「ニューなかやま」(中山かぼちゃ)
調査情報部
栃木県の烏山地域(那須烏山市、那珂川町)限定で生産されている「中山かぼちゃ」をご存じでしょうか。「中山かぼちゃ」は、戦後、北海道の開拓者によってこの地域に伝わり、自家用かぼちゃとして栽培されていました。その後、農協独自のものとして栽培を続けていましたが、つるが非常に長く、株元から離れた所に着果する(着果節位が高い)ため、栽培には広大な畑を必要とし、収量が少ないという難点がありました。そこで、県の農業試験場へ依頼し、系統選抜により約10年かけて誕生した品種が、「ニューなかやま」です。見た目や味は従来の「中山かぼちゃ」と同様、黒緑色の紡錘形をしていますが、従来のものよりも着果節位が低く、密植できるようになりました。
「中山かぼちゃ」(「ニューなかやま」を含む。以下同じ。)は、交配後55日以上熟成させたものを収穫します。現在、生産者はわずか15名で作付面積は2.7ヘクタール。収穫量は約30トンで、主に宇都宮市中央卸売市場へ出荷し、その他、山あげ祭などでの直売と「宅配」(農協による個人販売)を行っています。
「中山かぼちゃ」は、(社)とちぎ農産物マーケティング協会から栃木県の地域ブランド農産物として認定されています。ブランドとしての誇りを守るため、生産者の方々は手間のかかる作業も怠りません。5月末~6月の交配時期には、蜂による受粉で他の種類と混ざらないよう、蜂の活動前(早朝4時頃)に一つ一つ手作業で交配させます。さらに、交配後55日以上での収穫を徹底するため、交配日を記した札を付けていきます。また、出荷の際には、生産者の情報を記載したシールをかぼちゃ一つ一つに貼っていきます。スーパーなどではカット販売されることも多いので、シールは余分に箱へ入れ、カット販売でも個別に貼れるようにしています。
以前は82名いた生産者も、老齢化や手間のかかる作業、収量の少なさなどから現在の15名へと減少していきました。そんな中、今年は若い会員も2名加わり、希望も見えてきたそうです。JAなす南中山かぼちゃ部会の大森部会長は「食べた方の“おいしかった”の一言が何よりも嬉しい。手間のかかる作業ではあるが、地域ブランドとして誇りを持って栽培する意欲が湧く。」と話してくれました。
交配日を記した札を立てます
出荷前に一つ一つ磨きます
「中山かぼちゃ」は、何といってもきめ細かな質感とホクホクとした食感が魅力です。さらに、一般的なかぼちゃに比べて皮が薄く、口当たりの良さも抜群なので、小さなお子様やお年寄りの方にも喜んで食べていただけます。畑で完熟させたものを収穫しているので、出荷時は食べごろの状態です。あまり放置しておくと、でんぷんが糖に変わり、ねっとりとした食感になってしまうので、収穫後1カ月くらいまでに食べていただき、是非、ホクホク感を味わってください。
①かぼちゃは、種とわたを取り除き6片に切り、固めにゆで5mmの短冊切りにします。②切ったかぼちゃに塩・こしょうし、ベーコンで巻き、楊枝でとめます。③フライパンにごま油を引き、②を入れ、全体にこげ色がつくようにころがします。④乾燥バジルを入れ、落とし蓋をして火を弱め、かぼちゃがやわらかくなるまで焼きます。
「大学かぼちゃ」
「ベーコン巻」
問い合わせ先:那須南農業協同組合本店
営農部園芸課(TEL:0287-96-6170)
写真提供:那須南農業協同組合