調査情報部
中国での輸出規制や日本側の中国産野菜の引き合いの減少の影響などにより、全体的に日本向けの輸出量が大幅に落ち込むとともに、その減少に引きずられる形で全体の輸出量も減少している。
日本向け輸出は他の国向けの輸出に比べても輸出単価(FOB価格)が高く、金額面での影響はさらに大きくなることから、中国の輸出者にとって少なからぬ影響を及ぼしているものとみられる。
一方で日本向けの輸出量が全体に占める割合が低い、国際貿易品目であるにんにくの輸出は引き続き増加基調にあり、冷凍ほうれんそうの輸出も回復基調にある。
①たまねぎ
4月の輸出量は前年同月比6%減の26,161トンであった。これは主要な輸出先国である日本やロシア向けの輸出が減少する一方、韓国やモンゴル向けの輸出が増加したためである。
1~4月の合計でも101,165トンと前年同期比83%と減少しており、特に日本への輸出の減少が響いている。
②にんにく
4月の輸出量は前年同月比21%増の118,015トンであり、好調な輸出が続いている。なお、日本向け輸出の全体に占める割合は小さいが、4月の日本向け輸出は大幅に減少している。
1~4月の合計でも489,875トンと前年同期比38%増で推移している。
③ねぎ
ねぎの輸出は従来より、ほとんどが日本向けに行われてきた。そのため、4月の輸出量は日本向けが半減したことに伴い、大幅に減少している。1~4月の合計は前年同期比38%の減少となっているが、一方でいままでほとんど行われることのなかった韓国への輸出が増加していることから、日本向けの減少分(44%減)を補う形となっている。
一方で輸出価格は今年の2月前後の中国の大寒波の影響により、中国国内でのねぎの価格が高騰した影響が残り大幅に上昇しているが、5月以降落ち着く見通しである。
④にんじん
4月の輸出量は前年同月比10%減の29,311トンであったが、主要輸出相手国である日本向けはほとんど輸出が行われなくなった。1~4月においても日本向け輸出は、すでに輸出量が減少していた前年同期比をさらに27%下回った。他国への輸出は前年同期並みとなっている。
⑤しいたけ
4月の輸出量は日本向け輸出の大幅な減少により減少し、前年同月比57%減の693トンであった。これは日本向けが269トン(前年同月比78%減)と大幅に減少したためである。1~4月の輸出量も同様の傾向推移している。
⑥しょうが
4月の輸出量は日本向けおよび他国向けとも前年並みの輸出量となった。ただし1~4月の輸出量では前年に比べ引き続き低水準にある。
⑦冷凍ほうれんそう
4月単月および1~4月合計の輸出量は日本向けおよび他国向け(主として米国)とも好調であり、増加傾向にある。日本向けの輸出は年々回復基調にあり、増加している。
表:中国の野菜輸出状況
(単位:t%)
資料:Global Trade Information Services社”Global Trade Atlas”のデータより作成