[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

磐生福立菜(ばんせいふくたちな)
(野菜情報 2012年12月号)



甘みと栄養が
 たっぷり詰まった
   「磐生福立菜」


調査情報部





■ JA遠州中央のオリジナル品種

 磐生福立菜は、JA遠州中央と種苗会社の共同開発により生まれたアブラナ科野菜で、ちんげんさいと中国野菜のサイシンを交配したF1品種です。
 JA管内では少量多品目栽培の農家が多く、新たな品目を模索していました。生産者数人が趣味で栽培していたものをたまたま営農指導員が口にし、このおいしさであれば農協独自の品目として産地化を図れるのではないかと、平成19年度よりJAでの試験栽培が始まりました。当初の生産者数はわずか3人、作付面積8アール、生産量12,000袋でしたが、地元レストランを中心に好評を得て、23年度の生産者数は12人、作付面積47アール、生産量64,000袋と、順調に生産量を伸ばしています。
 名前の「磐生」は磐田で生まれ育ったことから、「福立菜」は食べる人や作る人達に幸福感を味わってもらいたいという思いから春風が吹くと茎を伸ばす「吹き立ち菜(茎立菜)」をもじり、命名されました。

■「磐生福立菜」の特徴

 食用とする部分は、植物が成熟して子孫を残すためにできるつぼみや茎です。この部分には多くの栄養が含まれており、分析会社の検査によると、ちんげんさいに比べてビタミンCと鉄が4倍、βカロテンやビタミンEは2倍含まれているということです。
 食味はえぐみがなく、生でも食べられます。完熟した甘みと、つぼみ・葉・茎の旨みが一度に味わえることも特徴のひとつです。

■ 周年栽培の確立と生産振興

 産地化を目指すJAは、周年栽培による安定供給を図るため、21年度から育苗事業を開始。LED(発光ダイオード)を用いた疑似越冬育苗を行うことで、周年栽培が可能となりました。JAが育苗した苗は生産者へ供給され、生産者はビニールハウスへ定植し、約30日後に主幹を摘心して順次側枝を収穫します。栽培技術向上のため、JAでは常に試験栽培を行っており、生産者との研究会も年に数回開催し、ほ場見学や販売先での意見交換会などを行っています。さらに24年度からは、品評会も行っています。
 磐生福立菜は、商標登録によりオリジナルブランド化が図られていますが、知名度を高めるため、展示会や市場などで積極的に試食宣伝を実施しています。評判は徐々に高まり、24年のしずおか食セレクションにも認定されました。現在は、主に首都圏を中心とした市場、県内飲食店や地元学校給食へ出荷しており、県内のレストランチェーン店では1年中メニューに用いられています。
 今後の課題は、夏場の栽培における虫対策と高温対策、季節ごとの栽培技術の確立や種子の確保です。また、販路の確保とともに、加工品の開発なども視野に入れています。

■ 生産者紹介

 浜松市の中田さんは、ちんげんさい15アールのほかに磐生福立菜を5アール栽培しており、試験栽培当初から磐生福立菜を栽培しています。
 栽培において苦労する点は夏場の栽培で、一般的な品目ではないため使用できる登録農薬が少なく、害虫や腐敗が発生しやすいそうです。それでも栽培を続けるのは、作業を省力化できるという利点があるから。ちんげんさいの場合、ひとつのほ場で年に10回転させるため、その度にほ場整備や定植作業を要しますが、磐生福立菜は一つの株で冬場は約2ヵ月、夏場は約2週間の間側枝を収穫でき、ほ場回転数は年に5~6回ですみます。出荷の際、規格にあわせて長さを調整しますが、調整後に不用となる茎の部分は自家用に浅漬けにするそうで、これがまたおいしいのだそうです。

■ 産地から一言:おすすめの食べ方

 冬場は特に甘みが増し、糖度が9度にもなる磐生福立菜。おすすめの食べ方は、手軽に調理できるおひたしです。さっと(1分30秒ほど)ゆで、醤油やマヨネーズなどお好みの味付けでお楽しみください。
 磐生福立菜は、縁起の良いネーミングから結婚披露宴でのメニューに用いられることもあります。是非一度、ご賞味ください。

○〈「磐生福立菜のヘルシー炒め」の作り方〉

 ①磐生福立菜(200グラム)は、芯の部分を2センチくらいの斜め切り、葉の部分は3センチに切る。②にんにく(2片)はみじん切りにする。③フライパンにサラダ油(大さじ2)を入れ熱し、②を入れ軽く炒める。④③に①の芯の部分を先に入れ、1分ほど炒めたら葉の部分を加え炒める。⑤塩・うま味調味料(各小さじ1/2)を加え、酒(大さじ1)を鍋肌から回し入れ、こしょう(少々)とゴマ油(小さじ1)を加え仕上げる。

お問い合わせ先:JA遠州中央営農振興部園芸指導課(TEL:0538-36-7018)

写真提供:JA遠州中央

 
元のページへ戻る


このページのトップへ