食べて菜
(野菜情報 2013年1月号)
調査情報部
食べて菜は、県の農業試験場において、県特産野菜である「さぬきな」と「小松菜」の交配により、平成18年に誕生した新野菜です。さぬきなは、9年に漬け菜の新品種として同じく県の農業試験場で誕生しました。当時は、漬物用として開発されましたが、くせがなく食味がいいことから葉物野菜としての利用も始まり、学校給食に利用したところ、子供たちの評判は上々でした。しかし、さぬきなは上に長く伸びるため、収穫時に茎が折れやすいことから、12年にはさぬきなの改良を目的に農業試験場において育成が始まりました。
食べて菜は、21年度から県内8カ所の小中学校の学校給食に試験的に導入され、23年度には県内小中学校の8割にあたる208校で、11トンの食べて菜が利用されました。23年度の生産者は35名、栽培面積は1ヘクタールとなっています。
食べて菜という名前の由来は、学校給食において試験的に導入した際、県内の小中学生を対象に愛称を募集したところ、「みんなに食べてほしい」という願いと讃岐地方の方言「○○(して)な~」をかけたものが採用されたもので、子供たちの願いが込められています。
食べて菜は、見た目は小松菜と似ており、葉は小松菜より大きいですが、両方の良いところを引き継いでいます。上に伸びずに横に張り、また、さぬきな同様にしゃきしゃき感があり、苦味の少ないのが特徴です。あくが少なく、葉が柔らかく甘みもあるため、生でも食べられます。
県は、地産地消や食育に取り組みながら、香川県オリジナル野菜として普及を図っており、生産者、流通(市場)、行政の三者が一体となって、県内での本格的な流通販売を目指しています。
21年度から試験栽培が始まり、地産地消推進のひとつとして、学校給食への利用を進めています。また、23年度からは、県内の一部の量販店で取り扱いが始まり、食品会社とのコラボレーションにより、食べて菜と組み合わせたメニューを試作し、試食販売を行うなど、積極的に消費者へのPR活動を行っています。
また、食育の一環として、小学校への出前授業を行っています。これは、学校給食で利用するだけではなく、実際に子供たちに食べて菜を栽培してもらい、みんなで収穫して食べることを体験してもらうことを目的としています。そのほかにも、消費者が小松菜と見分けがつくように、専用の包装資材を作成するなど、食べて菜の普及を図っています。
生産者の森さんは、高松市内に36アールの畑を所有し、現在では食べて菜や小松菜、しろななどの葉物野菜を中心に栽培しています。さぬきなの栽培から携わっており、当初は4名の生産者で学校給食用に栽培していましたが、茎が折れやすいので出荷するときは苦労したそうです。
食べて菜の栽培は、21年度に県から依頼を受けたのが始まりで、さぬきなを栽培していた経験を生かし、子供たちに香川県オリジナルの野菜を食べてもらいたいという思いで試験栽培を始めました。生産者として、実際に食べてもらった人から、美味しかったなどと言ってもらえるのが一番うれしいそうです。
現在は、学校給食用に栽培していますが、今後は香川県産の野菜として地場を固め、ゆくゆくは県外出荷できるまでにしたいという目標を語ってくれました。
生でも食べられるので、サラダはもちろんのこと、しゃきしゃきとした食感や癖のない食味でさまざまな料理に合い、炒め物、鍋、味噌汁など料理全般に使えます。また、サンチュのように焼き肉などいろいろな具材を巻いて食べることもできます。
お問い合わせ先:
香川県農政水産部農業生産流通課 野菜グループ
(TEL:087-832-3419)