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地域だより
地産地消をテーマに「産・官・学・民」連携による食品の共同開発
~北海道産てん菜糖を使用したフルーツトマトゼリー~
独立行政法人 農畜産業振興機構 岡山出張所
岡山県の北部に位置する津山地域では、「地産地消」の促進で地域産業の振興を図るため、大学・企業・行政と生産者・消費者の連携による商品開発事業が進められている。
「美作大学技術交流プラザ」と名づけられたこの事業は、平成11年にスタートし、「食品分科会」をはじめとする4つのグループなどで構成されている。
このうち食品分科会では、津山の食品メーカーや美作大学食物学科、行政、生産者、消費者らが参加して、地元農産物を利用した特産品の開発を目指している。開発された商品は、入念な品質チェックや試食などを経てから地域ブランド品として認定され、商品パッケージには地域ブランドの統一ロゴマークを表示して販売されている。
会員である菓子製造会社の菓子司「わかな」では、このほど鏡野町の契約農家と共同開発したフルーツトマトゼリーの販売を始めた。これは、一般のトマトに比べ、タンパク質、ビタミンC、ベータカロチンが高いフルーツトマトを使用し、トマト本来の味を生かすため、イオン水と北海道産てん菜糖で味を整え、仕上げたカップゼリーであり、口溶けが良く健康志向を前面に押し出したデザート感覚で食べられるものである。
菓子司「わかな」の大塚貴将工場長は「てん菜糖の使用割合は、商品1個(約50g)につき1割程度だが、てん菜糖が柔らかい甘味を演出してくれることと、国内産であることにこだわりました」と話す。また、「第一次産業が発展してこそ、二次、三次産業があると思われ、フルーツトマト生産農家の顔が消費者に見え、話ができる関係にしたかった」と続ける。
一方、生産農家も担い手の育成・確保を目指して「鏡野町農業後継者クラブいずみ会」を結成し、専業の若い農業者を中心に異業種との交流を深めるなど、活発な活動を行っている。今後の課題としては、(1)商品PRと販売量の拡大、(2)新たな加工品の開発、(3)フルーツトマトのブランドの確立、である。
同交流プラザの事務局である「つやま新産業開発推進機構」の近藤浩幸産業活性化アドバイザーは、「平成17年度の計画としては、販売チャネルの開拓が目標。そのためのニーズの調査を現在行っているところです。また、農業支援に結び付けていく観点から、今後、振興を図っていく農作物の品目選択の作業も同時に進めています」と話す。
この事業は、他の市町村からも問い合わせが寄せられており、地域内で異業種同士が交流を図って知恵を出し合い、その中でも、農業と食品産業との結びつきを強化している県内の代表的事例といえよう。
――――――(古澤)