女子栄養大学 食品栄養学研究室 教授 三浦 理代
中国に古くからある「医食同源」という言葉。食べ物と薬は同根で、二つはつながっているという考え方です。今やこの考え方は世界中に広まっています。食物は人間の健康を根本から左右する因子であり、生体と密接に関係します。長期に渡る栄養のアンバランスは生活習慣病の原因となることが知られています。毎日の食事の仕方が将来の健康を決めるカギとなります。食品と生体との相互作用を「食品の機能」といいます。食品には3つの機能があります。
一次機能として
栄養機能とも呼ばれ、栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど)が生体に対して果たす機能、つまり生命の維持機能です。
二次機能として
感覚機能とも呼ばれ、食欲を増進させる機能です。食べ物の色、味、香り、食感などによっておいしいと感じさせる機能です。
三次機能として
生体調節機能とも呼ばれ、先人より体に役立つと伝承されてきた成分が科学的に解明されています。三次機能成分が健康維持・増進や病気からの回復に直接寄与します。
野菜には、さまざまな生理機能性成分が含まれています。臨床試験によるエビデンスも蓄積されてきました。ビタミンCとEには抗酸化作用があります。細胞を傷つける活性酸素の除去により、動脈硬化や心臓病などの予防に役立ちます。
赤,黄色,オレンジ色などのカロテノイド系色素(β-カロテン,α-カロテン,βークリプトキサンチン、リコペンなど)には強力な抗酸化作用があり、緑色のクロロフィルにはコレステロール低下作用が期待できます。
また、カリウムには血圧低下作用が、食物繊維はコレステロール低下作用、血圧低下作用、整腸作用などがあります。ネギ属のアリール化合物、アブラナ科のイソチオシアネートには抗ガン作用が期待できます。
野菜全般に広く含まれるポリフェノールやフラボノイドには抗酸化作用や抗ガン作用が期待できます。
野菜を食べて積極的に健康作りをしましょう。野菜は日頃の健康維持・増進はもとより高血圧、動脈硬化、高脂血症、がんなどの生活習慣病予防を予防するのに役立ち、日本の世界一の長寿国作りにも大いに貢献してきました。
厚生労働省では一日350gの野菜の摂取を推奨しています。