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視点



野菜を食べない世代から…。

料理研究家 池上 正子



 「昨日、野菜をどれぐらい食べましたか??」という質問を同世代の友人たちにメールで聞いてみました。
 女性、男性、既婚、未婚、実家暮らし、1人暮らしなど様々な環境の人がいますが、大半の友人たちは、『野菜1日350g』や『ベジフル セブン』、『5A DAY』など沢山のキャンペーンがさまざまなところで展開されていますが、それのどれも達成できていませんでした。

 しかし、しっかりと野菜を食べている人も少数ですがいました。その人たちに「なぜ、野菜をしっかり食べているのですか?」と質問したところ、食べなければいけないと意識しているから、または小さい頃から親などに食べるように言われ続けてきたので、習慣として食べているという返事がきました。

 野菜という存在は、現代の食生活では意識して食べないと食べ損ねる存在なのかもしれないと、友人たちのメールを読んでそう感じました。肉や魚のようにメインとして食べるものではないし、お米やパスタ、パンなどのように食べてお腹が一杯になるものでもない。あれば食べるけど、無いなら無いで構わない、そういう存在になりつつあるのかもしれないと思いました。

 次に、あまり野菜を食べていないという友人たちが、1日に食べたという野菜について書きだしてみました。
 1人暮らしの友人は、お昼にファーストフードで食べたサラダとハンバーガーに挟っているレタスとピクルス。晩ご飯に食べたお弁当に付いていたキンピラとプチトマト、そして野菜ジュース。
 実家暮らしで夕食は、家族と一緒に食べているという友人は、朝にトマトジュース。昼はトマトジュースとサンドイッチに入っていたレタス、たまねぎ。晩ご飯は、ほうれん草の胡麻和え、味噌汁の具(ばれいしょ、たまねぎ)。

 あまり野菜を食べていない友人たちが、決して健康について何も考えていないというわけではないようで、だいたい、サプリメントや野菜ジュースなどを意識して飲んでいるようです。そして、それによって自分の食生活バランスを保っている、または良くしていると考えているようです。

 野菜ジュースやサプリメントを否定するつもりはありません。しかし、情報が氾濫しすぎているため、食事から摂る栄養素よりもサプリメントやドリンクから摂取するほうが、効率的で体にいいと考える人が、徐々にですが増えてきていることが危険ではないかと感じています。

 体力がある今だけを見たら、それでも大丈夫かもしれません。しかし、20年後、30年後の自分の体を考えると食事からシッカリと栄養素を摂取しないといけないと思います。若い間に体の基礎作りをすることが、将来の健康を支える要になるはず。食事の摂り方、栄養について、また、野菜を手軽に美味しく食べる方法などを若い世代にもっと広めていくべきなのではないでしょうか。



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