「食用ほおずき」
調査情報部
淡いオレンジ色のミニトマトのような「食用ほおずき」は、ナス科の野菜で、その種類は100以上もあります。原産地も種類によって異なり、アメリカ大陸、アジア、ヨーロッパと世界中に分布しています。日本のある地域では、山に「ほおずき」を植えて、山仕事の合間に喉の渇きを潤したとの話も聞かれます。
オレンジチェリー、ゴールデンベリー、ストロベリートマトなどさまざまな名前が付けられ、日本全国で栽培されている「食用ほおずき」は、袋状となった蕚(がく)の中の実を食用とします。完熟した果実はマンゴーのような甘みと上品な香りが特徴です。また、「食用ほおずき」には‘抗脂肪肝ビタミン’と呼ばれる‘イノシトール’が豊富に含まれているため、脂肪肝や動脈硬化を予防したい人におすすめです。
山形県上山市の‘特定非営利営利活動法人上山まちづくり塾’は、上山市の活性化を官民一体となって成し遂げることを目的として、平成13年10月に市民の有志で設立された任意団体です。活動の一環として、地元のかみのやま温泉で取り組んでいる‘浴衣の似合うまちづくり’にマッチした商品として、平成19年から「食用ほおずき」の生産を開始しました。高い育苗技術を持つ上山明新館高校をはじめ、旅館、菓子店などの地元企業に上山市も加わり広範なネットワークを構築し、生食品の販売や加工品の開発を行っています。広報活動としては、上山明新館高校の生徒達による銀座のアンテナショップでのPR、地元保育園児を対象とした試食体験会など数々のイベントを実施しています。
また、平成20年度には、「食用ほおずき」栽培が、山形県の「新農業やまがた創造プロジェクト支援事業」に採択されるなど、県や市と協力した活動へと発展しています。
資料:上山市提供資料
((財)日本食品分析センターによる分析評価)より機構作成
‘上山まちづくり塾’が、平成19年に3アールのほ場から始めた「食用ほおずき」生産は、平成22年には生産農家11件、栽培面積は60アールにまで拡大し、出荷量も増加しています。「食用ほおずき」の作型は、2月には種を行い、3月下旬にはポットに移植します。5月上旬に定植した苗は、8月下旬~10月にかけて収穫されます。生産者は、雨除け栽培に挑戦するなど手探りの取り組みを行っています。
「食用ほおずき」は、葉の剪定など手間がかかり、生産者一人当たりの生産規模に限界があることから、‘上山まちづくり塾’では、生産者数を増やすことで生産量を拡大し、販路を開拓していきたいと考えています。
「食用ほおずき」栽培風景
「食用ほおずき」の実
甘さと酸味が絶妙なバランスの「食用ほおずき」は、そのまま食べてもおいしいですが、加工品にも向いています。市内の洋菓子店、製パン業者、牧場の協力のもと、さまざまな商品開発を行っており、牧場では、「食用ほおずき」で作ったジャムをのせた風味豊かなアイスクリームが人気です。かみのやま温泉で8月下旬~10月に収穫される旬の「食用ほおずき」を是非味わってください。
地元の洋菓子店と開発した‘ほおずきロール’
アイスクリームにのせて食べる
「食用ほおずき」の‘ジャム’
問い合わせ先:
上山市農林課 小林(TEL:023-672-1111〔内線405〕)
上山まちづくり塾 井上副塾長(TEL:023-674-9600)
写真提供:上山まちづくり塾