「かおりごぼう」
調査情報部
奈良県内において戦前から生産が確認されている野菜で独特の栽培方法などに特徴を持つ“大和の伝統野菜”17品目のほか、栽培や収穫出荷に手間ひまをかけて栄養やおいしさを追求した奈良県のオリジナル野菜である“大和のこだわり野菜”4品目、これに朝どり野菜を加えた22品目を大和野菜として選定しています。
■「かおりごぼう」の特徴
「かおりごぼう」は、“大和のこだわり野菜”の一つに選定されています。生産地は、奈良県五条市の南部に位置する金剛・葛城山麓の扇状地にあり、砂質で排水がよい特徴を活かし、水稲の裏作として栽培されています。ごぼう本来の香りが強く、あくが少ない上、とても柔らかく、根部が20cmと普通のごぼうより短いことが特徴です。また、水稲を栽培した水田で栽培することにより、連作障害を防ぐと同時に水田に水を張ることで土中の病害虫が減少し、農薬はあまり使用することなく栽培できるので、安全・安心でおいしいかおりごぼうが収穫できます。
近年の地場野菜への期待の高まりから、平成12年に北宇智ごぼう組合を設立し、本格的に栽培が始まりました。生産者数は、組合が設立された当初は10名程度であったが、その後多少の増減はあったものの、現在は9名で栽培しており、作付面積は約120aと設立当初からおおよそ横ばいで推移しています。栽培品種は2品種あり、3月中旬~4月中旬に収穫される「サラダむすめ」と、5月上旬~6月上旬まで収穫される「山田早生」があり、全て露地で栽培されています。
組合では、地元の直売所がオープンしたことをきっかけに試食など販売促進に積極的に取り組み、ここで得た消費者の生の声を反映し、規格や容量・包装などに対応してきました。また、安全・安心への取り組みにおいても、出来る限り手作業での除草を行い、生育状況に応じた手作業での収穫など品質の良い商品の提供を心掛けています。こうした取り組みが地域農業の活性化に大きく寄与していることが評価され、平成17年度に奈良県農業賞を受賞し、平成21年度には日本農業賞奈良県代表に選ばれています。
「かおりごぼう」の栽培風景
収穫した「かおりごぼう」
きんぴらごぼう、ごぼうサラダ、てんぷらにして食べるのが一般的です。また、ごぼうの香りや栄養分は、皮や皮付近に多く含まれているといわれているため、あまり強くこすり皮をそぎ落とさないようにすることがポイントです。
①かおりごぼう(3本、200g)をたわしなどで洗い約5cmの長さで太めに切ります。②熱湯に塩を少々入れごぼうを茹でます。③ダシ昆布は汚れをふき細切りにします。④砂糖大さじ4、みりん大さじ3、みそ200g、だし昆布を少々を混ぜ合わせたものに、⑤②と③を段々に重ねて容器などに入れ、冷暗所などで1日間ほど漬けます。⑥食べる直前にごぼうをさっと洗ってから食べましょう。
ごぼうは乾燥に弱く、風に当たるとコルク状になり堅くなるため、泥つきのものは新聞紙にくるみ冷暗所に置くか、土をかぶせておくと長持ちします。また、洗いごぼうは鮮度が落ちやすいので、半分ほど切ってポリ袋などに包んで冷蔵庫の野菜室に入れ保存します。
「かおりごほうのみそ漬け」
「かおりごほうの茎を使用した煮つけ」
問い合わせ先:JAならけん
五條営農経済センター(TEL:0747-22-2512)
写真提供:JAならけん