野菜需給部 調査情報部
(1)平成20年4月(速報値)の動向
平成20年4月の野菜輸入量は、対前年比96%の225,211トンとなった。平成20年当初より輸入野菜は前年を下回って推移し、中国製冷凍ギョウザ問題以降2月、3月は大幅に下回る傾向(対前年同期比86%)で推移してきたが、4月に入り一気に例年の水準近くまで戻した結果となった。輸入野菜のうち増加した輸入形態は、冷凍野菜が3月は同84%から、4月は同98%、塩蔵野菜が3月は同69%だったのが4月は同111%、酢調製野菜が3月は同63%から4月は同83%、トマト加工品については、2月同98%、3月同94%と平年並みで推移していたが、4月は同143%と増加した。
生鮮野菜は、対前年同期比84%の66,374トンと1月から引き続き前年を下回って推移し、輸入量全体の回復基調とは反対の動きを示した。
減少した主な品目は、ねぎが同47%の2,021トン、ブロッコリーが同66%の2,923トン、アスパラガスが同67%の1,004トン、しいたけが同25%の278トンなどである。
ねぎ、しいたけは、中国産の割合が100%で、中国からの輸入減少がその要因となっている。ブロッコリー、アスパラガスはアメリカの占有率が同84%、同82%と低調であったのに加え、前年輸出実績のあった中国産が両品目とも実績が0トンとなっていることが要因である。
反対に増加した品目では、韓国産が主力のジャンボピーマンが同122%の2,306トン、メキシコ産が主力のメロンが同135%の5,774トンであった。
冷凍野菜は、対前年同期比98%の72,810トンと4月は例年並まで一気に回復。中国製冷凍ギョウザ問題以降、中国が輸出を控え、特に3月は例年と比べて大幅に抑えていたが、その反動が4月に現れたと言ってよいだろう。中国産が主の品目のさといもは3月に前年対比65%まで落ちたが4月は同143%の5,429トン、ながいも等同119%の271トン、ごぼう同178%の1,104トンと盛り返している。
また一方で、いんげん豆等(同61%)、えだまめ等(同73%)と豆類を中心に対前年比を引き続き下回っている品目もある。えだまめでは、今まで中国産が輸入国先第1位で約50%の占有率であったのが、本年は台湾産が占有率39%と台頭し、4月は1,983トンとなり消費者の中国産への不安から産地転換が進んでいる。
*資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、原資料:財務省「貿易統計」
(2)ブロッコリーの需給動向
ブロッコリーは供給量のうち国内生産量がおよそ62%と野菜の品目の中では輸入量が半数近い野菜の一つである。しかし、野菜の輸入量が平成17年に2,911千トンに達し、輸入野菜の増加の懸念がある中で、ブロッコリーの輸入量は減少している。
国内のブロッコリーの状況をみると、生産面では、平成18年産で作付面積11,400ha、出荷量105,900トン、主産地は北海道、埼玉、愛知、福島等である。10年前の平成9年と比較して、作付面積でおよそ145%、出荷量で149%と増えている。東京都中央卸売市場に入荷されるブロッコリーの月別の動向をみても、平成9年は、夏期は輸入品の割合が高く、平成19年では北海道が産地として発展してきていることが分かる。
ブロッコリーの消費面では、家計調査による1人当たりの年間消費量を平成19年とその10年前の平成9年で比較してみると、平成9年が882g、平成19年が1,103gと伸びており、野菜全体の消費量が減少している中で消費量が伸びている品目の一つである。これは日本人の食の変化による影響が大きく、漬物や鍋でよく食べられたはくさい、だいこん等の日本人にとって馴染みの深い野菜が減り、サラダによる野菜の消費形態が増えたことによりブロッコリーの消費が増加している。
輸入の動向としては、生鮮ブロッコリーが主な輸入形態であったが、国内産地の形成とともに減少傾向を示している。一方、冷凍ブロッコリーは増加傾向を示し、10年でおよそ2倍まで増加している。冷凍ブロッコリーは一部店頭で売られるものの家庭消費より外食中食や加工用での利用が高いと思われる。
今後の展開として、国内産地が輸入における生鮮ブロッコリーの需要をどれだけ獲得できるのか、また、冷凍ブロッコリー等加工用にいかに対応していくかが国内生産振興において重要となる。
平成18年 ブロッコリーの国内出荷量および輸入量
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生鮮ブロッコリーの輸入国別数量
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冷凍ブロッコリーの輸入国別数量
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資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、財務省「貿易統計」、農林水産省「平成18年産 野菜生産出荷統計」
東京都中央卸売市場におけるブロッコリーの月別入荷量と価格の推移
①平成9年
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②平成19年
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資料:東京都中央卸売市場 市場統計情報