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サラダ紫
(野菜情報 2012年9月号)



食べてみないと分からない
 サラダでもおいしい
  「サラダ紫」


調査情報部





■「サラダ紫」の誕生と特徴

 サラダ紫は、神奈川県農業技術センターが民間種苗会社との官民共同研究により開発した、サラダでもおいしく食べられるなすです。なすの需要拡大を図るため、サラダ感覚で手軽に調理できる新品種の育成に平成15年より着手し、平成21年3月に品種登録されました。
 形はやや小ぶりな巾着型ですが、水なすをかけ合わせた品種のため、果実を強く握ると果汁がしたたり落ちるほどジューシーで、手に取るとずっしりと重量感があります。
 一般品種に比べて糖含量が多く(サラダ紫約3.2%、一般品種約2.8%)、果実を切った後も変色しにくいという特徴のほか、皮と果肉がやわらかめで、生で食べるとりんごのようなサクサクした食感があります。

■栽培について

 平成18年度から19年度までにかけて、横須賀市大楠地区を中心に試験栽培が行われましたが、変形果や色ムラをどのように解消するかが課題としてあがりました。しかしこれらは、株元まで光が届くよう畝間を広めにとることや剪定整枝を行うこと、灌水チューブでこまめに水を与えることにより解消されました。また、三浦半島地区事務所普及指導課では、JAと連携して、剪定整枝法の徹底による品質・収量の向上を目指し、2週間に1回、個別巡回指導を行うなど、産地育成を目的とした普及活動を行いました。
 平成20年度にはJAよこすか葉山が共販を開始し、平成22年度は15戸の農家54アールで栽培されました。栽培方法は普通のなすと同じで、定植は5月の連休に行い、収穫は6月下旬から。120~130グラムの大きさで収穫すると、色ぼけしません。なお、可販果収量は、整枝を行った状態で10アール当たり8~9トンです。

■流通、販促活動について

 サラダ紫は、7~10月に出荷されます。市場を経由して神奈川県内の量販店などで販売されているほか、JA直売所でも販売されています。苗は神奈川県種苗協同組合で販売しており、これまで県内の生産者にのみ販売していましたが、本年度からは組合員を通してですが他県の生産者へも販売可能となり、サラダ紫の普及に期待が寄せられています。
 県では、料理リーフレットの作成・配布のほか、JAや量販店などと連携し、消費者アンケートの実施や量販店での実演販売などの販売促進を支援しています。
 サラダ紫は食べてみなければ一般のなすとの違いが分からないので、まずは多くの人に味を知っていただき、定着させていくことが今後の課題です。

サラダ紫のほ場

りんごのような食感です

■生産者の紹介

 サラダ紫は現在、横須賀市を中心に神奈川県各地で栽培されています。
 横須賀市長坂地区生産者の広瀬さんは、平成19年度の試験栽培からサラダ紫を栽培しています。栽培をはじめたきっかけは、知事とのタウンミーティングで、神奈川県が県ブランドを作るために新種なす開発に取り組んでいることを知り、試験栽培に手をあげました。現在、4アールのほ場で栽培しています。
 サラダ紫の栽培で苦労する点は、剪定整枝などの手入れや夏場の水の管理で、水を絶えず与える必要があるため、1日おきに灌水チューブで水を与えています。
 サラダ紫は専用の袋に入れ、通いコンテナで出荷しています。収穫期間中、毎週月・水・金曜日に出荷しており、1回平均5ケースを出荷しているそうです。

■産地から一言:おすすめの食べ方

 サラダ紫はアク抜きの必要がなく、加熱調理する際は火の通りが早いため、お手軽に調理できます。また、水分が多いので油がしみ込みにくく、天ぷらもヘルシーに仕上がります。
 お手軽に楽しめる浅漬けをはじめ、イタリアン系ドレッシングとの相性が良いので、さっぱりとしたサラダもこれからの季節におすすめです。

○「夏野菜サラダ」の作り方

 ①サラダ紫(1個)はヘタを取り、縦に半分に切り、一口サイズの乱切りにする。②トマト(1個)、きゅうり(1本)も乱切りにする。③ボウルに野菜を合わせて、イタリアン系ドレッシングをかけて味をなじませる。

浅漬け

夏野菜サラダ

お問い合わせ先:神奈川県農業技術センター(TEL:0463-58-0333)
写真提供:神奈川県農業技術センター三浦半島地区事務所

 
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