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食生活のなかの野菜

茨城キリスト教大学教授
栄養学博士 落合 敏



 現在日本人の食生活は、様々な問題があります。特に若い人たちの肉中心、インスタント食品の過剰摂取、食品添加物、塩分の摂りすぎなど。これらの危険や心配を取り除くためにも、野菜の正しい摂取法は今や健康づくりのための食生活の課題となっています。

 近年、栄養学の目覚しい発展によって、野菜にはそれぞれ優れた薬効性があることが分かってきました。解毒作用、中和作用、浄化作用、活性・促進作用などです。特にアメリカでは、がん予防食品の研究として、10数年前から国立がん研究所を中心に「デザイナーフーズ」計画が進められてきました。長年にわたる研究の結果、がん予防の効果が高い食品40種類が選ばれ、重要度に応じてピラミッド型に3つのグループに分類し、頂上のグループが最もがん予防の可能性が期待できる食品とされています。それらの食品の中で、野菜類はニンニク、キャベツ、ショウガ、セロリ、にんじん、をトップとし、次にタマネギ、ピーマン、ナス、トマト、カリフラワー、芽キャベツ、ブロッコリー、きゅうり、アサツキなどがあげられ、その他に日本の野菜では、かぶ、大根、貝割れ菜、にら、せり、青しそ、パセリ、わさび、ほうれん草などもあげられています。これらの野菜共通の特徴は、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維の他に、ポリフェノール(抗酸化物質)を多く含むことです。特に抗酸化成分は活性酸素の害を防ぎ体内に過酸化脂質という脂肪のサビができるのを予防し、細胞を健全に維持し、がんを始めとする生活習慣病を発生しにくくしてくれます。ニンニク、たまねぎ、にらなどの主成分、硫化アリルはビタミンB1と組み合わせた時、大きな力を発揮します。ビタミンB1を多く含む豚肉などと一緒に摂ると、肉の臭みを消すだけでなく、ビタミンB1の体内での吸収を高め、利尿・発汗作用を促し、新陳代謝を盛んにしてくれるので、疲労回復に効果的です。

 また、抗酸化成分の多いごま(ビタミンE他)や、味噌(メラノイジン、イソフラボンなど)を用い、ごま和えやごま味噌和えにすると、栄養効果が高まります。また、キャベツやわさびには、イソシオシアネートという抗酸化成分が含まれているので、キャベツを茹でたり、炒めたりした場合、わさび醤油で和えると、抗酸化の相乗効果が得られます。また、セロリの抗酸化成分は焼くことで増加します。

 一方、活性酸素は7・8・9月頃と、ストレスなどで体内に増加しますので、この時期にはこの季節美味しくなるピーマン、ナス、きゅうり、トマト他など、毎日欠かさず摂る習慣をつけると良いでしょう。

 日本人の1日の野菜摂取目標量は緑黄色野菜120g、その他の野菜230gです。目標量を毎日摂るようにすることも、健康づくりに欠かせません。



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