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需給動向


中国の品目別野菜輸出・価格動向(2008年11月分)
~世界的な金融危機による景気悪化への不安~

調査情報部



 中国産野菜の消費者イメージの回復は見られず、中国から日本への輸出は低迷が続いている。にんにく、しょうが、にんじんといった品目では、数量的に日本は主要な輸出先国ではなくなっている。

 他国への輸出については、品目にもよるが、輸出量の減少や価格の低下がみられ、金融危機に端を発する世界的な景気の悪化の影響が推察される。また中国でメラミン入りの粉ミルクの事件を背景に、特定の企業に対する輸出時の検査を免除する制度が9月18日付で廃止されたことによる影響についても注視する必要がある。

1.たまねぎ ~日本向け輸出の減少傾向が継続~

 11月の輸出量は前月より増加したが、前年同月比でみるとほとんど同じ数量の56,051トンであった。日本向けは前年に比較してかなり落ち込んでいる。1~11月までの累計では合計数量および日本向けの数量ともに前年に比べ2割近く落ち込んでいる。

 11月の価格は前年同月に比べ若干上回っている。

 現地の報道によれば、2008年の中国のたまねぎの供給については、前年の安値や穀物の生産振興政策の影響による作付減、2008年秋からの金融危機による輸出量の減少などの影響があったと伝えられている。

2.にんにく ~価格の低落に加え、輸出量も減少~

 11月の輸出量は前年同月に比較して2割の減少であった。価格は前年同月を大幅に下回る水準に落ち込んだ。今年は国内の需給緩和傾向を受け価格がずっと安値で推移していたが、それに加えて11月には輸出量も大きく落ち込んでいる。

 11月単月および1~11月の平均の価格も引き続き安値であり、前年の価格の6割の水準にとどまっている。国内の価格も下落している模様である。

 日本向けの輸出は全体量の1%程度に過ぎず、国内のにんにく需給及び他国の動向によって、輸出量及び価格が大きく左右される構造となっている。

3.ねぎ ~日本向け輸出の減少と周辺国への散発的な輸出~

 輸出のほとんどを占める日本向けの輸出の低迷が続いており、11月の日本向け輸出は前年同月の7割程度であった。全体の輸出量は前年同月に比べ半分となっているが、これは昨年一時的に増加した韓国への輸出が今年は行われなかったことによる。1~11月までの累計ではロシアやタイ、マレーシアに小規模な輸出が行われているが、日本の減少幅に比較すると小さな規模である。

 11月の価格は前年同月に比較して下がっているが、1~11月までの平均では上回っている。

4.にんじん ~11月は輸出価格が下落~

 11月の輸出量も42,211トンと前年同月比3割以上増であったが、前年同月に比較して価格は大幅に下落している。日本以外への輸出による要因が大きい。

 価格は今年に入って堅調に推移していたが、11月の価格低落は金融危機による影響が考えられる。

5.しいたけ ~年々減少している輸出~

 シーズンを迎え11月の輸出量は前月より増加しているが、前年同月と比較すると半分の数量で推移している。1~11月の累計数量を見ても2年前や昨年に比較しても半分以下の数量であり、日本向けの輸出量の減少が響いている。米国向けは増加している。

 価格は日本向け以外は前年よりやや堅調に推移しているが、日本向けは同程度である。

6.しょうが ~輸出単価は堅調~

 11月のしょうがの輸出量は前年同月に比較して大きく増加し、価格も前年と同程度であった。1~11月まででみれば、輸出数量はやや減少しているが、価格は大幅に高くなっている。

7.冷凍ほうれんそう ~北米の輸出の伸び~

 11月の輸出量は、日本向けは対前年同月に比較して減少している一方、他国向けが増加している。米国やカナダへの輸出量の増加によるものである。価格は前年に比較して、若干低い水準となっている。

中国の野菜輸出状況

(単位:t、円/kg)

資料:Global Trade Information Services社“Global Trade Atlas”のデータより作成
注 :( )内は関税番号
:FOB価格の円換算はGlobal Trade Atlasの換算による
:しょうがは調製品の数字が含まれているとみられる


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