本年4月に学校給食法の一部改正が施行され、栄養教諭が学校給食を活用した実践的な食の指導を行うに当たり、地域の産物を学校給食に活用するなどにより、当該地域の食文化、食に係る産業、自然環境の恵沢に対する理解の増進を図るよう努めることとされたところです。
また、食育基本法に基づく食育推進基本計画(平成18年3月決定)においても、学校給食は①望ましい食生活や食料の生産などに対する子どもの関心と理解を深めるための手段②地産地消を進めるため、生産者団体などと連携し、地場産物の活用の推進や米飯学校給食の一層の普及・定着を促進するための手段として活用し、平成22年度までに学校給食での地場産物使用割合(食材ベース)を30パーセント以上とする目標が定められているところです。
一方で、地産地消の取り組みは、地域の農業者と消費者を結びつけ、地場農畜産物の需要拡大により、食料自給率の向上につながるほか、女性や高齢の農業者、小規模農家に所得や雇用の機会をつくりだし、地域農業や地域の活性化を実現するものとして緊急的な推進が求められています。
このような状況を踏まえ、学校給食における地場の農畜産物の利用を拡大するための支援を平成21年度補正予算で措置することとなりましたので、その概要を紹介します。
本事業は、「学校給食地場農畜産物利用拡大事業」として「地産地消・産直緊急推進事業」の中の一つの事業として実施するものです。事業のメニューとしては、①連携活動の実施②地場農畜産物利用拡大献立の導入・実証③冷凍・加工食品の試作・開発④新たな集荷・配送・搬入体制の構築、加工の実施の4つのメニューとしております(図1)。
本事業は、①学校給食における地場農畜産物の利用割合を平成20年と比べて平成22年度までに5ポイント以上拡大する計画、又は、②学校給食における地場農畜産物の品目数又は重量を平成20年度比で平成22年度までに5割以上拡大させる計画を作成した市町村や地域の協議会などを対象に支援を行うものです。
また、本事業で対象とする地場農畜産物は、事業の実施地域を含む都道府県内で生産された農畜産物を原則としています。なお、当該農畜産物が原材料の5割以上を占める加工食品も対象としていますので、例えば、県内産の牛肉、ばれいしょ、たまねぎを5割以上使用した牛肉コロッケなども対象とすることができます。
この場合、地場農畜産物の利用割合を算定して事業に取り組む必要がありますが、利用割合の算定方法については、学校給食の現場におけるデータの整備状況などに応じて利用割合を算定することが可能となっています(図2)。
本事業は、平成21年度と平成22年度の2カ年にわたって実施する事業であり、都道府県段階で事業実施主体を選定の上、国からの補助金により2カ年分の事業に必要な経費を基金として積み立て、地域レベルでの事業の取り組み状況に応じて、助成金を支出する仕組みとなっています(図3)。
(1) 連携活動の実施
学校給食への地場農畜産物の利用拡大に向けた協議会の開催、処理規格・処理基準の作成、調査、連携活動などの実施について定額で助成するものです(図4)。
(2) 地場農畜産物利用拡大献立の導入・実証
学校給食において地場農畜産物の利用を拡大する献立を導入・実証する場合、原材料費の2分の1を助成するものです(図5)。
(3) 冷凍・加工食品の試作・開発
周年で学校給食に利用可能となるよう、地場農畜産物を利用した冷凍・加工食品の試作・開発に要する経費の2分の1を助成するものです(図6)。
(4)新たな集荷・配送・搬入体制の構築、加工の実施
学校給食への地場農畜産物の利用を拡大するための新たな集荷・配送・搬入体制の構築、地場農畜産物を学校給食に導入するための加工を実施する場合の経費の2分の1を助成するものです(図7)。
本稿では、本事業の概要について紹介いたしました。本事業の実施により、地場の農畜産物の需要を拡大するのみならず、子どもたちが新鮮で美味しい地場農畜産物を学校給食で実際に口にすることにより、食べ物や農業について少しでも関心をもっていただくことに大きな期待を寄せています。