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視点



新鮮野菜でワッハッハと長生き

食文化史研究家
西武文理大学 客員教授 永山 久夫



 人間の耐用年数

 日本は世界一の長寿国だ。

 高齢者人口もよそのどの国よりも多い。自慢じゃないけど、世界で一番老人がたくさんいる。高齢者の健康の特徴は、個人差が大きいことだ。

 理想は無病息災。

 しかし、多病息災でもかまわない。

 少し位、不調があっても、すぐに生命に影響がでるとはかぎらない。車だって何十年も使っていれば多少はポンコツ傾向が出てくる。ちょと位、故障のある車の方が、なだめなだめ修理しながら使用するために、かえって耐用年数が増える。

 平均寿命は車でいったら耐用年数のようなもの。もちろん日本人が世界一で、男性が78歳であり、女性は実に85歳。たいがいの日本人はこの年数あたりで“エンジン”がこわれて寿命もつきる。

 「長生きの達人」は野菜が大好き

 ところが最近、あまり大きな病気もしないで、自分の“生命”というエンジンを90年から100年以上も長持ちさせる力を持った長寿者が増えてきた。

 「長生きの達人だ」。達人は人生に自信を持っていて、時に「ワッハッハッ!」と大笑いしてまわりを驚かせたりする。記憶力もしっかりしている。この前なんか関西のある村で「老後のため」といって貯金にはげむ96歳の男性に会った。ニコニコ楽しそうだった。なぜ、こんなに元気なんだろう。

 車にたとえれば“燃料”がいいからエンジンも快調なのだ。「燃料」こそ食事であり、とくに「野菜」だ。元気な長寿者は、野菜バリバリといってもいい位に「野菜食比率」がうんと高いのだ。

 一日に5種類以上の野菜を食べよう

 現在、新聞の仕事で長寿村の食生活を取材中であるが、その結果分かったことは、「長寿は野菜を食べる量によって決まる」ということだ。

 地方の農村地帯に行くと、たいがい家のまわりに「野菜畑」を持っている。これを「おかず畑」と呼ぶ場合が多く、農家ではない家でも、裏で一年中野菜を作っている所が多い。

 野菜作りの担い手はおじいさん、おばあさん。ニコニコしながらねぎやだいこんを作っていて、帰る時には2、3本引っこ抜いて、早速、夕飯のみそ汁の具だ。新鮮この上ない“おかず”である。

 野菜は新鮮であればあるほどビタミンCやE,カロテン、それに抗酸化成分のポリフェノール類などが多い。老化は主として細胞のサビ、つまり酸化によって進行するから、ビタミンC、E、カテキン、ポリフェノールなどの抗酸化成分をぎっしり含んだ新鮮野菜は「不老寿の天然サプリメント」みたいなものだ。

 昨年、ニューヨークに講演の仕事で行った時「ファイブ・ア・デー運動」が行われていた。一日に5種類以上の野菜や果実をとろうという運動で、その結果、生活習慣病が激減したそうだ。ところが、それと同じようなことを何十年も前から実行してきたのが、長寿村の元気なスーパー長寿者たち。さァさァさァ、野菜だ野菜。元気に長寿人生を楽しみたかったら、今日から「地産地消」の新鮮野菜をモリモリ食べなきゃ。ワッハッハッ!




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