[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

プンタレッラ
(野菜情報 2013年3月号)



ほろ苦さが
 あとをひく
  「プンタレッラ」


調査情報部





■宮城県のプンタレッラプロジェクト

 プンタレッラは、イタリア・ローマでは代表的な冬の野菜です。
 イタリア・ローマと友好姉妹県である宮城県は、平成14年から県の試験研究機関でプンタレッラの栽培に関する研究を続けていました。宮城から新たな食材を発信すべく、平成18年にプンタレッラプロジェクトを立ち上げ、生産者、JAなど関係者と共に、プンタレッラの魅力発信やブランド化、需要者ニーズに対応できる体制づくりに取り組んでいます。

■プンタレッラの特徴

 キク科チコリーと同属のカタローニャという野菜の一種であるプンタレッラは、主に、株の中心から出てくる花茎を食します。
 茎の中は空洞で、シャキッとした食感が楽しめます。また、ビールのような独特のほろ苦さも魅力のひとつで、食物繊維やビタミンC、β-カロテンが豊富に含まれています。

■JAみやぎ仙南での栽培

 プンタレッラプロジェクトが立ち上がった平成18年から、JAみやぎ仙南で本格的なプンタレッラ栽培がスタートしました。当初の生産者は8戸、栽培面積は10アールでしたが、平成20年度には生産者14戸、栽培面積43アールに増加したことから、平成21年、JAみやぎ仙南西洋野菜研究会が設立されました。
 現在、研究会のメンバーは16戸、栽培面積は約50アールで、栽培技術の向上や品質の均一化を図るため、栽培研修会や現地検討会などを定期的に開催しています。また、市場での試食会や見本市など、各種イベントへの参加によるPR活動も積極的に行っています。
 プンタレッラには、花茎が細く生育の早い早生種と、花茎が太くゆっくり時間をかけて生育する晩生種があり、研究会では晩生種の栽培を推奨しています。7月下旬には種し、1ヵ月ほど育苗した後、8月~9月上旬に定植します。収穫は、早生種が11月下旬~1月、晩生種が12月中旬~3月で、仙台や東京、横浜の市場へ出荷しています。他の野菜に比べると高価ではありますが、イタリア産の輸入物と比較すると、価格は同等・鮮度は抜群で、イタリアンレストランを中心とする需要者から好評を得ています。
 JA管内でプンタレッラを栽培しているのは、丸森町、蔵王町、白石市のみで、品質を守るために栽培地域や生産者が限定されています。しかし需要が伸びてきた今、生産量確保に向け、管内他地域での栽培普及も検討しています。
 栽培上の難点としては、種子の問題があります。種子はイタリアから入手できますが、イタリアには種苗会社がなく品種が固定されていないため、生育にバラつきが生じてしまいます。商品化率も低く、また、晩生種の種子は入手困難であるため、自家採種による良質な種子の確保が大きな課題となっています。そのほか、寒さ対策や害虫対策などの課題もあり、これらの課題を克服するため、宮城県農業・園芸総合研究所で栽培技術の研究がすすめられています。現在、生産者がその技術を習得しているところで、栽培技術の確立による高品質化や安定供給に向けた生産量の確保を目指しています。

■生産者紹介

 研究会会長の菅野さんと副会長の佐々木さんは、本格的な栽培が始まる前の試験栽培時から、丸森町でプンタレッラを栽培しています。もともと、丸森町でのプンタレッラ栽培は、稲作農家が使用していない冬場の育苗ハウスを有効活用することがきっかけだったそうで、お二人も稲作農家です。冬場の収入源となっており、最近では研究会メンバーに野菜農家も増えているようです。
 会長は、2年前から採種に取り組んでおり、自家採種に向けて技術を習得中です。しかし、発芽率は3割程度と、そのハードルは高いようです。「他にはない珍しい野菜だから、皆、誇りを持って栽培に取り組んでいる。」という言葉から、プンタレッラへの愛着を感じます。

■産地から一言:おすすめの食べ方

 プンタレッラはアクが強いので、千切りにして水につけ、アク抜きをしてから調理します。
 ローマでは、オリーブオイルとアンチョビのドレッシングで和えたサラダが一般的です。食感を生かしたサラダや漬物もおすすめですが、茎の空洞部分にひき肉を詰めて焼いてもおいしいです。また、独特の苦味が苦手な方は、天ぷらにすると苦味が和らぎ食べやすくなります。

○〈「プンタレッラのサラダ」の作り方〉

 ①プンタレッラ(500グラム)の若芽(茎)を株から切り分け、細長く裂くようにして切り、氷水につける。②アンチョビ(大1本)、にんにく(1/2かけ)、ワインビネガー、オリーブ油(30cc)をミキサーでペースト状にする。③①の水気をよく切って②を入れ、塩、こしょうで味を調え手で混ぜる。④お好みによりレモン汁を加える。

お問い合わせ先:
宮城県大河原地方振興事務所農業振興部(TEL:0224-53-3431)

 

 
元のページへ戻る


このページのトップへ