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ピー太郎 
(野菜情報 2013年9月号)



甘くて苦味がなく
 みずみずしい食感の
  「ピー太郎」


調査情報部





■ピー太郎とは

 ピー太郎は、タキイ種苗株式会社が創立175周年記念発表品種として、2011年に発売された新しいタイプのピーマンです。甘みがあり、ピーマン独特の青臭さや苦味を少なくし、こどもにも食べやすいことから、「こどもピーマン」のブランド名で販売しています。
 タキイ種苗株式会社でメキシコ向けトウガラシ(ハラペーニョ)の育成と検定を行っているとき、偶然全く辛くない個体が発見されたことが、ピー太郎の育成のきっかけとなったそうです。

■ピー太郎の特徴

 ピー太郎は、一般的なピーマンと同じような生育をしますが、果実はロケット形で長さは約10センチ、重さは40グラム程度で、見た目はハラペーニョのように見えます。しかし、ハラペーニョのような辛さが全くない上、一般的なピーマンより糖含量が高くて苦味が少なく、酸味もほとんどなく、果肉が厚くみずみずしい食感が特徴で、生食はもちろん、加熱調理でもおいしく食べられます。
 栽培面では、一般的なピーマンに準じた管理を行いますが、開花から収穫までの期間は一般的なピーマンより長く、着果負担も大きいため、草勢を落とさないよう、定期的な追肥と収穫後のかん水を心がけることが必要となります。果面にヒビが発生したら収穫適期です。

■産地と生産者紹介

 岩手県のほぼ半分を管内とするJA新いわての中で、野菜生産が盛んな東部地域にある岩手郡岩手町は、冷涼な気候と標高差を生かした夏秋キャベツや夏秋ピーマンの生産が盛んなところです。岩手町を含む岩手県は、葉たばこ(バーレー種)の主産地ですが、喫煙率の減少により、葉たばこから野菜、花きなどへの転作が進んでおり、岩手町でピー太郎の栽培が行われるようになったきっかけも、葉たばこからの転作作物として導入したことによります。平成24年の作付面積は45アールで、生産者は6名でした。JA新いわてでは、既存のピー太郎生産者や新規栽培希望者に対して、ピーマン苗委託農家による苗の供給と、定植から収穫、選別作業までの指導を、ステージごとにJA営農指導員が行うなど、ピー太郎栽培のバックアップ体制は充実しています。岩手町のピー太郎栽培は、3月中旬に播種し、5月下旬から6月上旬にかけて定植作業を行います。収穫は7月中旬から始まり、初霜の降りる10月くらいまで続きます。ピー太郎は食べ頃になると果皮にヒビが入りますが、市場からはヒビのないものを出荷してほしいとの要望があり、ヒビの入る前に若どりしています。しかし、ピー太郎本来の甘みが楽しめるのはヒビが入った完熟果であることから、今後は、販売促進などでの試食販売時に、消費者にヒビ果を試食してもらい、市場価値があることを認知してもらえるようにしていきたいとのことです。また、低温時に発生する黒アザ果(アントシアンが強く出たもの)についても、現在は市場価値がありませんが、病害果ではなく、低温や乾燥からピー太郎自身を守るためにアントシアン色素が強く出ただけなので、通常のピー太郎と品質は全く同じであり、黒アザ果についても、販売促進などで消費者に商品価値を訴えていきたいとのことです。
 ピーマンなどの野菜と米の複合経営をする生産者の田村さんも、葉たばこの転作作物としてピー太郎を2,000株栽培しています。田村さんは畜産農家と耕畜連携を行っており、田村さんが稲わらを畜産農家に供給し、畜産農家から田村さんに堆肥が供給されています。田村さんのピー太郎ほ場では、耕畜連携により畜産農家から供給された完熟牛ふん堆肥を施用し、保肥力があり、排水性と保水性のバランスがとれた土作りを行っています。岩手町は環境保全型農業を推進していますが、冷涼な気候により病害虫の発生が平坦地より少ないため、無理なく減農薬体系に取り組むことが可能であり、田村さんのほ場でも、育苗期と定植時の2回の防除のみで病害虫を抑えています。また、被覆資材も生分解性マルチを使用しており、環境に優しいピー太郎栽培を実践しています。収穫は、早朝5時から8時まで行い、出荷最盛期は夕方も収穫します。


■産地から一言

 ピー太郎は、一般的なピーマンのような青臭さがなく、ピーマン嫌いのお子様もおいしく食べることのできる、果肉の厚い、新しいタイプのピーマンです。食べ方は、一般的なピーマンと同じように、生や加熱料理などがあり、ピー太郎を使うことにより、料理の彩を豊かにしてくれます。また、ピーマン同様ビタミンCなどが豊富で、天然のサプリメントとしても食べていただきたい野菜です。

○<「ピー太郎の和風マリネ」の作り方(2人分)>

材料:ピー太郎6個 ポン酢しょう油大さじ1/2杯 おろしにんにく少々 赤とうがらし2本 オリーブ油大さじ2杯 かつおぶし適量
作り方:①ピー太郎は縦半分に切り、種を除く。②バットにポン酢しょう油、おろしニンニク、種をのぞいた赤唐辛子、オリーブ油と混ぜ合わせる。③ 焼き網を熱し、①で前処理したピー太郎をのせて焦げ目がつくまで両面を焼き、熱いうちに②のマリネ液につける。(すぐ食べてもおいしいですが、30~60分程度つけておくと、さらにおいしくなります。)④ お皿に盛り付け、かつおぶしをかければできあがり。

お問い合わせ先:JA新いわて 東部営農経済センター 米穀園芸課(TEL:0195-61-2511)
レシピ、料理写真提供:タキイ種苗株式会社

 
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