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需給動向


中国の品目別野菜輸出・価格動向(2008年10月分)
~増加した前月から一転し、
  再び減少に転じた日本向け輸出~~

調査情報部




  中国の日本向け野菜輸出は、増加した前月から一転し、再び減少に転じた。メラミン問題や、冷凍いんげんの農薬混入事件によって中国産を敬遠する傾向が強まったほか、国産野菜の価格低迷により国内相場に値ごろ感が出たため、輸入野菜の加工・業務需要も弱かったためとみられる。円高基調だが、日本国内での国産志向もあり、日本向け輸出増とはならなかった。

 日本向け主要輸出野菜を品目別に見ると、冷凍ほうれんそう、しょうがは、前年同月比101%とわずかに増加したが、たまねぎ(前年同月比65%)、にんにく(同73%)、ねぎ(同53%)、にんじん(同57%)、しいたけ(70%)は大幅に減少した。

1.たまねぎ ~日本向けは大幅に減少、フィリピン、韓国向けは大幅に増加~

 10月の輸出量は、前年同月比87%の57,777トンであった。主要輸出先国である日本向けが65%と大幅に減少したほか、ロシア、タイ、昨年急増したマレーシアへの輸出も一転して大幅に減少した。一方、韓国やフィリピン向けは大幅に増加した。

 1~10月までの累計は、前年同期比82%と同じく低水準で推移し、日本向けも前年同期比79%であった。

 輸出価格は、1~10月までの平均では前年同期比86%と低迷が続いているものの、10月単月ではフィリピン、ベトナム、韓国向けが高値で推移したことから、前年同月比105%とやや高めとなっている。

 中国国内では、甘粛省中心の出荷となっている。来年のたまねぎの作付けについて、一部で今年の安値と政府による食糧作物生産に対する補助拡大による転作の影響を指摘する意見もあるが、輸出動向に影響するかは不明である。

2.にんにく ~低迷が続く輸出価格~

 10月の輸出量は、前年同月比92%の85,113トンであった。主要輸出先国であるインドネシアやベトナム向けが減少したほか、日本向けも前年同月比73%と大幅に減少した。一方、ブラジル、コロンビア向けは大幅に増加した。

 1~10月までの累計は、インドネシアやベトナム向けの輸出量が増加したほか、ブラジル向けの輸出が前年同期比150%と大幅に増加したことから、前年同期比113%と引き続き前年を上回る輸出状況となっている。一方、日本向けは前年同期比83%と減少が続いている。

 輸出価格は、1~10月までの平均(前年同期比59%)および10月単月(前年同月比62%)とも低迷が続いている。

3.ねぎ ~輸出の大半を占める日本向けが大幅に減少~

 10月の輸出量は、前年同月比51%の2,185トンと大幅に減少した。輸出の90%以上を占める日本向けが前年同月比53%となっており、日本向け輸出の増減がそのまま全体の輸出量に直結している。

 1~10月までの累計は、前年同期比74%と日本向け輸出の不調(前年同期比67%)が響いている一方で、量は少ないながら韓国やロシア、マレーシア、香港など他国への輸出が大幅に増加している。

 輸出価格は、1~10月までの平均では前年同期比119%と、今年に入ってから高値傾向で推移していたが、為替レートの影響もあり、10月単月では9月に引き続き前年同月より低めに推移した(前年同月比76%)。

4.にんじん ~日本向けは、大幅に増加した前月から一転して大幅に減少~

 10月の輸出量は、前年同月比113%の39,520トンであった。主要輸出先国であるベトナム向けが前年同月比235%と大幅に増加したほか、韓国やマレーシア、台湾向けも増加した。日本向けは、前年の半分以下となった8月と比較して9月は前年同月比278%と大幅に増加したが、10月は57%と再び大幅に減少した。

 1~10月までの累計は、韓国やタイ、ベトナム、ロシア等向けは増加傾向で推移しているが、日本向けの大幅減少(前年同期比54%)が影響し、前年同期をやや下回る96%で推移している。

 輸出価格は、1~10月までの平均では、主要輸出先国である韓国、マレーシア、タイ、日本向けのほか全体的に高値で推移しているため、前年同期比118%となっているが、10月単月では香港向け以外はおおむね下落し、前年同月比83%と前年を大幅に下回った。

5.しいたけ ~日本向けは大幅に減少、米国向けは大幅に増加~

 10月の輸出量は、前年同月比100.5%の833トンと前月とほぼ同量であった。主要輸出先国である日本向けは前年同月比70%と大幅に減少したものの、米国向けが前年同月比205%と大幅に増加した。

 1~10月までの累計は、前年同期比49%と、半分以下の水準となっている。日本向けが大幅に減少(前年同期比43%)しているほか、香港向け輸出の不調が影響した。一方、米国や韓国、豪州向けは大幅に増加している。

 輸出価格は、ドイツやオランダ、英国、スイスなどヨーロッパ諸国向けの価格が大幅に上昇していることから、1~10月までの平均では前年同期比137%と高値傾向で推移しているが、10月単月では前年同月比98%とわずかに低下した。

6.冷凍ほうれんそう ~米国、カナダ、韓国向けが大幅に減少~

 10月の輸出量は、前年同月比85%の2,049トンとかなり大きく減少した。主要輸出先国である日本向けは前年同月比101%と前年とほぼ同水準で推移したものの、米国、カナダ、韓国等向けが大幅に減少した。

 1~10月までの累計は、日本向けは前年同期比95%とやや減少しているものの、米国や豪州、ロシア等向けが順調なことから、前年同月比107%と増加傾向で推移している。

 輸出価格は、1~10月までの平均では前年同期比89%、10月単月も前年同月比92%と安値傾向が続いている。

7.しょうが ~堅調に推移する輸出価格~

 10月の輸出量は、前年同月比112%の18,126トンであった。主要輸出先国である日本向けは前年同月比101%とわずかな増加となっているが、マレーシア、オランダ、サウジアラビア等向けが大幅に増加した。

 1~10月までの累計は、前年同期比92%とかなりの程度減少傾向で推移している。主要輸出先国である日本向けは前年同期比97%とやや減少傾向で推移しているが、パキスタン、米国、マレーシア向けが大幅に減少した。

 輸出価格は、堅調に推移しており、1~10月までの平均は前年同期比132%と3割程度の価格上昇がみられるが、10月単月では輸出量が大幅に増加したオランダ向けが前年同月比74%と大幅に低下したことが影響し、前年同月比105%となった。

中国の野菜輸出状況

(単位:t、円/kg)

資料:Global Trade Information Services社“Global Trade Atlas”のデータより作成
注 :( )内は関税番号
   :FOB価格の円換算はGlobal Trade Atlasの換算による
   :しょうがは調製品の数字が含まれているとみられる


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