「キャンディキャベツ」
調査情報部
見た目は普通のキャベツですが、8度以上の糖度がある「キャンディキャベツ」は、みずみずしさとシャキシャキした歯ごたえ、スッキリした甘さが特徴です。静岡県の種苗会社が味の差別化を図るため選抜を繰り返し、平成12年に‘冬927’という品種を開発しました。その後、静岡県経済農業協同組合連合会が生産販売の専属契約を結び、とぴあ浜松農業協同組合(以下「JAとぴあ浜松」)が「とぴあのキャンディキャベツ」という名で商標登録してブランド化されました。
‘JAとぴあ浜松キャンディキャベツ分科会’では、広く販売されている普通のキャベツと差別化販売ができる高付加価値農産物の生産を目指し、平成13年に試作し、平成14年より本格的に栽培を開始しました。普通のキャベツを生産していた農家を中心とする12名の生産者により、約2.2ヘクタールの栽培面積で始まった生産は、平成21年には生産者25名、栽培面積約4.5ヘクタールへと拡大しています。
「キャンディキャベツ」のは種は、8月にトレイを使用した方法を中心に行われ、9月上旬に定植されます。12月中旬~3月中旬にかけて収穫されますが、特に1月下旬~2月末の「キャンディキャベツ」は、霜に当たって甘さが増しておいしくなります。
「キャンディキャベツ」は、普通のキャベツよりも病気に弱く生育も不揃いなため、収穫が終わった4月に緑肥栽培を実施し、5月に行う土壌診断の結果をもとに6月に同分科会で土壌診断検討会を開催するなど、きめ細かい土作りを行い栽培技術の向上を図っています。
また、多様な玉揃いに対応するため、それぞれの大きさに応じた販売ルートを開拓しています。流通の大半を占めるL玉は量販店を中心に出荷され、歩留まりの良い大玉はカット工場へ、小玉のものはファーマーズマーケットで販売しています。どのサイズでも甘さの変わらない「キャンディキャベツ」は、相場に左右されない販売を目指しています。
現在、県内はもとより、東京や大阪の市場にも出荷されています。通常の価格よりも高く取引されているため、百貨店や量販店では、こだわり野菜として扱われています。
「キャンディキャベツ」はえぐみが少なく甘みがあるのが特徴ですが、使用する部分によって甘さが異なるので、それぞれ適した方法で調理しましょう。最も甘みの強い芯は、浅漬けにするのがおすすめです。ほどよい甘みの中心部は、サラダにすると本来の甘みが味わえます。外側の緑色の葉の部分は、加熱してロールキャベツやお好み焼きの具に使うとおいしいです。ぜひ、丸ごと味わってください。
①「キャンディキャベツ」の外葉をむいて適当な大きさにカットする。②熱したフライパンにマヨネーズを敷いて、ベーコンを炒める。③①を加え、しんなりするまで炒める。④③を卵でとじてご飯にかける。温かいうちにお召し上がりください。