野菜需給部 調査情報部
(1)東京都中央卸売市場における入荷量・価格の動向(平成20年2月)
3月の気温は冷え込んだ2月までとは一転し、北・東日本の日本海側を中心に平年より気温の高い日が続いた。なお、気温の動向としては、周期的変化はあったものの、上旬から下旬に向けてなだらかな上昇となった。降水量については、東北や九州南部では少なかったものの、西日本や東海を中心として平年より多くなり、日照時間については、北日本太平洋側では少なかったものの、九州南部を中心として全国的には多かった。
①東京都中央卸売市場
3月の東京都中央卸売市場における野菜の入荷量・価格の動向は、入荷量が13万トン、前年比98.6%、価格は238円/kg、前年比107.4%であった。2月の曇天・冷え込み等の影響で生育が停滞し、上旬から中旬にかけ全般的に入荷量が少なく、平年を上回る価格で推移したが、下旬は入荷量も増え、平年を下回る価格で推移した。また、中国産の輸入減によりにんじん、ねぎ、はくさい等は、前年を上回る価格となった。
品目別動向は下表のとおり。
東京都中央卸売市場の動向(3月速報・一部抜粋)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 東京青果物情報センター「青果物流通年報」
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
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(単位:円/kg)
資料:
東京青果物情報センター「東京都中央卸売市場における青果物の産地別入荷数量及び価格」
注 :
平年とは、過去5ヵ年(15~19年)の旬別価格の平均値である。
②大阪市中央卸売市場
3月の大阪市中央卸売市場における野菜の入荷量・価格の動向は、入荷量が3.6万トン、前年比101%、価格は218円/kg、前年比105%であった。2月の低温や中国産輸入の減少により、にんじん及びねぎ、さといもの入荷量が減少、価格は前年を上回る価格となった。
一方で、ほうれんそう及びトマトについては、潤沢な入荷量から前年を下回る価格となった。
品目別は下記のとおり。
(執筆者:東果大阪株式会社 柳原孝司)
大阪市中央卸売市場の動向(3月速報・一部抜粋)
注: 平年比は過去5カ年平均との比較
資料: 全国生鮮食料品流通情報センター
指定野菜の卸売価格の推移(大阪市中央卸売市場)
※クリックすると拡大します。
(単位:円/kg)
資料:
ベジ探、原資料:全国生鮮食料品流通情報センター
注 :
平年とは、過去5ヵ年(15~19年)の旬別価格の平均値である。
(2)輸入動向
①平成20年2月(速報値)の動向
平成20年2月の野菜輸入量は、対前年比86%の183,807トンとなった。
生鮮野菜全体の輸入量は、同79%の56,989トンと減少した。生鮮野菜の輸入は年間の動向では、1月から数量が増え始め3月が最も多くなる傾向にあるが、本年2月は例年より低い傾向を示している。
生鮮野菜が減少した主な要因として、中国からの輸入量の減少があげられる。品目別によると中国産のウェイトが高いたまねぎが対前年比78%の16,098トン(中国シェア率71%)、ねぎ同76%の2,922トン(中国シェア率100%)、ごぼうが同66%の2,658トン(中国シェア率99%)、にんじん及びかぶが同77%の1,526トン(中国シェア率85%)となった。また、主力のニュージランド産が対前年比78%と4,454トン減少したかぼちゃは対前年比78%の16,608トンとなった。
一方、メキシコ、ニュージーランド産が主力のメロンは対前年比220%の2,144トン、中国産が主力のしょうがは同147%の4,220トンと増加した。
冷凍野菜は、前年同期比96%の60,323トンとやや減少した。生鮮野菜の動向と同様に中国産が主力であるさといも同75%(中国シェア率99.6%)の2,946トン、ながいも等同56%(中国シェア率100%)の143トン、ごぼう同84%(中国シェア率100%)の549トン、いちご同79%(中国:同60%、アメリカ:同105%、チリ:同84%)の1,521トンと減少した。
一方、増加した品目は、ばれいしょが同109%(アメリカ:同112%、カナダ:同118%、中国:同57%)の24,526トンと増加した。ばれいしょ全体では増加しているが、中国産が顕著に減少している。一方、冷凍えんどうでは同131%(中国:同168%、ニュージーランド:同94%、アメリカ:同147%)の1,323トンとなっている。冷凍ほうれんそうも同109%(中国:同126%、ベトナム:同96%、台湾:同49%)の2,377トンとなっている。このように増加した品目によっては、中国産の輸入量の増減が二極に分かれた結果となった。要因として、冷凍ばれいしょは、中国以外のアメリカ、カナダ等の輸出国が存在すること、冷凍えんどうは春先の豆ごはんとしての業務用の需要が伸びている可能性、冷凍ほうれんそうは、生鮮ほうれんそうの市況が2月は高く推移したことが一つの要因だと思われる。
②輸入数量の年別推移の動向
野菜輸入全体では、2005年をピークとしてその後は減少傾向である。2008年2月現在では、378千トン(対前年比90.2%)と減少している。
類別に見ると、生鮮野菜が108千トン(対前年比83.9%)で、輸入全体に占める割合は28.5%(対前年比30.6%)と減少している。一方、冷凍野菜は125千トン(対前年比96.4%)で、輸入全体に占める割合は32.9%(対前年比30.8%)と増加している。
注1:
輸入野菜の推移、輸入野菜の類別割合の推移は、2008年1月~2月までのの累計である。
注2:
輸入動向の数字の詳細については、資料編4~13頁を参照してください。