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かき菜
(野菜情報 2013年2月号)



甘みも栄養も
  たっぷり詰まった
    「かき菜」


調査情報部





■かき菜とは

 かき菜は、栃木県の両毛地区で古くから栽培されている伝統野菜で、「佐野の茎立」として万葉集にも登場しています。秋に種をまき、冬から春にかけて伸びてくる茎葉を順次収穫していきますが、茎の部分を手で欠いて収穫することから「かき菜」と呼ばれるようになり、地元では春を呼ぶ野菜として親しまれています。

■かき菜の特徴

 かき菜はアブラナ科の野菜ですが、苦味が少なく、ほのかな甘みが感じられます。味にクセがないためどんなお料理にも合い、茎の部分のシャキシャキとした食感も魅力のひとつです。
 また、冬の野菜であるため害虫被害が少なく、栽培が比較的容易で、高齢者や女性でも栽培しやすい野菜です。

■ブランド化とブランド維持

 JA佐野は、かき菜のブランド化を図るため「佐野そだち菜」の名称で商標登録を出願し、平成18年に商標を取得しました。また、かき菜は、地域の気候や風土の特徴を生かして栽培されている農産物に対してとちぎ農産物マーケティング協会が認証する「とちぎ地域ブランド」や、佐野市が認証する「佐野ブランド」のひとつにもなっており、JA佐野のかき菜部会では、ブランドの名に恥じないかき菜を目指し、栽培に取り組んでいます。
 かき菜栽培において最も重要なことは採種です。以前は各農家で自家採種していましたが、アブラナ科の作物は交雑しやすく、品質を統一することが困難であるため、4年前からJAと部会の役員が採種を行っています。かき菜の作型には、育苗・定植を行って主枝と側枝を春まで随時収穫する「つみ取り栽培」と、直接本圃には種して収穫適期になったら一気に株を刈り取る「かっきり栽培」の2種類があります。つみ取り栽培は、定植時に株間を広めにとるため大きく育ち、また、1株で3回程度収穫できる一方、かっきり栽培は、定植作業を省くことができ、生育期間が短めで早く収穫できます。管内ではつみ取り栽培が主流ですが、両者の利点を生かし、組み合わせて栽培されています。
 出荷期間は10~5月で、栃木県や群馬県、都内の市場を中心に、関東地域へ出荷されています。市場流通のほか、学校給食向けの出荷や総菜加工用の契約出荷も行っており、販路も徐々に拡大しています。
 今後の課題は、生産者の増加と安定供給です。10年前には150人程いた部会員は現在72人で、高齢化とともに減少していきました。70代の生産者が多いというかき菜部会では、栽培しやすさをうりに、新規の部会員を増やしたいと考えています。また、安定的な供給に向けては、現在、かき菜の冷凍保存を試行中で、期待が高まっています。

■生産者紹介

 管内では、夏のなす栽培の後作として、かき菜を栽培する生産者が多いそうです。部会長の新井さんもその一人で、約70アールの畑でかき菜を栽培しています。
 新井さんによると、かき菜は寒さに強く、害虫被害が少ないため農薬散布もほとんど行わなくて良いそうですが、ここ数年は寒波が厳しいため、寒冷紗やビニールでトンネル被覆するなどして、防寒対策を行っているそうです。「1月末から2月にかけては甘みが強くて一番おいしい時期。甘みの詰まった茎は、何もつけずにそのまま食べるのが一番。」だそうで、お酒のおつまみにも最高なんだとか。

■産地から一言:おすすめの食べ方

 冬から春にかけてが味の旬で、霜にあたったかき菜は、甘みも抜群です。
 一般的な食べ方は、ほうれんそうや小松菜と同様、みそ汁の具やお浸し、ごま和えなどです。かき菜には食物繊維やカルシウム、ビタミンCなどの栄養素がたくさん詰まっているので、体にもうれしいお野菜です。是非、甘みと栄養がたっぷり詰まったかき菜をご賞味ください。

○〈「かき菜のキッシュ」の作り方〉

 ①熱したフライパンに油(小さじ1)を入れ、ベーコン(2枚)を炒める。②3~4センチの長さに切ったかき菜(1/2袋)を茎から順に加え、火が通ったら、塩こしょう(少々)で味を調える。③卵3個、牛乳100cc、とろけるチーズ(お好みで)、生クリーム100ccを混ぜ合わせる。④耐熱容器に②と③を入れ、180度に温めたオーブンで30分程焼けば出来上がり。

写真:JA佐野

 お問い合わせ先:JA佐野 販売利用課(TEL:0283-23-9992)

 
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