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練馬大根
(野菜情報 2012年10月号)



江戸の地で愛された
   だいこん
      「練馬大根」


調査情報部





■東京の伝統野菜

 練馬大根の栽培は、江戸時代にはじまったといわれています。練馬地方の土壌は関東ロームと呼ばれる褐色の赤土で、だいこんの栽培に好適だったことから栽培が盛んになり、また、大消費地である江戸の近郊供給地として急速に発展していきました。しかし、昭和初めの大干ばつや幾度かのモザイク病大発生、急激な都市化による農地の減少などにより、昭和30年頃から栽培が衰退し、存在が薄れていってしまいました。
 現在、都内各地で、江戸時代から東京周辺で栽培されてきた伝統野菜「江戸東京野菜」を復活させようという取り組みが進められていますが、練馬大根もそのひとつです。

■「練馬大根」の特徴

 練馬大根は、白首系だいこんです。現在栽培の主流となっている青首系は、地上に伸びる性質が強いですが、白首系は地中深くに根が張る性質があります。また、青首系はある程度均等で先すぼまりな形をしていますが、練馬大根は首と尻部が細く、根の中央部が膨らんでいるため、引き抜く時に3~5倍の力が必要といわれています。
 肉質は緻密で、水分が少ないため実が締まっています。乾きやすく、干し大根に適しているため、元々はたくあん漬け用に栽培されていました。

■魅力発信

 練馬区では、伝統的な産物である練馬大根を後世に伝えるため、平成元年より「練馬大根育成事業」を実施しており、区、JA東京あおばおよび生産者が協力しあい、練馬大根の栽培の推進やさまざまなイベント、食農教育に取り組んでいます。
 イベントのひとつとして、毎年12月、区とJAの共催で「練馬大根引っこ抜き競技大会」を開催しており、毎年500~600人が来場しています。大会用に約5,000本の練馬大根が植えられており、大会で収穫されただいこんのうち約3,500本は、翌日の地元の学校給食に利用されています。また、食農教育として、毎年地元小学校の生徒達が練馬大根の種まきと収穫を体験学習しています。
 まだ生産量が少ないため、現在はイベント用と、直売所や農家の庭先での販売となっています。規格外のだいこんは、JAのオリジナル商品「練馬大根ドレッシング」などの加工用に有効活用しており、直売所や地元量販店で、数量・季節限定で販売されています。
 事業開始時の平成元年度の生産本数は5,466本でしたが、イベントの実施などにより、23年度は12,876本に拡大しました。今後も練馬大根の魅力を発信し、より多くの方々に知っていただくことが目標です。

練馬大根のほ場

引っこ抜き競技大会の様子

■生産者の紹介

 約50アールのほ場で、きゅうり、とうもろこし、ブロッコリー、かぼちゃなどを多品目栽培している練馬区の加藤友康さんは、約10アールのほ場で練馬大根を栽培しています。
 練馬大根の根は地中深くにもぐり、長いものは1メートル近くにもなります。収穫は、折れないように注意しながら腰を入れて両手で抜くため、最も苦労する作業だそうです。
 現在栽培しているのは、体験学習用の練馬大根。楽しく収穫している様子や、加藤さんの元に届く体験学習の感想文は、とても励みになるそうです。「幼い時の楽しい体験が、ゆくゆくは練馬大根の継承に結びつくと思うので、こういう活動は大切にしていきたい。」と、体験学習にかける思いを話してくれました。

■産地から一言:おすすめの食べ方

 練馬大根は、たくあん漬け用のだいこんとして名を馳せました。昔ながらの製法は、収穫しただいこんを洗いながら鮫皮でよく磨き、矢来やらい(竹や丸木を粗く組み立てた囲い)にかけて干した後、樽に漬け込みます。
 たくあん漬けのほか、おでんなどの煮物にしてもやわらかく、おいしくお召し上がりいただけますので、是非ご賞味ください。

○〈「練馬大根スパゲッティ」の作り方〉

 ①大根菜(20グラム)はざく切りにし、さっと湯に通す。大根(1/2本)は皮をむき、おろしにする。②鍋にたっぷりの湯を沸かし、茹で塩を入れ、スパゲッティ(260グラム)を少し固めに茹で、お湯を切り、オリーブ油(大さじ1強と小さじ1)とバター(小さじ1)をからめ、大根菜を混ぜる。③鍋に大根おろしと調味料(砂糖大さじ1と小さじ2、塩小さじ1、酢大さじ1弱、しょうゆ大さじ1と小さじ1、酒小さじ1弱)を入れ、火が通ったらツナ(100g)を入れ、再度煮る。④お皿にスパゲッティをもり、具をかけ、のりをのせる。

練馬大根の給食メニュー「マーボー大根」

練馬大根の給食メニュー「練馬大根スパゲッティ」

お問い合わせ先:JA東京あおば
地域振興部地域振興課(TEL:03-5910-3066)
写真提供:JA東京あおば、練馬区

 
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