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最近の冷凍野菜の紹介 ~ 国産・下処理済み冷凍野菜を中心に ~

調査情報部 調査情報第二課


 冷凍野菜の利点としては「利便性」「長期保存」があげられます。最近は、さらに進化し、洗浄・皮むき・カットなどの下処理がされ、そのまま調理できる商品が続々と開発され冷凍野菜の売り場にも変化がみられます。そこで、本稿では最近の「冷凍野菜」の動向について紹介します。


1.冷凍食品のなかの冷凍野菜
 日本冷凍食品協会の調査によると、2005年の冷凍食品の生産量は1958年の調査開始以来最高の153万9,009トンとなりました。品目別の生産量を見てみると農産物(野菜・果実含む)は増加しています。「冷凍野菜」のみをみてみると冷凍食品と同様に増加していますが、内訳をみると国内産冷凍野菜の数量は94,908t、金額は約270億円であるのに対し、輸入冷凍野菜の数量が786,507t、金額が約1,073億円と輸入品のシェアが高く、2005年では数量で89.2%、金額で79.9%が輸入品となっています(表1)。

表1 国産冷凍野菜と輸入冷凍野菜の推移

資料:日本冷凍食品協会HPより


2.国産冷凍野菜について
 国産の冷凍野菜というと北海道産のばれいしょ、かぼちゃなどの生産量が多く、国産冷凍野菜の85.3%を占めています。しかし最近、店頭で九州産の「ほうれんそう」や「こまつな」など葉物野菜も見られるようになり、バラエティーが豊かになっています。品目別生産量の推移をみてみると、特に、ほうれんそう、かぼちゃなどの伸びが目立ちます(図1)。使用頻度が高い冷凍野菜としては「さといも」、「ほうれんそう」、「ブロッコリー」、「えだまめ」、「ミックスベジタブル」があります。これは生産量が伸びている野菜とも一致しており、下処理が面倒な野菜については冷凍品を使うという傾向消費者のが伺えます。




表2 品目別の冷凍農産物生産数量・生産額

資料:日本冷凍食品協会HPより

 国産冷凍野菜が増えた第一の要因は、平成14年の中国産冷凍ほうれんそうの残留農薬問題をきっかけに消費者が少し高くても国産の「安心」を選ぶようになってきたことがあります。また、中国国内の消費の伸びとコスト高騰という事情もあります。

 一方、生産に目を向けてみると、冷凍野菜を生産する上で、重要なのが鮮度保持です。最近は農業生産法人となった企業が、農家から農地の提供を受け、耕起~播種までは農家に任せ、栽培管理と収穫を担当するという「共同委託作業」方式により労働力と原料の確保を実現し「生産から製品化まで」を一貫して企業がコントロールする形態も出現しています。


3.下処理済み冷凍野菜の紹介
 女性の社会進出、単身世帯の増加、核家族化などを背景に簡便な食材が求められています。このような事情を反映して出てきたのが下処理済み冷凍野菜セットといえるでしょう。
 買い物や調理の時間がないときに調味料さえあればすぐに調理できるというメリットがあります。


4.冷凍野菜のメリットとニーズ
 冷凍野菜のメリットは、「便利」、「保存期間が長い」、「一定の価格なので、生鮮の価格が高いときによい」、「調理が楽」、「下処理したりゴミがでないので地球にやさしい生活ができる」などですが、一方で、「食味、食感がおちる」、「栄養価が低そう」、「高い」、「安全性への不安」などの意見も聞かれます。

 また、安心・安全を求める声も多く「便利だけど、外国産だと不安なので国産をもっと増やしてほしい」、「農薬が不安」などのほか、「ポストハーベストについて教えてほしい」、「産地や生産履歴がわかるとよい」、「保存剤等の薬は使用されているのか」、「JASマークのついているものなら購入する」など情報を求めている消費者も多いと考えられます。

 一方、冷凍野菜の利点はなんといっても「便利さ」で、ミックスベジタブルやえだまめの使用頻度が高いのはその反映と思われます。



<九州産の冷凍野菜>
<北海道産の冷凍野菜>



 


<下処理済みの冷凍野菜>


 最近発表された厚生労働省の2004年国民健康・栄養調査によると、脳卒中など生活習慣病を起こす危険が高い「メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)」の有病率が40歳以上で急増し、また、20代、30代では朝食欠食率や野菜の摂取量の減少が深刻化しています。このような層をターゲットにして調理が簡便な冷凍野菜を取り入れた食生活を推進し、必要な野菜摂取を実現していくのも意味のあることではないかと考えます。



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