今月の野菜
みずみずしい食感と爽やかな香りが
涼をもたらす“きゅうり”

きゅうり生産量のほとんどを占める‘白いぼきゅうり 冬春きゅうりは宮崎県などの西南暖地や埼玉県、千葉県大都市近郊を中心に、夏秋きゅうりは福島県、群馬県などを中心に生産されています。


市場から

 

 きゅうりの原産地はインド北西部のヒマラヤ山麓といわれています。インドでは3000年ほど前から栽培され、日本には中国を経て平安時代に渡来したとされています。

 熟すと黄変するので「黄うり」ともいわれ、これが現在の「きゅうり」の名のもとになっています。また、「きゅうり」は「胡瓜」とも書きますが、中国の西域にあった‘胡’の国から中国に入ってきた瓜に由来します。

 江戸時代までのきゅうりは、へたの部分が苦かったため、長い間人気はいまひとつだったようです。

 栽培が盛んになったのは、明治以降。品種改良により、ここ20〜30年で苦味の少ない品種が出回るようになり、現在ではサラダの他に酢の物、漬物と旬の夏に限らず、一年中食卓に欠かせない野菜として果菜類の中でトマトに次いで第二位の消費量を誇っています。

 しかし、家庭で漬物を作る機会が減り、また食べ方のバリエーションが他の野菜に比べて少ないためか、国内消費量はやや減少傾向にあります。

 世界中で500種もの品種のきゅうりが栽培されていますが、日本の品種は、白いぼ種の華北型、黒いぼ種の華南型、ピクルス型の3種に大きく分けられます。以前は、冬春きゅうりとしては黒いぼ種の華南型が、夏秋きゅうりとしては主として白いぼ種の華北型が栽培されていましたが、現在では、果実全体が緑色で生食用として見栄えがし、皮が薄くて歯切れのよい白いぼ種が日本の生産量のほとんどを占めています。その中でもブルームと呼ばれる果皮に付着している白い粉がなく、果皮の光沢が美しい‘ブルームレスきゅうり’が主流となっています。

 最近、ブルームレスきゅうりに比べて、果皮がやわらかく歯切れが良いことから、主に漬物用としてブルームきゅうりを再び見直す動きもあります。また、カット野菜に加工する場合、いぼが多いと洗いにくく、細菌が繁殖しやすいことから、いぼのない品種(フリーダム、ポリッシなど)も注目されています。

 価格の動向を見ると、今年1月以降天候が安定しているため、生育も安定していますが、原油高により作型を遅らせているため、平年並みかやや高い水準で推移しています。

もっとおいしく! オススメの食べ方

 

 サラダ、わかめやもずくと合わせた酢の物、ぬか漬け、かっぱ巻きなどにすると爽やかな香りやシャキシャキした歯ざわりを楽しめます。ピクルス、韓国風キムチ、中華風炒め物などもおすすめです。

情報提供:東京青果株式会社
課長補佐 加藤宏一
おいしい“きゅうり”を選ぼう!
おいしいきゅうりを選ぼう!

 

 太さが均一で、鮮やかな緑色のきゅうりを選びましょう。

 触ると表面の小さないぼがチクチク痛いものほど新鮮です。ハリがないものはスが入っている可能性があるので避けましょう。また、皮にシワができているものも古くなって水分が蒸発しているので避けましょう。

 多少の曲がりは、生育途中の栄養状態などによるもので、鮮度や味、栄養には関係ありません。


きゅうりの栄養と機能性
きゅうりの栄養と機能性

 きゅうりは水分が95.4%と水分含有量が多く、栄養の豊富な野菜ではありませんが、淡色野菜にしては高血圧予防に効果的なカリウムや強い抗酸化力を持つビタミンAを豊富に含みます。その他、ビタミンC、Kなどのビタミン類や亜鉛、マグネシウムなどのミネラル類も、少量ながらバランスよく含んでいます。

 なによりも、調理をしなくてもそのままで食べられるという長所や、利用頻度が高く1回の摂取量が多いという特徴をもっているので、「一日350g以上野菜を摂取しましょう」という観点からも重要な野菜といえます。

「五訂日本食品標準成分表」 きゅうり(果実、生)より
30歳女性1日当たりの食事摂取基準を100とした場合における、きゅうり(果実、生)100g中に含まれる主な栄養素の割合。(ただし、ビタミンC、葉酸は、推奨量の値を、その他は目安量の値を用いた。)

【 きゅうりはむくみ予防に効果的 】

 きゅうりは昔から民間療法として、利尿、消炎、催吐などに利用され、中でも体のむくみやだるさを効果的にとる水気をおろす野菜として用いられてきました。

 特に梅雨時は、体の水分発散を抑制し、むくみをもたらしますが、きゅうりに比較的多く含まれるカリウムには、ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制して尿への排泄を促進する働きがあります。また、イソクエルシトリンという高い利尿効果のある成分を含むことから、きゅうりは、むくみ予防に効果的な野菜といえます。

〜きゅうりは食欲増進野菜〜

 

 きゅうりには、ククルビタシンというウリ科植物に特有の苦味物質が含まれています。きゅうり、メロン、スイカの他に特にゴーヤに多く含まれ、強烈な苦味の元になっています。

 ククルビタシンは、唾液や胃液の分泌を促すことから、きゅうりは緑鮮やかな見た目とともに食欲を増進させる野菜といえます。

監修:実践女子大学教授
田島 眞
 

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作付されている主な品種

監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和
きゅうりの主要産地と収穫時期

 

 きゅうりの全国の収穫量は628,500トン(平成18年)で果菜類の中ではトマトに次いで第二位です。生育適温は18−25℃と比較的高温で、暖かいとよく育ちます。

 露地栽培での旬は夏ですが、ハウス栽培や、かぼちゃの台木に接ぎ木をするなど栽培技術の進歩や、品種改良で需要の拡大に呼応した安定的な周年供給が可能となりました。現在では、きゅうりの生産量の7割以上がハウスなどの施設栽培となっています。

きゅうりの主要産地と収穫時期


資料:農林水産省「平成18年産 野菜生産出荷統計」
注:図中の番号は収穫量の多い順番です。
調理のヒントと保存方法
【調理のヒント】

 生で食べるときは、塩をふってからまな板の上でゴロゴロと転がして板ずりすると、色が鮮やかになり、いぼも取れ、渋味も取れておいしさが増します。また、酢の物などにする際は、立て塩(薄い塩水)につけて水分を適度に抜いておくと、味がなじみやすくなります。

 また、きゅうりにはビタミンCを分解する酵素(アスコルビナーゼ)が含まれています。この酵素は熱や酸により作用しなくなるので、大根などビタミンCの多い野菜と合わせる時は、塩をしたり、酢やレモンなどを使って酸性にすると酵素の働きが弱まり、ビタミンCを守ることができます。

【保存方法】

 急激な温度変化は苦味の原因となるほか、低温はビタミンCを減少させるので冷やし過ぎに注意しましょう。保存適温は10−15℃。水気をふき取り、乾燥しないようにポリ袋に入れ、密封せずに冷蔵庫の野菜室にへたを上にして立てていれておけば4〜5日保存できます。冬場は冷蔵庫より風通しのよい冷暗所の方が日持ちします。


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