「あすっこ」
調査情報部
アスパラガスのようなしなやかなわき芽を食べる「あすっこ」は、平成15年に島根県農業技術センターで、ブロッコリーとビタミン菜を交配させて誕生したアブラナ科の野菜です。「あすっこ」という名前の由来は、‘島根の明日をめざす野菜’‘アスパラガスのような食感’‘アスコルビン酸(ビタミンC)を多く含む’ことから付けられました。
「あすっこ」は、ブロッコリーのようにゆでて食べる野菜です。頂部には小さな花蕾をつけていますが、花蕾、茎、葉のすべてが食べられます。茎にはアスパラガスのような食感と甘みがあり、花蕾には菜花類特有の苦みのないことが特徴的です。また、冬の寒さにさらすとさらに甘みが増し、ゆでてもビタミンCの含有量が多いため、老化の防止や抗ストレス作用が期待できます。
島根の顔となる野菜としてブランド化を図るため、島根県とJA全農しまねは、「あすっこ」を商標登録し、栽培を県内のみに限定しています。
生産面における取り組みとしては、女性、高齢者や地域貢献型集落営農組織向けの軽量野菜として、水稲の後作や、ほかに競合する野菜の少ない時期に出荷できる露地品目として生産拡大を図っています。生産者は、本格的に生産出荷を開始した平成19年には150名程度でしたが、平成23年には約600名と増加しています。
販売面では、有利販売に向けた出荷規格の統一、生産者所得の確保のための値決め販売など、JA全農しまねにおいて一元的に行われています。こうした取り組みにより、県内量販店などでは「春を告げる野菜」として定着してきており、県内外の生協においても定番商品として扱われるようになっています。
「あすっこ」は、主に3~4月にかけて島根県内外へ出荷されています。食べやすい野菜ということで高い評価を得ていますが、露地野菜であるため天候の影響を受けやすく、安定供給が課題となっています。島根県とJAグループでは、出荷期間の拡大と安定供給に向けた取り組みとして、従来の系統の中から早生系統を選抜し、1月中旬より出荷できるようにし、両系統を組み合わせることにより安定出荷に向けた取り組みを行っています。
収穫直前の「あすっこ」
島根県内を中心に流通する「あすっこ」
産地から一言:おすすめの食べ方
サッとゆでると鮮やかな緑色となり、アスパラガスのような甘みが出る野菜です。くせがないので、和洋中さまざまな料理に使え、ごま和え、油炒め、天ぷらなど何にでも合います。島根県とJA全農しまねでは、たくさんのレシピをホームページ上に掲載しています。「あすっこ」の色々な味わい方を是非お試しください。
①カキを塩水で洗い、白ワインを振りかけて蒸し煮にする。「あすっこ」は3~4センチの長さに切ってゆでる。②厚手の鍋にサラダ油を熱し、一口大に切ったにんじんとたまねぎを炒める。③水を加え、沸騰したらあくを取り、材料が柔らかくなるまで弱火~中火で約15分間煮込む。④いったん、火を止め、ルウを割り入れて溶かし、再び弱火でとろみがつくまで約5分間煮込む。?牛乳を入れてさらに5分間煮込み、①の「あすっこ」を加えてひと煮立ちさせてお召し上がりください。
寒い冬に「あすっこのカキシチュー」
(レシピ・写真提供:ハウス食品)
本来の味が楽しめる
「あすっことアンチョビのオリーブ炒め」
問い合わせ先:島根県 農畜産振興課 園芸グループ
(TEL:0852-22-5127)
JA全農しまね 農産課
(TEL:0853-73-9526)
写真提供:島根県