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需給動向


野菜の輸入動向
~生鮮野菜は減少基調、冷凍野菜は平年並み~

野菜需給部 調査情報部


(1)平成20年5月(速報値)の動向

 平成20年5月の野菜輸入量は、対前年比83%の201,324トンとなった。前月4月は、中国製冷凍ギョーザ問題以降2月、3月と輸入が前年と比べて減少していたものから前年並みまで回復を示したが、5月は再度減少傾向に転じた結果となった。この減少は主に生鮮野菜が減少したことによるものであり、冷凍野菜、塩蔵野菜等はほぼ同水準であった。

 生鮮野菜は、年初以降対前年比で80%前後で推移していたものが、5月に入り対前年比62%の44,163トンと大幅に下げた結果となった。輸入国別でみると、中国からの輸入が対前年同期比46%となっており、これが減少の主な要因となっていることがわかる。中国からの生鮮野菜のうち、増加したものはきのこ(その他)のみで他全ての品目で対前年比で大幅に減少しており、減少が大きい品目としては、キャベツ等あぶらな属が対前年同期比1%の11トン、さといもが同26%の477トン、えんどうが同16%の81トン、しいたけ同28%の177トン、たまねぎ同58%の9,727トン等がある。一方、トマトについては、対前年同期比38%の84トンとなっているが、これは主要輸入先国であるアメリカ及びオーストラリアからの輸入が年初より50%以上下回って推移しているためである。

 冷凍野菜は、生鮮野菜とは反対の動きを示した。4月に一気に例年まで回復した輸入量は5月も引き続き高水準で推移し、対前年比96%の73,852トンと平年(15~19年平均)を上回った。品目別にみると、3月は前年対比50%まで減少したごぼうが5月は同97%の674トン、ながいも等が3月は同29%だったものが5月は同85%の195トン、えだまめが4月同73%だったものが同88%の6,022トン等となっている。えだまめは、回復してきているが中国産が減少しているなか台湾、インドネシアが増加してきており、同様にスイートコーンは中国の占有率はそれほど高くはないが、中国産に変わりタイ、ベトナム等が増加してきている。

 その他の動向は、塩蔵野菜が前年対比103%の14,705トン、乾燥野菜が同113%の5,746トン、酢調製野菜が同74%の2,738トン等であった。しょうがは、生鮮しょうがが3月以降減少しているのを補完する形で、その他調製野菜のしょうが4月、5月と大幅に増加している。塩蔵しょうがは4月は同216%の2,777トン、5月は同180%の2,782トン、その他調製しょうがは5月に同154%の2,683トンとなっている。

中国産の野菜全体の輸入推移

中国産の生鮮野菜の輸入推移

中国産の冷凍野菜の輸入推移

資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、財務省「貿易統計」

(2)にんじんの需給動向について

 にんじんの価格が2008年春先より堅調な動きを見せている。曇天が多く日照不足であったこと、降水量が多かったことなど天候不順による作柄不良や輸入ものの安全性の問題等により加工業者が国産志向になっているなど引き合いが強いことが主な要因と思われる。

 東京都中央卸売市場の平均価格をみると、2008年年初よりやや高値で推移し、3月では188.8円(対前年同期比244%)、4月では211.4円(同170%)、5月では216.7円(同152%)となっている。またこれに伴い輸入の生鮮にんじん及びかぶのCIF価格も上昇しており、3月では79円(同165%)、4月81円(同156%)、5月86円(同183%)となっている。

 国内におけるにんじんの生産状況は、平成18年の作付面積がおよそ18,800ha、10年前の平成8年と比較すると77%と減少しており、同様に収穫量624,100トン(同85%)、出荷量548,200トン(同86%)である。家計調査による国民の1人当たりの購入数量は年間2,783gで1980年と比較すると111%と増加している品目である。

 にんじんの輸入は、国産の出荷が減少する3~5月を中心に年間を通して行われており、国内需要量の1/5を補っている。輸入は平成7年の冷夏による不作により一気に増加し、一度落ち着いたが平成10年の冷夏による不作で再度増加、その後増減はあるものの増加の傾向をたどっている。また、近年は加工・業務用への需要が高く、生鮮の形態ではなくにんじんジュースとして輸入する形態も増加している。

 このように加工・業務用の引き合いが強いものの、それに国内産地は十分に対応できていないのが現状である。国内産の仕向け先別の出荷割合を平成14年から平成18年の動向をみるとおよそ85%を生食用仕向けが占めており、大きな変化はない。加工・業務用への対応がなかなか進まないのは生食用と加工・業務用における価格差のほか、加工業者の望むものに産地が対応できないことなどもあげられている。加工業者が輸入ものを扱う理由としては、製品の販売価格を抑えるためには原料をいかに低コストに抑えるかが重要であること、一次加工品により製造工程をはぶけること、安定して大量の供給を見込めるなどのメリットがある。これらを全てクリアにするのは国内産地では難しいのが現状であるが、消費者の間では、冷凍ギョーザ問題以降、益々国産志向が高かまっており、また、今年の5月の輸入単価をみると、昨年の低価格と比較して国産との接点が見えてきていることから、今後の加工・業務用への供給が増加することを期待したい。

にんじんの生産状況及び仕向け先割合

資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、
    農林水産省「平成18年 野菜生産出荷統計」

輸入形態別数量

資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、財務省「貿易統計」

平成18年 にんじんの国内出荷量、生鮮にんじん及びかぶ輸入量、にんじんジュース輸入量

資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、農林水産省「平成18年産 野菜生産出荷統計」、財務省「貿易統計

平成19年 にんじんの輸入量と東京都中央卸売市場における平均価格との関係

平成19年 東京都中央卸売市場における輸入にんじんの入荷割合

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資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、東京都中央卸売市場「市場統計情報」
注) 輸入動向の詳細については、資料編2~11ページを参照して下さい。


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