野菜需給部 調査情報部
(1)平成20年3月(速報値)の動向
平成20年3月の野菜輸入量は、対前年同期比86%の187,852トンとなった。
生鮮野菜全体の輸入量は、同89%72,560トンと減少した。生鮮野菜の輸入は、年初から輸入量は近年5ヵ年の中で一番少ない傾向を示しており、3月も引き続き低い傾向であった。
生鮮野菜が減少した主な要因として、中国からの輸入量の減少があげられる。品目別によるとキャベツ等あぶらな属が対前年同期比9%で143t、さといも同20%で594t、えだまめ同26%で104t等であり、いずれの品目も中国からの輸入が主である品目である。
一方、増加した品目は、メロン対前年同期比231%(この時期の主輸入国であるメキシコ産が同241%と先月に引き続き伸びている。)の3,667トン、にんじん及びかぶは同129%の4,961tが、輸入先に大きな変化があり、2007年3月は中国産が78%を占めていたが、本年は昨年3月に輸入がなかった台湾産が72%を占め、中国産は11%まで減少している。ごぼうも対前年同期比141%の5,194tと増加しているが、中国産が96%を占めているものの対前年同期比147%の伸びである。この要因として、ごぼうにおける東京都の市況をみてみると、2008年当初より価格はやや高めで推移し、3月の上旬は対前年同期比143%、中旬は同133%と高く推移していることから、中国産への忌避がありつつも加工・業務用の需要として中国産が増加したと思われた。
冷凍野菜は、例年2月に最も輸入数量が減り、3月以降増加する傾向にある。本年2月は対前年同期比96%と中国産冷凍ギョーザ事件以降も全体数量的には大きな影響が見られなかったが、3月は同84%の52,107tとなり2月の輸入量より8,216t減少し、例年の増加傾向と異なる傾向をみせた。主に減少した品目として、ながいも等が同比29%の43t、ごぼう同50%の282t、さといも同65%の1,750t等であり、いずれも中国産占有率が100%で、中国からの輸入減少がそのまま輸入数量の減少となった。
その他の動向としては、塩蔵等野菜が対前年同期比の69%の10,437トン、乾燥野菜が同79%の2.979トン、酢調製野菜が63%の1880トン、トマト加工品が同94%の14,516トン、その他調製野菜が同86%の32,004トンとなり、ほとんどの類別で前年より減少した。
*資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、原資料:財務省「貿易統計」
(2)中国産かぼちゃの生果実輸入解禁
農林水産省は、中華人民共和国(中国)産かぼちゃの生果実について、中国側からの輸入解禁要請を踏まえ、これまで科学的・技術的検討を行い、公聴会、パブリックコメント等の手続きを経て、病虫害の浸入の恐れが無いことを確認したので、植物防疫上の輸入解禁措置(植物防疫法施行規則の一部改正等 5月8日施行)を講じることを発表した。
主な解禁地域は、中国国内モンゴル自治区、遼寧省、吉林省、黒竜江省、新彊ウイグル自治区のうち、農林水産省消費安全局長が指定した地域(指定生産地域)で生産されたものとされているが、植物防疫所のホームページに記載されている同日付告示第685号および中華人民共和国産かぼちゃの生果実に係る植物検疫実施細則によれば、平成20年5月8日現在輸入が許可されている地域(指定生産地域)は、黒龍江省および吉林省の一部産地となっている。
そのほか、中国植物防疫機関指定の梱包場所において梱包し、仕向地が日本である旨、指定生産地域名及び梱包場所の名称の表示がなされていることを要件としている。
日本におけるかぼちゃの需要は年間でおよそ34万トンでやや減少傾向にある。このうち国内生産は68%、それ以外は輸入が占めている。主な輸入国は平成18年実績で、ニュージーランドが輸入全体の58%を占める59千トン、メキシコが31%の32千トン、トンガが8%の8千トンとなっており、上位3カ国で輸入量96%を占める。これらの国々は南半球や赤道近くに位置し日本と気候が違っていることから作型が違う。輸入かぼちゃは日本で品薄になる端境期に供給されることにより、周年を通して生鮮のかぼちゃが日本市場に出回っている。
一方、中国は日本と同じ北半球に位置し、中国の産地である黒龍江省の都市ハルビン、吉林省の都市長春の気候条件を比べてみても、かぼちゃの主要な生育期間である6月~8月の気象条件が、夏場の日本の主要産地である北海道の気象条件と類似していることから、夏場にかぼちゃが出荷されることが予想され、今後の輸入動向が注目されるところである。
平成18年 かぼちゃの国内収穫量及び輸入量
資料:「平成18年産 野菜生産出荷統計」農林水産省、財務省「貿易統計」
平成19年 かぼちゃの月別県別出荷入荷量と価格の推移(東京都中央卸売市場)
資料:東京都中央卸売市場 市場統計情報
中国と日本の産地の気温の比較
資料:The World Meteorological Organization( WMO)および気象庁
注 :北海道の気象データはかぼちゃの産地である和寒市のデータを利用した
中国と日本の産地の降水量の比較
資料:The World Meteorological Organization(WMO)および気象庁
注 :北海道の気象データはかぼちゃの産地である和寒市のデータを利用した