、にんじん、ねぎであるが、生産出荷統計における加工向けの量をみると、いずれの品目も平成12年と比べて低下している。また、同じように生産出荷統計における加工向けの数量が低下している品目のきゅうり、さといも、だいこんをみると、さといも以外は市場経由率が大きく減少していない。一方、市場経由率が低下した品目は、キャベツ、だいこん、たまねぎ、はくさい、ばれいしょなどがあるが、だいこん以外は、生産出荷統計における加工向けの量は増加している。

 また、さといもとだいこんについては、市場経由率が下がり、さらに生産出荷統計における加工向けも減少している中、小売店への出荷が上昇している。ほうれんそうも加工向けでやや増加しているが、小売店への出荷が大幅に増加している。

 加工業者への出荷の占める割合は5ポイントの上昇であるが、平成17年の野菜計における加工業者への出荷量のうち71%を占めるばれいしょの増加が大きく寄与していることが分かる。ばれいしょ以外で増加した品目としては、たまねぎ、はくさい、レタスなどがある。たまねぎをみると卸売市場への出荷の減少が主に加工業者へと移行しており、はくさいとレタスでは、卸売市場への出荷量の減少が加工業者と外食産業など業者向けに移行している。

 このように動向をみると、野菜といっても各品目ごとに動向に違いがある。これは、集出荷の際、農協などによる集出荷施設の利用の有無や販売における、小売店などの地場野菜の取り扱い、また加工業務用に使われやすい品目などとそれぞれの品目によって条件に差があることによる。品目によるこのような違いを加味した生産の推進、需給調整を図っていくことが重要だと思われる。

注:用語説明

(1)集出荷団体

 1)総合農協・・・農業協同組合法(昭和22年法律第132号)で定める農業協同組合のうち、一般に組みの行う事業が信用事業とその他の事業(共済・購買・販売など)を併せて行う農協のことをいう。

 2)専門農協・・・1)の農協のうち、一般に組合が行う事業が特定作目を対象とし、あるいは1事業に限定されている農協をいう。

 3)任意組合・・・個別生産者によって任意に組織された青果物の出荷を行う上記1)および2)以外の団体(法人、非法人を問わない。)をいう。

(2)集出荷業者

 産地で生産者などから青果物を集めて出荷する産地仲買人又は産地問屋などをいう。なお、産地集荷市場に上場されたものを買い取って再び他市場に出荷することを主とする業者も含める。

(3)産地集荷市場

 青果物を集荷し、消費都市に出荷する目的で産地に開設されている市場をいう。

(4)出荷先別出荷割合

 1)卸売市場・・・中央、地方およびその他の卸売市場で営業せいている荷受会社および全農集配センターへ出荷したものをいう。

 2)小売店 ・・・小売店(スーパー、デパート、生協などを含む。)に出荷したものをいう。

 3)加工業者・・・加工場又は加工を目的とする業者に出荷したものをいう。

 4)外食産業など業者向け・・・飲食店や病院給食、事業給食および総菜などを含む外食業者や中食業者に出荷したものをいう。

 5)消費者への直接販売・・・調査客体自身が所有する店舗の有無を問わず、直接消費者へ販売したものをいう。

 6)その他・・・卸売市場、小売店、加工業者、外食産業など業者向け、消費者への直接販売以外に出荷したものをいう。



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