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地域だより


近畿農政局・青果物健康推進委員会主催 「野菜・果物の消費と健康に関するセミナー」が京都で開催

独立行政法人 農畜産業振興機構
大阪事務所


 

 
セミナーの風景



 平成16年11月17日(水)、近畿農政局および青果物健康推進委員会主催により同セミナーが京都市において開催された。野菜・果物はビタミン、ミネラルなどの供給源として関心が高まっている反面、ライフスタイルの変化などから若年層を中心にそれらの摂取が減少している。そこで、このたび健康な生活を営む上で、"野菜・果物摂取の重要性"について、健康の観点からの講演と流通面からの情報発信などの事例報告を行い、流通関係者や消費者の認識を高めることを目的としてこのセミナーが開催された。

1 健康の観点からの講演

 健康の観点からは、「野菜で生き生き健康長寿」と題して京都府立医科大学大学院の伏木信次教授による以下の内容の講演が行われ、野菜摂取の重要性が強調された。

 講演 ~野菜で生き生き健康長寿~

 健康長寿への関心が高まっている中、病気や健康に関する遺伝子が解明されつつある。疾患の基礎には遺伝子が必ず関与すると言われているが、ほとんどの病気は遺伝子要因だけでなく環境要因も多分に関わっており、生活習慣病などはまさに遺伝子要因と環境要因の双方が関わっている。遺伝子情報を活用した医療は当該個人に対して病気になりにくい指導ができるという予防医学(未病)へ発展する。つまり、この予防医学の観点から、環境要因を考慮して生活習慣病を指導するならば、野菜、果物、海藻など食物繊維が多く含まれる食物を中心とする食事が大変重要であると言える。特に野菜の効用について、大豆に代表される豆類は発がん性を抑制、ねぎ類は消化管の発がん性を抑制し、アブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリーなど)は胃・大腸がんのリスクを下げたり、脳卒中や動脈硬化症に対しては血清コレステロール値を下げるなど効果が実証されている。

2 事例報告

 次に事例報告として、青果物健康推進委員会事務局長の近藤卓志氏による「ベジフルセブンの今後の取り組み」および(株)東急ストア青果部果物課長の小山達也氏による「販売における野菜・果物の消費拡大の取り組み」をテーマに事例報告が行われた。

 事例報告1 ~ベジフルセブンの今後の取り組み~

 ベジフルセブンとは、野菜(ベジタブル)と果物(フルーツ)を1日に計7皿分食べようという運動である。野菜の摂取量は成人ではどの世代においても目標以下である。最近はサプリメントの人気が高いが、世界の疫学者の研究結果から見ると、サプリメント摂取だけでは不十分であるという報告もあり、本来は野菜・果物そのものを摂取すべきであるという。具体的には、「野菜・果物の摂取を量で示し(野菜1日350g(70g×5皿)、果物1日200g(100g×2皿))、1皿を1スコアとカウントし、1日野菜・果物を7スコア以上とろう!」という活動を行っている。

 今後は、さらなる情報発信活動や店頭告知活動などを通じ、消費者に野菜・果物の食べる量を意識してもらい、平成20年度には野菜350g、果物200gの消費量を達成したいと考えている。

(注:1皿70gとは、日本人が副菜として食べる野菜料理1皿の推定平均量)

 事例報告2 ~販売における野菜・果物の消費拡大の取り組み~

 販売に関わる人たちは、現代の消費者は単純に安いものを求めているのではなく、少々高くても質のよいものを求めていると認識しており、量販店における取り組みとして人・モノ・サービスの上質化を図っている。具体的には、青果物売り場は店の顔と考え、きれいに見せるよう陳列する、旬・季節の強調やカットサラダのメニュー拡充など商品力の強化、多品種陳列などの品揃えの強化、ベジフルセブンの推進も進めている。

 その1例として、ベジフルセブンについて挙げると、野菜売場などに説明を掲げているほか、消費者に対して"70g"という重量は分かりにくいため、カット野菜に着目し、1スコア(70g=1皿分)を「星印」1つとしシールを貼るなど分かりやすい表示を心がけている。今後はカット野菜だけではなく生の野菜についても「星印」表示ができないかと検討している。



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