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需給動向


中国の品目別野菜輸出・価格動向(2008年9月分)
~落ち込んだ前月から一転し、
  大幅に増加した日本向け輸出~

調査情報部



1.たまねぎ ~ベトナムやフィリピン、タイへの輸出は増加~
  9月の輸出量は、前年同月比76%の55,708トンであった。主要輸出先国である日本やロシア向けの輸出や、昨年増加したマレーシアへの輸出量は減少しているが(日本向け:前年同月比95%)、ベトナムやフィリピン、タイへの輸出量は増加している。前月と比較すると、全体では103%、日本向けは134%と増加した。

 1~9月までの累計は前年同期比85%と、同じく低水準となっている(日本向け:前年同期比81%)。

 輸出価格は、1~9月までの平均では前年同期比89%と低迷が続いているものの、9月単月では前年同月比105%と若干高めに推移している。

2.にんにく ~価格低迷や生産条件の悪化に苦しむ産地~
  9月の輸出量は、前年同月比113%の137,192トンであった(日本向け:前年同月比128%)。1~9月までの累計でも主要輸出先国であるインドネシアやベトナム、マレーシア向けの輸出量が増加していることから、115%と引き続き前年を上回る輸出状況となっている(日本向け:前年同期比85%)。

 一方で、輸出価格は、1~9月までの平均(同60%)および9月(同66%)とも低迷が続いている。

 山東省のにんにくの主産地である金郷や成武に関する現地の報道によると、にんにくの販売価格の低迷に加え、新規事業者の参入による競争の激化や生産資材価格や労賃の上昇のほかに、冷蔵のために利用する電力の不安定な供給などによる品質劣化が心配されていると伝えられている。

3.ねぎ ~他国への輸出が大幅増加~
  9月の輸出量は、前年同月比112%の2,913トンであった。輸出のほとんどが日本向けであり、日本向け輸出の増減がそのまま全体の輸出量に直結している(日本向け:前年同月比111%)。1~9月までの累計では、前年同期比77%と日本向け輸出の不調(前年同期比69%)が響いている一方で、量は少ないながら韓国やロシア、マレーシア、カナダなど他国への輸出が前年同期比586%と大幅に増えている。また、前月と比較すると日本向けは143%と増加した。

 今年に入ってから高値傾向で推移していた輸出価格についても、9月は前年同月より若干低めに推移した(前年同月比94%)。

4.にんじん ~輸出価格は高水準で推移~
  9月の輸出量は、前年同月比107%の41,203トンであった。日本向けの輸出については、前年の半分以下となった前月と比較して278%と大幅に増加し、前年同月比118%の3,866トンであった。1~9月までの累計では、日本向けの減少が影響し、前年同期をわずかに下回る95%で推移している。日本以外には韓国やマレーシア、タイ、ロシア、ベトナム、香港が主要輸出先国であり、これらの国に対する輸出は比較的安定した水準で推移している。
  一方、輸出価格は、日本向け、他国向けとも高水準で推移している。

5.しいたけ ~大幅に減少している輸出~
  9月の輸出量は、前年同月比31%の554トンと大幅に減少した。日本向けは前年同月比104%と若干回復したものの、一昨年の0トンから昨年1,298トンへと急増した香港への輸出が今年に入って全くないことが影響したためである。ただ、前月と比較すると日本向けは234%と大幅に増加している。

 1~9月までの累計も、前年同期比47%と半分の水準となっている。主要輸出先国である日本への輸出が大幅に減少しているほか、香港向けの輸出の不調が影響したためである。一方、米国や韓国、オーストラリア向けは増加している。 

 輸出価格は、日本向けは前年と同程度の水準で推移しているが、ドイツやオランダ、スイスなど欧米諸国向けの価格が上昇していることから、1~9月までの平均では前年同期比139%、9月の前年同月比333%と上昇している。

6.しょうが ~堅調に推移する輸出価格~
  9月の輸出量は、前年同月比137%の28,240トンであった。主要輸出先国である日本への輸出が前年同月比178%と大幅に増加したほか、バングラディッシュや英国、アラブ首長国連邦、ベトナム、オランダなどへの輸出も大きく増加している。1~9月までの累計も、前年同期比135%と、同じく好調に推移している。

 輸出価格は、堅調に推移しており、1~9月までの平均では前年同期比135%、9月の前年同月比は128%と、いずれも前年と比較して3割程度の価格の上昇がみられる。

7.冷凍ほうれんそう ~おおむね順調な輸出状況~
  9月の輸出量は、主要輸出先国である米国や日本向けの輸出が好調なことから、前年同月比137%の2,375トンであった。1~9月までの累計は、前年同期比110%となっており、日本向けは94%と若干減少しているものの、米国やオーストラリア、ロシアなど向けが増加していることから、増加傾向で推移している。

 輸出価格は、1~9月までの平均では前年同期比89%、9月の前年同月比も85%と安値傾向が続いている。

中国の野菜輸出状況

(単位:t、円/kg)

資料 :

Global Trade Information Services社“Global Trade Atlas”のデータより作成

注 

 :( )内は関税番号
 :中国FOB価格の円換算はGlobal Trade Atlasの換算による
 :しょうがは調製品の数字が含まれているとみられる

中国トピックス

中国のアスパラガス生産・貿易事情(加工用アスパラガス含む)

 2008年9月23日付けの米国農務官による中国のアスパラガス生産・流通事情に関する年次報告に基づき、中国のアスパラガス生産・貿易事情を報告する(GAIN Report,CH8067)。

注)アスパラガスのマーケティング年度は1月から12月までである。中国については、アスパラガスの公式統計はないことから、生産量および消費量データは業界筋の分析を基にUSDAのFAS(Foreign Agricultural Service)の北京支局が予測している。

 中国は、世界最大のアスパラガス生産国である。国内生産量の80%が山西省、山東省、河北省、河南省、福建省で生産されているが、2009年度の生産量は、前年度の35万トンより14%減の30万トンと予測されている。

 2009年度の減産見通しは、特にグリーンアスパラガスの収益が2008年度に減少した結果、作付面積が縮小したことに基づいている。中国政府は穀物生産の自給自足を達成するため、穀物補助金を増額しており、多くのアスパラガス農家がアスパラガス価格の低迷を受けて2008年5月から6月にかけてとうもろこしなどの他作物へ転向している。

 また、生産量の80%以上を輸出向けに加工している中国のアスパラガス輸出市場の需要が減少したことも、減産を予測する要因として挙げられる。これは、中国政府が貿易黒字のバランスを取るためにすべての商品(農産物および非農産物)の輸出を制限し、地方検疫当局も輸出向け商品の検査基準を厳しくしているほか、中国人民元高が続き、アスパラガスの主要輸出市場であるヨーロッパ向け輸出がさらに高価なものになっていること、またコスト(人件費、水、電気、肥料、農薬、燃料、加工費、流通経費など)が劇的に増加していることによるものである。2008年度の輸出について見ると、国の缶詰・瓶詰アスパラガスの輸出量は、2007年の9万8千トンから8%減の9万トンと推測されている。また、冷凍アスパラガスの輸出量は、40%減の4万トンと予測されている。これは中国の冷凍アスパラガスの最大の輸出先国である日本が、農薬問題のため中国からのアスパラガス製品の30%が2007年11月から開始された残留農薬検査を受ける必要があると発表したためである。

 2008年春のグリーンアスパラガスの農家販売価格は、0.2~0.3ドル/ポンド(3~4元/キログラム)と、2007年度の半分の価格で、これは主に収入のほとんどを輸出に頼っている加工業者からの需要減によるものである。FASは、アスパラガスの定植費用をおよそ3,000ドル/ヘクタール(1,400元/ム、1ヘクタール=15ム)と推測しており、2008年度はコスト割れとなり、これが、生産減の要因の一つとなっていると予測している。下の表は具体的な投入単価を示しているが、これらのコストには、通常1,285~1,500ドル/ヘクタール(600~700元/ム)の借地料が含まれていない。

アスパラガス生産のための投入単価

(単位:元/ム)

 2008年度の平均単収は、通常より比較的少ない5トン/ヘクタール未満と推測されている。これは、2008年度の低収入を受けて、農家の投入原価が少ないこと、体積重量を増やすため、アスパラガスの茎を根元近くで切る過剰採取が行われていることによるものである。

 アスパラガスは、伝統的に中国の食習慣に含まれず、がんや心臓病、高血圧予防に効果的なアミノ酸やビタミン類が豊富であるというアスパラガスの健康上の利益に関する知識が普及していないため、ほとんどの中国人は食生活にアスパラガスを取り入れていない。しかし、人口13億人の中国は、あらゆる製品の潜在的巨大市場であることから、中国のアスパラガス業界は、輸出市場に頼り過ぎることの危険性を認め、国内市場(特に上海、北京、広州など、高所得で健康上の利益がある食品を重要視する消費者のいる大都市)へのさらなる機会を模索している。

生鮮アスパラガス需給表

(単位:ha、t)

注:2007年度および2008年度は推定値、2009年度は予測値(いずれもUSDA)


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